第77話 忘れてました〜☆
次回は10月14日更新です。
とりあえず、終わったわ。徹夜地獄………。
マジで次から次へと見つかった、昔から放置された術式を、一つ一つ直し、あたしはようやく解放されたわよ!!
「ふ〜〜〜〜〜、終わった〜〜〜〜」
ようやく自室に帰れます♪ ただし、報告はしないといけないのよねー。魔術師長様に。明日は魔術師団が荒れそうだけど、あたしは関係ないわよ? 犯人さんが特定されるだけなんだから!
あ、報告で思い出した!! フランツ殿下に、報告書!!!
……………寝てから書こう。流石に、二泊三日の強行徹夜は堪えたわ。起きたら、きちんと書こう。そうしよう!
「魔術師長〜、終わった〜………」
口調が変なのは許してね。何せ徹夜明けだからね。
「あ、サキ様! 大丈夫ですの!?」
魔術師長様? これが大丈夫に見えるとか、目は大丈夫ですか?
「とりあえず、説明しますと、全部直しましたし、城の中の裏切り者は大変かもしれませんけど、問題無くしてありますから問題無しです♪」
「サキ様? 微妙に言葉が変な気がしますが?」
「気にしない、気にしない〜」
「サキ様? やっぱり何か変ですわよ??」
心配そうな魔術師長様ですが、何度も言おう。あたしは徹夜明けなのよ!!
「徹夜明けだからテンションがおかしいだけです! それよりも、魔術師長様? 耳を貸して下さいな♪」
ちょっと引かれたけど、引っ張ってやろうとしたら、無言で叩かれた。何故!?
「素直に貸しますから、安心なさいな」
威圧感のある笑顔で、言われましたよ。うん、素直に聞きますわ。だからお願いだがら、頭をグリグリしないで〜〜〜〜!
「う〜〜〜〜」
あんまりだー! 涙目で抗議しようと、魔術師長様を見たら、威圧感半端無かったわよ。
「ごめんなさ―――――い!!」
観念しました…………。う〜、痛かったよ〜………。
「さて、お話して下さいな」
魔術師長様、何だか性格が変わって見えます。後ろから般若が出てきそうなんですけど!?
「早く聞かせていただけます?」
「は、はいっ!! えっとですね…………ゴニョゴニョ」
しばらく話していくと、ニヤリと魔術師長様の顔が笑った。極上の笑顔なんだけど、なんだけどね……………目が笑っておりませんよ!? 怖い、怖すぎるわっ!!
「サキ様、もうお話は終わりですわね? もう休んで下さいませな」
そう言われ、あたしはさっさと退散しましたよ。何だか、踏んではいけないものを踏んじゃった気分。
はあ〜、早く部屋に帰って寝よ。
◇◇◇◇◇
「ヒマリ〜♪♪♪」
3日ぶりに部屋に戻れたあたし。久方ぶりの、ヒマリとの再会は、もう感動ものでしたよ!!
「キュー! キュッキュ♪」
嬉しそうに尻尾をブンブン振って、一目散にあたしに突撃(←間違ってないわよ)してきたヒマリは、とにかく嬉しそう。キュッキュ鳴きながら、あたしにペッタリくっついて離れない。
もー! 可愛い過ぎる☆
それを偶々、近くで見ていたメイドさん。慌てて鼻もとを隠してるのを、バッチリ見てしまい…………さっと視線を反らした。きっと見ない方が幸せな事もあるはずだ。そ、そうよね??
「さあ、ヒマリ〜♪ 眠いから一緒に寝ようね♪」
「キュッキュー♪」
既に時間は、夕方6時くらい。ヒマリは既にオネムの時間なのよね。光属性のヒマリは、あまり遅い時間まで起きていられない。昼間は元気なんだけどね。
ヒマリの大きさは、あたしが抱えられる大きさ。ちょうど、小型犬くらいのかな?
既にヒマリ用のベットになっている小さなクッションは、かなりの大きさへと変わっている。これで確か、3個目のはず。
「おやすみ、ヒマリ」
「キュー………」
可愛い鳴き声をするヒマリの声を聞きながら、あたしは夢へと微睡んでいきました。
◇◇◇◇◇
さて、昨日6時頃に寝て、何と今日の朝9時まで爆睡していたあたし。スゲー………、徹夜で疲れていたとはいえ、15時間も寝てたみたい。
「あー、スッキリした☆」
お陰様で、疲れもなく、滅茶苦茶元気だわ!
その後は、身支度をして、遅い朝食タイム。何で遅いかと言うと、この国の方々は、何と9時出勤。だから、メイドさん達や執事さんは3交代制にしてるらしい。それで尊い方々を隙無くお世話するんだね。
あ、話がズレたわね。
えっと、今日のあたしのファッションは、クリーム色のワンピース。優香ちゃんと色違いのお揃いよ♪
どうせ、今日は報告書を書いて提出するので終るからね(汗 魔術服じゃなくていいわよね?
「さてと、始めますか」
この国の報告書の書き方は、あのブラオさんの鬼の勉強プランに、何故か入っていたから、あたしら勇者一同、みんな書ける訳よ。
さっさと書き終わり、あたしは自由な時間で、久しぶりにヒマリと心行くまで遊ぶんだい!
何て、心の中で決心しつつ、筆を取って早数時間。ノート一冊分くらいの厚さで完了。見直しもしたけど、大丈夫♪
さあ、フランツ殿下に提出して、あたしは自由だ(笑)
……………な、訳も無く(涙)
いやね? フランツ殿下に提出までは大丈夫だったのよ?
そこから出た瞬間に、まさかの魔術師長様とレイヴァンさんに問答無用で拉致られ、まさかの魔術師長様の部屋にやって来ちゃったのですよ!!
何故だ! 何があったのよぉぉぉ―――――!!?
「突然でごめんなさいね? 昨日の今日で、まさかの反応有りみたいなのよ」
突然の事を謝りつつも、魔術師長様。見事な爆弾を、あたしに落としてくれましたよ!!?
……………え? マジで?
だって、罠を仕掛けたのは、昨日のお昼頃。魔術師長様に報告したのが、昨日の夕方。今はお昼過ぎ。確かに結界構造体に細工はしたけど、もう少し効果は遅いと思ってたわ。
うん、早過ぎる。
「なので、予定を変更し、犯罪者を捕えてしまおうかと」
「だからって、何もあたしを巻き込まないで下さい!」
全力で発言します! ヒマリとの夢の時間が消えてしまうじゃないか!!
「サキ様、やった本人がいないのは示しがつきませんが」
困り顔のレイヴァンさん、全くもって正論ですね〜。トホホ………。
「はぁ……」
観念するしかないか。溜め息くらいはつかせて下さいな………。
「で、罠にかかった人物は、今はどこにいるの?」
とりあえず気持ちを切り替えて、犯人を聞けば、何だか微妙な表情の魔術師長様とレイヴァンさん。ん? 何か変な事、あたし言ったかな?
「サキ様ではありませんのよ? 犯人が意外な人物だっただけで…………」
「私は憧れがありましたので、ショックが…………」
んー? もしかして大物釣り上げたかも??
…………早まったかしら?
内心、不安になるけど、やるなら本気で徹底的にやるわよ!! 絶対に逃がさないんだから☆ 犯人さん♪♪
……………この八つ当たりは、貴様に全て当ててやるわ!!
「サキ様、程々に………尋問等々が控えておりますので」
レイヴァンさん? それって止めてないよね?? 微妙に心配なんで、魔術師長様を見たら、素晴らしく素敵な笑顔☆ え、何でそんな笑顔で微笑み浮かべて、こっちを見るの!? 普通、止めるじゃないのか!
「今回は、サキ様が一番、被害を受けましたもの…………発散する場所も必要ではないかと」
素敵な微笑みで言うセリフじゃありませんよ、魔術師長様。しかし、魔術師長様公認で発散できる♪ 勿論、キチンと尋問にも耐えられる位に加減はするから、安心してね?
「ウフフ、犯人さんと遊ぶわよ♪」
満足してあたしが、ニヤリと笑顔を浮かべた瞬間、この場に居ない人物の声が響いた。
「失礼ながら、3人で何をしているのか、伺いたいんですが」
そこには顔を引きつらせたフランツ殿下が。え、いつ来たの?
「あの、サキ殿? 何で、そんなに驚いているんだい?」
今度は驚いていた。いいの? 王族の方が表情崩して。
「えっと、殿下? いつからそこに?」
「え、来たばかりだけど………」
良かった〜♪ 変なシーン見られなくて。
「それで、ご用件は?」
フランツ様が、あたしを探してまで聞かないといけない物なんて、あったかしら?
「うん、事実を確認しないといけなくて………」
苦笑いしてますが、何なの?? 頭からハテナが飛び出しそうだわ。
「この、放置している魔族二人は、今はどうなっているのかな?」
…………………
…………
……
やべぇ、忘れてた!!?
えっと、あれから何日たったかしら…………。え、えっと、あぁぁぁぁぁぁぁぁ、既に4日たってるよ!! ヤバイ、ヤバイよ! 確かに放置とは思ってたけど、後で牢屋に入れないとなぁとかは、思ってたのよ? 放置は、あまり長くは出来ないし。
あの結界は、何も無ければ、一年は立派に保つ程のレベルの頑丈さを持つ。そんな物に、頑丈であるとはいえ、魔族二人を放置。食事の問題もあるし、これはヤバイ。
「その表情から察するに、今の今まで忘れてたんだね? まあ、今回は魔術団の問題があったから、仕方ないね…………、事後報告の書類が無かったから、聞きに来たんだけど」
アハハ………。面目無いです。あまりの忙しさに、忘れていたんです。
「サキ、魔族に戦争の口実を与えないでくれ、サキは忙しいだろうから、翔太と和磨に頼もうか」
食料を置いてくるだけだしね? 何て言ってますが、フランツ様。何故にクスクスと笑っているんですかね??
「ついでに騎士団に護衛させよう、きっと良い働きをしてくれるだろう」
言い切った内容は、平凡な物のはずなのに、言い様の無い不安があたしを襲う。
……………やっぱり、あたしが行くか?
「サキは、こっちを宜しくね?」
有無を言わさない笑顔に、何故か敗北感を味わったのであった……………。げせぬ!
読了、お疲れ様でした。
サキちゃん、綺麗さっぱり忘れてました。あの二人がどうなったかは、近いうちに出します。最初はサキちゃんルート行きますね☆
さて、前々から上げておりました、新作を同じ時間に投稿いたします♪
題名は『僕等は夢から醒める』です。
最初は、短編で行こうと思ったのですが、思ったより長くなる為に、連載形式を取りたいと思います。
多分、長くは続きません。
よろしければ、読んでやってくださると嬉しいです♪
では次回、10月14日にてお会いしましょう☆