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閑話 聖夜の奇跡( 2)

次は来週の30日投稿です。

白、黄色、オレンジ、赤、緑、青……………。


幻の光の世界に、マリアさんも、トネル少年も、二人共に見入られていた。特にトネル少年は、目が先程と違ってキラキラして見える。

きっと、思い出に残る素敵なサンティーの日になったはずだ。


「トネル君、これはあたしからのプレゼントだよ」


そっと、トネル少年の枕元に、可愛いラッピングをしたお菓子の包みを置く。

申し訳なくて、自分が情けなくて、どうしても笑顔の中で、涙で視界が歪みそうになる。


「ゆうしゃさま、ありがとう…………でも、なんで、泣きそうなの?」


えっ……………?


あたしが泣きそう?


そんな訳無い、あたしは笑ってる。


でも、ドキッとした。ばれたかと思って。でも、まだ行く訳にはいかない。何故なら、トネル君達の治療はまだ終わってないから。


「大丈夫、それよりトネル君は何か他に見たい物はあるかな?」


今も煌びやかな光達が、色んな動物になって、部屋の中をまるでパレードのように踊っている。それを見ながら、トネル君は先程よりも元気な声で、答えてくれた。


「魔法が見たい! カッコいい魔法!」


……………あのー、これも魔法なんだけどなぁ。何て言える訳も無く。この煌びやかな魔法を損なわない魔法となれば。


『氷の(アイス・フラワー)!』


動物達に紛れるように、氷の花が次々とあらわれていく。これは氷の中級呪文で、本来なら敵に向けて凍らせるんだけど、今回は違う事に使おう。


『氷の(アイス・ブリザード)!』


氷の花だけが、新たに紡いだ氷の中級呪文に向かい、光の線を描きながら動き始める。そして、キラキラと光ながら、氷達は嵐の中で光輝く。


「すごーい!」


トネル君の元気な声が、辺りに響く。そして、嵐は一瞬にして天井の辺りの光に呑まれて、次の瞬間、光が弾けた。


「わあ!」


感嘆の声の元、短いショーは終わった。春からも、終わりの合図が来た。

うん、もうこの時間は終わりだ。


「トネル君、早く元気になって、来年はお城にプレゼントを貰いにおいで」


それを最後に家を出た。

お母さんが、トネル少年を見て、きっと気付くだろう。病が良くなっている事に。


「サキ様、ご立派でした」


ジュビアン神官は、分かってたみたいだね。あたしの内心を。


あたしは一人を優遇できないし、してはいけない。それを分かっていても、我慢は出来なかった。だってそうでしょう?

今日はサンティーの日で、子供達にとっては夢の一日。こんな暗い話で、汚してしまうなんて、あたしには出来ない。だったら、綺麗な思い出として、記憶に残してやりたいじゃないか。

それに、これはあたしの落ち度。絶対に落とし前はつけるわ!


「ジュビアン神官、行くわよ!」


元凶には、しっかりと落とし前付けさせて頂きます!!



◇◇◇◇◇



「サキ様、城より連絡があり、勇者様方は無事にプレゼントを渡し終え、今からユーカ様とショータ様が下町に来るそうです」


合流したファイさんから、そう教えてもらい、ちょっとホッとした。こんな日に一人でなんて、寂しいわよ。


「せっかくのサンティーの日だってーのに、何で面倒な事をわざわざするのかしらね?」


口が汚なくなるのは許してね。もう、幸せなサンティーの日よ、どこ行った!?

内心で突っ込んでいると、馴染んだ気配が近付いてくる。


『咲希様、呪咀の場、見つけましてございます』


(たつ)のその言葉に、あたしの顔が知らず知らずのうちに、ニヤリと笑顔になる。

……………近くにいた騎士さんとか、ジュビアン神官が全力で引いていたけど、まあ、気にしない。

ウフフ、聖なるサンティーの日は、ス・テ・キ☆な日にしないと、国民の皆さんに悪いじゃないか。勇者として、人として、きっちりと躾けてやろうじゃないか!!


『…………咲希様? 顔が怖いですわ』


お札から(はる)に、突っ込みが入ったけど、気にしない、気にしないったら、気にしないんだいっ!!



◇◇◇◇◇



「ここね」


アジトはあっさりと発見。勿論、式神様の案内あればこそ。流石、神様だよね!


「相変わらずチートだよな、お前は」


「やっぱり咲希ちゃんは凄いね!」


えーっと、途中で合流した二人に、誉められたんだよね? 何だか複雑なのは何でだろう?


「たのもー!」


まあ、そんな場面は置いといて、あたしはアジトに突撃☆


「「「サキ様!?」」」


「咲希っ!? 何やってんだよ!」


「さ、咲希ちゃん!?」


見事に反応が別れた。いやー、楽しいね、皆の反応が見れて(笑)

てな訳で、犯人さん? さっさと捕まって下さいな♪


「式神様、レッツゴー☆」


時間がもったいないので、式神様で一気に片を付けちゃいましょ〜。


「俺等、来た意味無くないか?」


「…………そうだね」


後ろでそんな会話をしているなんて、まるっと無視して。


「さあ、帰ってサンティーの日の続きをしましょう♪」


ものの5分足らずで、厄介事を起こした犯人さんは御用となりまして。


ここからは皆で楽しく行きましょうか!



◇◇◇◇◇



「あ、皆は先に行ってて!」


あたしは事前に許可を貰って、ある仕掛けを施した。それは…………。


「今日と言う日が、思い出に残る素敵な日になりますように―――――」


大きな魔方陣、そこに魔力を込めていく。さあ、素敵なショーの始まりだ!



◇◇◇◇◇



「わあ………!」


我ながら良くやったわ。綺麗な夜空を背後に、沢山の光が打ち上がる。そう、あたしが作ったのは、花火の仕掛け。魔方陣を用意すれば、かなりの数が用意出来たから、この日の為に作ってみた。

反応は上々みたい。城の上空に上がった花火は、地面に着く頃には、光の粉になって皆に降り注ぐ。


「まるで、天からの贈り物ですね、サキ様」


ファイさん、そのセリフはかなりドキッとしたわ。


「そうですよ、本当に綺麗ですよ、サキ様」


ユリーさん? あなた年下のはず、よね? あたし、もたないかも……………。


「綺麗です、サキ様」


あんたもか!? レイヴァンさん、言葉が足りてないよ!?

あんたら美形がそんな事いうから、恥ずかしくて顔が赤くなってるでしょ!

どーしてくれる!?


「皆さんずるーい!」


「僕らも混ぜて下さいよ!」


いや、君らまで来ないで下さい! カオス、カオスになるから。この場所が!!


「あら、サキはモテモテですわね!」


……………エリー様、何か間違ってますよ? 誰も口説いてませんからね? 肝心の主語が抜けてるだけですからね?!


「僕も参戦しようじゃないか、サキ殿――――――この景色よりも、君をずっと見ていたいよ、サキ?」


ちょっとー! フランツ様〜………、反則です。あ、ウインクされた。それがあんまりにも格好良くて、はい。降参します。


「って、サキ様!?」


ファイさんが気付いて、支えてくれて助かった…………。流石に、恥ずかし過ぎて頭に血が登り過ぎちゃったわ。軽く視界が回ってる。これじゃあ、聖夜の奇跡じゃなくて、聖夜の羞恥じゃない!


「あ…………、雪」


気付けば、空から白い物が、光と共に地面へ向けて降りて来る。今年初めての雪がサンティーの日なんて、空の神も洒落てるわ。聖夜の輝石…………とか? あら、中々素敵じゃない。


「きっと素敵なサンティーの日ね、今年は」


「はい」


あたしの呟きに、支えてくれているため近くにいたファイさんが、うなずいてくれた。

色々あったけど、初めてのサンティーの日は、とても素敵な思い出の日になりました。


「メリークリスマス!」





聖夜の日に、祈りを込めて―――――――。


3日間の連続投稿、如何でしたでしょうか?


リクエストを下さった皆様、本当にありがとうございますm(__)m


自分では、思い付きもしなかったので、凄く楽しかったです。

いい経験となりました。


次回は、30日で残りの2回を更新します。いやー、今年も後少しですね。


皆様は年末の大掃除は終わりましたか? 秋月は年末特有の忙しさで、掃除は出来ていません。しかし、絶対にしますよ! ノー埃、ノーゴミ、ノー未整頓!!

整理整頓の本を買ったので、今年こそは美しい我が家で新年を迎えるんだぁ。

きっと出来る、出来るはずだ…………。



では、来週にお会いしましょう!

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