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閑話 今に語る過去の夢

本日99話です☆

次回は9月23日、100話記念になります!!


Side:翔太



「もう………、ソウって馬鹿よね、余計な事なんて言わなくていいのに」


クスクス笑いながら、そして同時に呆れた顔をして美穂さんは向こうを見てた。咲希に引きずられて行った蒼一さんに向けてなんだろう。俺も思うよ。例え、それが同情からきていたとしても、さ。


「あ、あの! 美穂さんは、蒼一さんとどういうご関係ですか? 恋人? それとも友達?」


優香…………、今見事に爆弾落としたな。辺りが一気にピーンと張り詰めたような緊張をはらんだ空気が流れる。多分だが、本人は全くそんな思惑は無かったはずだ。その証拠に、滅茶苦茶にきょどってるしな。


「ウフフ、わたしとソウはそういう関係じゃないわ、言わば同士ってやつよ! わたしにはちゃんと恋人がいるしね☆」


ウインク付きで答えた美穂さんに、俺は飲みかけの紅茶を吹き出した。


「うわっ!? 翔太、汚い!」


「翔太くん大丈夫!?」


見てくれ、この扱い。和磨からは見事に叱責を、優香には見事に心配を貰った。美穂さんからは苦笑が来た。

何か色々と身に染みる………。


そんなふうに和気あいあいと会話をしていると、何やら焦った様子のレイヴァンが来た。あ、何かあったな?


「ご会談中、失礼致します! サキ様はいらっしゃいませんか!?」


一応、美穂さんがいるからか、何があったかは言わなかったが、緊急事態なんだろうなぁ。態度で分かるぞ?


「咲希なら、あっちにいる、蒼一さんがいるから失礼の無いようにな?」


念のために言えば、勿論との返答が。そりゃそうだ。他国の勇者に喧嘩なんかうれるか! もしやったら戦争勃発だぞ!?

そんな心配は杞憂だったが、戻ってきたレイヴァンは可哀想なくらいに、顔を引きつらせていた。うん、マジでアレを見ちまったらしい…………。なんつー、哀れな。


「ちょっと抜けるね? 終わったらすぐ来るから!」


そう言い残して、咲希は一目散にかけていく。明らかに焦ってますって顔だぞ? マジで大丈夫なのか!?


「イヤー、偶然でも助かった! 何があったかは知らないが、マジで呼んだ奴に感謝だな!」


蒼一さんは、そう言って豪快に笑ってた。ある意味スゲーよ、咲希との話し合いの後に笑うとか!! 俺は無理、絶対に無理!! 尊敬するよ、蒼一さん!


「さーてと、君らには咲希の事で、ちょっと聞いておきたい事がある」


急に真面目で真剣な目をした蒼一さんに、俺は、いや、俺達、勇者後輩組は皆が呑まれた。


「咲希からどこまで聞いてるかは知らないが、これだけは絶対に覚えておいてくれ」


蒼一さんの視線の強さが増した。なんつーか、似た者兄妹? 視線の強さとか、咲希みたいに凄いんですけど。

なんて馬鹿な考えをしている俺を余所に、空気は張り詰めていく。


「咲希はこっちで、魔力暴走とかやったか?」


ん? そんな事あったか?


「無かったぞ?」


俺に続き、二人も肯定した。


「無かったです」


「暴走なんて、咲希さんしてませんよ?」


優香も和磨も、見ていない。つーか、咲希が魔力暴走したら、この辺り一面が更地に返るだろうよ。


「そうか…………、俺が言いたいのはな? あいつが霊力暴走したら、絶対にお前達は触るなと言うことと、俺を呼べと言うことだ」


今、蒼一さんから不穏な言葉が出た。


霊力暴走だと…………?


てっきり霊力は暴走しない物と思ってた。言われて初めて、その可能性に気付いたと言っていいだろう。隣の二人も困惑してるしな。

……………そういや、優香との喧嘩も和解するのに大変だったなぁ。とにかくよく話し合い、それで納得してもらったんだ。優香の頑固さを甘く見てたツケだろうな。


「あいつは過去に一度、霊力暴走をしてる、その時の被害は甚大なものだったんだ」


その口調は苦悩を秘めていた。それだけでも察せられた。どれだけの被害だったかは。


「山が二つ、更地に帰った」




「「「「は?」」」」




蒼一さんを除く、この場の全員が愕然とした表情で固まった。これは美穂さんも知らなかったらしい。つーか山? 山が二つ? 更地だと!?

多分だが、全員の顔が引きつっているだろう。


「霊力暴走って、それが普通なのか!?」


思わず叫んだ俺は悪くないはずだ。頭が理解を拒絶してるくらいだからな。


「いや、咲希が異常なだけだ」


……………何故かその一言で、無性に納得出来た。

あいつの非常識さを忘れてたぜ。多分だが、これを聞いたら咲希にハリセン食らいそうだが、居ないからいいのだ、いないから。考えるのは自由だ。


「普通は部屋とかが散らかる程度な? まあ、総本家の方がなったら近い形になるが、大抵は山が半壊位だしな…………」


どんだけ馬鹿力だよ!? つーか、咲希は魔力も俺達三人分位あるんだぞ? それが暴走とかシャレにならんだろうがっ!!


「だから、魔力はいい、君達で何とかなるだろう………だが、霊力は触るな、魔力しか持たない君達では触ることすら出来ないんだ、だからもしも咲希が霊力を暴走させたら、マジで本当に王都が消えるだろう、だから俺を速やかに呼べ、いいな?」


……………蒼一さん、シャレになりませんよ。


「分かりました、ところで、どうやって蒼一さんに連絡するんですか?」


和磨ナイス! 俺は無理だ。俺が言ったら、場がおかしくなる。


「あー、渡すの忘れてた、これ使え」


そういって蒼一さんが腰のポーチから出したのは、クリスタルで出来た、この国のチャンネルみたいなやつ。丸いクリスタルを支えるように、二枚の葉っぱが下にあり、曲線を描いた蔦のようなクリスタルが、下から支えている。何とも綺麗な芸術作品のようなものだ。


「わあ! 綺麗ですね!」


「あの、これは?」


問うたのは、俺だ。優香は見た目に遣られてるし。和磨にばかりは失礼だろう。


「それはかなり強力なチャンネルだ、国の外でも通じるよ」


……………おいおい、そんなスゲーもんを俺達に渡すって、どんだけだよ!?


「これは、俺が作ったから、問題ないぞ?」


俺達に走った緊張に、いち早く気付いたらしい彼は笑っていたけれど、更に聞き捨てならない事をさらっと言ったよな、今!?


「自分で作ったぁ〜〜〜!?」


俺がすっとんきょうな声で叫んだのは、仕方ないはずだ。だってそうだろ!? 魔道具を作るなんて、高等な技を、俺達はまだ出来る状態じゃないんだからな。一番興味津々なのは、実は和磨だったりする。俺は前の世界の基礎があるから、多分どっかで歪みが生じるために、俺は出来ない。作ったそばから爆発なんて見たくないからな……………。

でも、ちょっとだけ作りてーなー。ダメか?


「咲希にはばれないように頼む、これはお前さん達にしか頼めないからな」


「分かりました、お引き受けします」


まあ、確かにな。咲希が暴走したら、マジで俺達じゃ止められないだろう。彼の協力はあった方がいい。


「翔太が持ってて、多分、咲希さんとの行動が多い翔太の方が、いい気がする」


つまり、俺に咲希のストッパー役になれと…………?

人選ミスじゃないか? 和磨よ。視線で気付いたらしい和磨が、ニッコリと笑ってた。やけに怖い笑顔なのは気のせいだろうか?


「頼むね? 翔太」


こいつ、俺に絶対させる気だ!!


「お前が持ってろよ」


絶対にお前が持ってた方がいいに決まってる! つーか、面倒なやつはいらねーよ!!


「翔太、本音が漏れてるよ、顔に」


ふん、マジで嫌なんだよ。こんなパターンは危険信号! 前の世界で学んだよっ!!

そんな俺を見て、クスクス笑う和磨は、マジで悪魔に見えるよ………。


「ところで蒼一さん! 魔道具の作り方なんですが」


って、いきなり話がかわったな!? 和磨は最近、魔道具に興味津々で、よく関連した本を読んでる。俺は、騎士達相手に訓練してるがな(笑)


「なんだ? 興味があるのか?」


きょとんとした蒼一さん。ちょっとビックリしてるみたいだ。だよな、普通は引くぞ? その勢いに。


「はいっ! 興味あります!」


やけにハッキリ答えた和磨。目が文字通りキラキラしてる。


「自分で作る事が出来たら、やりたい事があったんです!」


ちょっと待て、和磨よ。俺には非常に不味い意味で心当たりがあるんだが。お前のやりたい事って、まさかっ!?


「魔道具で文明機器と呼ばれた物を再現したいんです!!」


キラキラとした物を全面に押し出して、言ってのけた。和磨は、こちらに来てから、技術系に興味を持ってた。俺だって、光る剣とか、アニメでやってた奴を再現したかった。

が――――――。


「和磨くん、夢は構わないが、物によるだろうね」


途端に険しい顔になった蒼一さんと、更に美穂さんも。

はぁ〜〜〜、俺でさえ、諦めた理由があるんだよ。


「ある程度の物が出るのは構わないが、あまり技術的に未来過ぎる物を出したら、もしそれが悪用されたら君は責任は取れるのかな?」


これが俺も諦めた理由だ。悪用されないなんて、残念ながら言えないんだよ。最後まで責任を取る、なんて普通は言えないんだからさ。


「もし作りたいなら、周りに相談してからだろうな? まあ、その相談役もきちんと選ばないと、馬鹿を見るはめになるが………」


自分が作った技術で戦争なんて遣られたら、たまったもんじゃないからな。


「まあ、やりたいなら自分で楽しむか、もしくはある程度制限してやるか、くらいだね」


君だって誘拐とか監禁なんていやだろう?

そう言い放った蒼一さんの険しい目が、和磨を真っ直ぐ見てた。まるでその覚悟があるのか、そう問うかのように。


「それは…………考えていませんでした」


そのまま俯いてしまった和磨に、本当に只の憧れだったのかと、ちょっとホッとした。


「作る事に反対はしてないのよ? ただ良く考えてから作った方がいいわ」


美穂さんに促され、頷く和磨。まあ、これで懲りれば、俺は助かるしな!


さーて、咲希は今頃、何してるかね〜?


読了お疲れ様でした!


本日は難産な99話をお送りします。ちょっとノイローゼ気味になりながら、執筆してます(笑)


さて、次回の9月23日は記念すべき100話記念なのです!! なので、懲りずにまたやります! リクエスト企画♪

応募は簡単ですよ☆ 秋月宛先にメッセージで、こんなの書いてって出すだけです! リクエスト下さった方には、ミニ小説をプレゼントいたします♪

お楽しみに♪


締め切りは前日の9月22日11時59分です。お間違えないようにお願いします。

……………まだ一件も来ておりません。どなたか優しい方、マジでお願いしますm(__)m


そして、9月23日は、記念すべき100話記念ですので、本編の他にミニ小説復活及び、活動報告にて小話書きます!!

今からノイローゼ気味ですが、出します。頑張ります!!


では次回にお会いしましょう!

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