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第94話 お呼ばれしました♪

次回は3月23日です。


つ、疲れた………。

ヘロヘロになりながら、何とか優香ちゃんと共に、自室に帰ったあたし。優香ちゃんは疲れ果てたらしく、真っ直ぐ自室へと入っていた。勿論、あたしもね。

あの後、エリー様の部屋へと案内…………いや、連行されたあたしと優香ちゃん。待ち構えていたエリー様と仕立て屋さんたる、エリー様のお気に入りのリンガーハット夫人の二人に、ずーっと着せ替え人形させられてたのよ。トホホ…………。

リンガーハット夫人は、スラリとした女性で、シンプルながら繊細で、その女性に合ったドレスを作ると評判な方だそうだ。前は採寸だけだったのに、今回は既に作った仮縫いのドレスで採寸を合わせたわけ。もう、デザインが〜の話が、二人の間で凄い事になってるし、あたし達は一切口出し出来なかったし。

一応、希望として、動きやすく軽いものを! とだけ、お願いしたわよ。そこは聞いて貰えたから、本当に良かったわ!


「あ、サキ様、お帰りなさいませ」


室内には、メイドさんが待っていた。こ、今度は何!?


「陛下より言伝です、執務室に来てほしいとの事です」


……………一難去ってまた一難とは、今日は厄日か何かなのかしら?


「分かりました」


メイドさんに礼を言って、ヘロヘロの体に鞭打って、深夜に近い時間の廊下を、メイドさんに案内されながら、執務室へ。

陛下? こんな時間に呼んだのだから、くだらない話だったら、殺気とばすわよ♪


「失礼します、勇者サキ様をお連れしました」


許可と共に入った執務室には、何故か翔太、和磨くん、優香ちゃんがいて。立ち位置からするに、今さっき来たみたいだけど。

そして、執務室のソファーに、優雅に腰掛ける、とある人物。あ、そういう事。


「ごきげんよう、陛下、勇者咲希、お呼びとの事で参りました…………お久し振りです、ギルドマスター殿」


まーた、何か厄介事を持って来たんじゃないだろうな!? まあ、内心思っても、今回は顔には出さなかったわよ? この人達に今やっても、状況が悪くなるのはわかってるわ。ちょっとは成長したんだから!


「ふむ、よく来た、サキよ、本日はギルドマスターより、話があった故に、勇者の皆には集まって貰った、ふむ」


あぁー、やっぱり気になる! ふむって何!? 何なのさっ!?

あたしの内心を余所に、陛下の言葉に、優雅に腰掛けていたギルドマスターは、サッと立つと、美人過ぎるそのお顔で、ニッコリと微笑みを。うっ! 流石美人さん、本当に男である事が悔やまれる美しさ。女の子としては、凹みます。そのレベルの美しさの方は、完璧な礼と挨拶の後、さっさと本題へ。

疲れているから、このてきぱきした感じは助かるわー。


「本日は、皆様のギルドランクが無事に決まりましたので、ギルド身分証と一緒にお持ちしました」


えっ? 今、ギルドランクが決定したって言った!? あら、やっぱり予感的中じゃない!! 厄介事に決まってるよ〜〜〜〜〜!!!


「先ずは、ユーカ様、カズマ様、ギルドランクAが決定しました、お喜び申し上げます」


そう言うと、ギルドマスターは銀色のカードサイズの板を、固まっている二人に渡した。アハハ………、二人共に流石、王道勇者。あっさりランクAとか。凄過ぎ!!


「ユーカ様は、剣の使い手として申し分無く、治癒師として活躍していて、ランクAとして申し分ありません、カズマ様は薬師としての活躍、魔法の方も十分ですし、槍はユーカ様に劣りますが、まず問題ないと査定しました、よってこれがお二人のギルド発行の身分証になります」


ぎこちなく受け取った二人は、今だにぎこちないまま。暫く戻って来ないわね、これは。


「そして、ショータ様、サキ様、お二人のランクはSランクとなります」


…………………………


…………………


……………


……。



「「 はい………? 」」


ちょっと待て。今、このギルドマスターは、何と言った!? 聞き間違えじゃなければ、あり得ないランクを言ったわよね!!??


「……………ギルドマスター? 失礼ですが、今一度、はっきり、ゆっくり、ランクを言って頂けます?」


動揺のあまり、震える口で頼んだけれど、一抹の期待はあっさりとギルドマスターより崩された…………。グスッ。本当にあたし、何かした? いや、やらかしてるか。心当たりが有り過ぎる! もう、今日は厄日よ、厄日っ!!


「はい、お二人のランクはSですよ」


……………やっぱり、今日は厄日よ。間違いないわっ!


「ショータ様は、お一人で街一つ消せるだけのお力をお持ちですし、剣の強さも一級品ですからね、このランクは妥当かと思われます」


確かに翔太は二回目勇者。上から三番目のランクSも妥当よねー。エルナマスの国で見た魔物のほとんどを消した実力持ち。剣だって、一流の使い手だもんね。これで魔力が、勇者の中で一番少ないんだから、本当に有り得ないわ。それだけ前の世界の知識や経験は、翔太の存在をランクSに押し上げる程のものなんだね。

うん、間違いなくランクSに相応しいよね。


「そして、サキ様ですが………本来ならば、ランクSSSが妥当と考えましたが、少々厄介な立場になりますので、ランクSが妥当と致しました」


あの、ギルドマスター殿? 何で苦々しい顔なのかな?? おかしいよね!?

顔が引きつっているあたしだが、まだ、ギルドマスターの話は終わらない。


「そもそも、ショータ様同様に、異世界の魔法を持ち、魔力は平均の数十倍、新薬開発に、城の結界補佐、警備の見直し、魔族撃退、極め付けは神様との契約っ! ランクSにするのに、本当にっ! 苦労しましたよ…………」


あらまぁ、アハハ、ハ…………。ヤバイ、色々とやらかしちゃってるわ!!


「こうやって改めて並べて見ると、咲希も大概だよな」


翔太の言葉に、室内の皆様が全員で頷いた。うそ〜〜〜〜ん!

確かに色々自覚あるけどさぁ。そんな面倒くさいものになっていい事あるわけ?


「取り敢えず、先にギルドランクによるギルドからの補助制度を説明致します」


それから30分程、ギルドマスターより説明がありました…………。

えっと、簡単に説明すると、ランクが上に成る程、ギルドから優遇されるそうなんだ。例えば、持ち込んだ素材の代金から引かれる手数料が安くなったり、ギルドの提携している宿泊施設を格安で泊まれたり。まだまだあるらしいけど、まあ、こんな感じかな?


「本来なら、ギルドへ来て頂くのですが、皆様が来たら騒ぎになりますので」


ちゃっかりと釘さしてるし、ギルドマスター! そして、その手に持っている金色のカードサイズのプレートは、あたしと翔太のギルド発行身分証だよね? Sは伊達では無いんだね??


「「アリガトウゴザイマス」」


翔太とあたしの声が固いのは、まあ、うん。仕方ないかな。


「勇者様方の活躍を祈っております、もし素材がありましたら、ギルドの方で買い取らせて頂きますので、良しなに」


……………本当にちゃっかりしてるわね、ギルドマスター殿。まあ、いいけど。


「それでは我々は、失礼しますね」


ようやく部屋に帰れるわ〜。一応、陛下の御前なので、優雅に礼をしてきましたよ。流石、皆も洗練された動きだわ。

部屋から出れば、後はまた待機していたメイドさんに案内され、あたし達は部屋へ向かっていたんだけど……………。


「あれ? アンリちゃん?」


部屋への道すがら、半分位を過ぎた辺りかな。それぐらいの辺りで、廊下の真ん中で泣いているアンリちゃんがいたんですよ!


「グスッ……サキおねえちゃん………」


エグエグ泣いているアンリちゃんは、あたしが近づくと駆け寄ってきて、あたしにしがみ付いて来た。


「アンリちゃん、何かあったの?」


アンリちゃんの涙をハンカチで拭き取りつつ、目線を合わせてアンリちゃんを見ると、目にはハッキリとした怯えが見えた。


「コワイ夢みたの………」


アンリちゃんには、あたしの部屋の近くに、部屋が与えられている。城に来た最初の数日は、あたしと一緒に寝ていたけど、最近は落ち着いたみたいで、メイドさんが寝かしつけていたんだよね。多分、恐い夢を見て起きたんだけど、周りに誰もいないから、探していたら、ここまで来ちゃった、って事かな。


「大丈夫よ、アンリちゃん、怖くない、怖くないよ」


頭をナデナデしつつも、辺りを見るが、アンリちゃん付きのメイドさんは居らず。普通は夜勤のメイドさんがいるはずなんだけど、たまたま今日は居なかったみたい。


「おい、咲希」


翔太に何故か呼ばれ、其方を見れば。


「翔太? あれ? 和磨くんも優香ちゃんもどしたの?」


何故か三人共に、緊張感漂う真面目な雰囲気で、あれ? 本当にどうしたのさ!?


「咲希、絶対にアンリから離れるなよ? 和磨、お前は後衛たのむぜ」


「うん、翔太、優香さんも気を付けて」


「ありがとう、和磨くん」


皆が廊下の、あたし達が向かおうとしていた方から、誰かが来る。でもこの気配、どこかで…………。

目を凝らし、よく見れば、現れたのは黒いマントをスッポリ被った、正体不明の人物。

あら………? これってまさか、黒いマント再び!?




――――――もしかして、結構ヤバイ?


読了、お疲れ様でした。


いやはや、何やらまたしても、テンシロ荒れそうな勢いです。

次回はバトル回………になるかな? 頑張りますね!



では、次回お会いしましょう!

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