第85話 新しい侍従候補が来ました♪
次回より、年末企画リクエスト祭第一段スタートです!!
次回は12月23日です。
あたしの前にいるのは、レイヴァンさんと、知らないもう一人。
綺麗なミルクティー色の髪を胸元まで右側に一つに三つ編みにした髪型で、服装は下級魔術師の服装である緑のゆったりマント。背丈はこの世界に来て初めて、あたしより少し高いくらい。歳の頃も同じかな??
「ユリアス・ナイルゲーンと申します、皆はユリーと呼ぶので、呼びやすい方でお呼び下さい、これから宜しくお願いします」
丁寧に頭を下げた彼女に、かなりの好感度をもちましたよ♪ どうやらこの子が、あたし達、勇者付きになった新メンバーみたいね? 凄く礼儀正しいし。
「探したんですよ、サキ様――――無事に紹介できて良かったです」
あぁ、レイヴァンさん、かなり捜し回ったんだ? 何か申し訳ない…………。
「ユリーさん、宜しくお願いします、改めて、あたしが第一の勇者であるサキ・アマギです―――――で、こちらは今日から勇者達で保護する事になったアンリちゃんです、この子の事も宜しくお願いしますね☆」
と紹介したら、何故か二人が固まった。あら? 変な事いった??
「サキ様? この子は、一体、何者です?」
「凄く綺麗な魔力です…………人ではあり得ませんよ?」
あら、流石、魔術師さん達。ジュビアン神官は感じる方では分からなかったのに……………。本職だけあって、直ぐに気付いた二人。凄いわー。
「この子、エルフなんですって、勿論、内密にお願いしますね?」
ニッコリと笑顔で言ってます♪ 喋ったら、許さないよ?
「はぁ…………、サキ様、もしやまだ、何処かに行かれますか? よろしければ、我々もご一緒したいのですが」
「え? いいよ? ただ、行くのは騎士団なんだけど…………今ね、和磨君が訓練してるみたいでさ、アンリちゃんの事を紹介しないといけないし」
そう言えば、微妙な顔をされた。まあ、仕方ないんだけどね? 魔術師と騎士団は、仲が悪いからね〜。水面下では、だけどね(笑)
「…………分かりました、参りましょう」
レイヴァンさん、最初の間は何かな? まあ、いいけど。
「それじゃあ、訓練場にレッツゴー♪」
「ゴー♪」
元気に手を上げるアンリちゃんと一緒に、ご機嫌なあたしを余所に、怪訝そうな顔のユリーさん。
「レッツゴーとは何でしょう?」
「…………ユリー、お前なぁ」
ユリーさんのばか正直な問いに、何故かレイヴァンさんが、うなだれてた。
何だかなぁ、しまらないな。
◇◇◇◇◇
てな訳で、やって参りました!!
ザ・男の園とばかりに汗臭く、暑苦しい場所である訓練場に。今の季節が夏っていうのもあるかな? 何せ今、気付いたら8月下旬だからね。色々あったわ……………。
あたしも弓の鍛練で来たりするけど、たまにしか来ないから、視線が半端無い。まあ、一番の視線の先は、あたしの隣にいるアンリちゃんなんだけど。う〜ん、野郎共の中にアンリちゃんを入れるのは、教育上大変宜しく無いと思うんだわ。
うん、和磨君は呼んで貰いましょ☆ 一応、ここからでも、和磨君は見えるんだけどね。超真剣に、騎士の人と打ち合ってる。汗が舞うなんて言葉があるけど、美男子だけあって、その言葉がピッタリだわ。
………………あ。訓練場の見学席の所に目がハートになった女性達がっ! うん、やっぱりアンリちゃんの教育上大変宜しく無いわね。
ん? 良く良く見たら、貴族令嬢じゃないかな? お目当ての騎士様を相手に、自分を売り込むとか考えてる??
まあ、騎士諸君、頑張れ。いい出会いがあるといいね!!
「おや? サキ様?」
声のした方を見れば、ファイさんが! 稽古をしていたのか、タオルで汗を拭う姿が何とも色っぽい。キャ♪ って、言ってる場合じゃない。丁度いいので、ファイさんに和磨君を呼んで貰いましょう。
「ファイさん、お願い出来ますか?」
「分かりました、少々お待ち下さい」
タオルを椅子に置くと、小走りに和磨君の元へ。つーか今、さらりとレイヴァンさん達を無視したよね? ファイさん、どうしたんだろう?
と、和磨君がファイさんと此方に向かって来たのが見える。あら、女性諸君が、和磨君のお相手をしていた騎士様にアタックしてる。あー、お目当ては彼だったのか。思わず遠い目をしてしまった。あたしには縁の無い話だわ。
「咲希さん、何かあった?」
和磨君、第一声がそれですか…………。ま、まあ、いいわ。さっさと紹介してしまおう。
「和磨君に紹介しようと思って、あの廃墟で保護した、アンリちゃん、あたしら勇者が保護する事になったわ――――――それから、新しく侍従候補になったユリアスさんだよ」
二人を紹介してみると、和磨君は礼儀正しく頭を下げての自己紹介。
「初めまして、アンリさん、ユリアスさん、第二の勇者のカズマ・シラトリです、宜しくお願いします」
「よ、よろしく、です」
う〜ん、和磨君なら大丈夫とか思ったんだけどね。やっぱり恐かったか。アンリちゃん、ガチガチに固まってしまった。
「初めまして、カズマ様、ユリアス・ナイルゲーンと申します、宜しくお願いします」
こちらも礼儀正しくご挨拶。何とも真面目な二人だけど、やっぱりユリーさんの身長は和磨君より低い。何か新鮮だわ。この世界の人は、皆一様に身長高いからね〜。
「ユリアスさん、宜しければお年を聞いても?」
おいっ! 女性に歳を聞いては…………。
「12歳ですよ」
「彼は、最年少で魔術師団に入隊した優秀な子でしてね」
…………………え?
思わず目が点になったあたしは、仕方ないはずだ。つーか、今、とんでもない発言を、レイヴァンさんがしたわよね?
「えっと、レイヴァンさん? 今、“彼”って言った?」
あたしの驚きように、怪訝な顔をしつつも、レイヴァンは真面目に答えてくれましたよ。
「はい、確かにユリーは男ですから、彼と言いましたが………」
…………………………
…………………
…………
…。
ありえねぇーだろっっっ!? その顔で男とか!!
「アハハ、サキ様も間違えましたか! 僕って本当に女性に見えるみたいで、姉達にはよく文句を言われましたが」
「そんな笑わないでよ………」
何て言うか、ユリーさん、年下な上に女顔とか。また濃いキャラな人が出てきたわ。
「あ、そうだ! ファイさん」
唐突にだけど思い出した!
「何ですか? サキ様?」
急に呼ばれて為か、ビックリしたようだったけど、後はお約束な迄に、キラキラと期待する目をあたしに向けてくれるファイさん。この人もぶれないね〜。
「アンリちゃんに必要な物を買いに行くんで、町に連れてってくれません? 流石に、一人は怒られるんで………」
前回、町に降りた時に気絶して帰って来た所為か、周りのあたしに対する過保護っぷりが増しておりましてね! 特にエリー様が心配するから、最近じゃ、侍従無しじゃ廊下も歩けなくなってます。
「はいっ! 喜んでっ!」
って、即答かいっ!!
「今から着替えて参りますが、サキ様はどうされますか?」
あー、あたしは今、魔術服を着てるから、確かに着替えてしまわないといけないわ。アンリちゃんの変わりの服も買わないといけないし。
「あたしも着替えて行くから、30分後に門の前で」
「分かりました!」
それを聞くなり、颯爽とかけていったファイさん。そんなに嬉しかったんだね。何せ前回、休みを貰って実家に帰った日に限って、あたしが気絶だからね。あの時のファイさんは、真っ青になっていて、見ていられなかったわ。
「ところで咲希さん? 費用はどうするの? アンリさん一人くらいなら、咲希さんのお金でも大丈夫だろうけど、勇者達の保護なら、僕等も出さないといけないんじゃない?」
あ…………、そこは忘れてたわ。
「んー、今日はいいや、あたしが出すから、帰ったら皆で相談しよう」
勇者の金庫室は、今現在、翔太のスペース以外は、宝箱がゴロゴロ状態だからね。あたしのお金でさえ、宝箱二つ分が一杯になっちゃったのよ? 今は三個目が半分くらい。翔太も同じく貰ってるはずなのに、何でか貯まってない。まあ、自ずと理由は分かるけどね(笑)
「今のところ、鍵はあたしが預かっているから、大丈夫でしょ?」
今日はアンリちゃんの服や小物類を買うから、金貨で10枚くらいあれば大丈夫かしらね。本当は優香ちゃんがいれば助かるんだけど、あの状態じゃ無理ね。アンリちゃんも、もう少し馴れるまで時間が必要だろうし。
「そんじゃ、行ってくるね〜」
着替えるために、部屋へ向かおうとしたとき。
「あ、サキ様! 僕も行っていいですか? ちょっと買いたい物があって」
ユリーさんに呼び止められた。まあ、理由があるみたいだし、いいかな? あくまで候補だけど、侍従に変わりはないから。確かにファイさん一人は不味いかも。前回みたいな事が無いとは、どうしても思えない。何せ、勇者は厄介事ホイホイだからね!
勿論、嬉しいわけがない!!
「あ、咲希さん、僕もいい? 買い物あるの忘れてた」
あら、和磨君が忘れるなんて珍しい。まあ、いっか。気にしないったら気にしない☆
「じゃあ、門の前で!」
「うん、宜しく」
てなわけで、ファイさん、ユリアスさん、和磨君、アンリちゃん、あたしで、町へお買い物へ参ります!!
………………厄介事よ、今日だけは、来ないでおくれ。たまには、普通の買い物がしたいんだいっ!!
読了お疲れ様でした!
本日は新しい方が登場です。アンリちゃんに続き、年下可愛い系少年のユリアスさんを良しなに。
さて、次回はいよいよ年末企画リクエスト祭がスタートします。内容は秘密になりますが、23日、24日、30日、31日が更新日になります。もしかしたら、リクエストが来たら、もう数日増えるかもしれません。是非、リクエスト祭に参加してやって下さいませ。お待ちしております。
締め切りは、今月の20日です。もう数日ですので、ご参加の方はお早めに!
では次回、またお会いしましょう。




