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その六?

このお話はコメディータッチではありますがあくまで「ホラー」です!

苦手な方は決して読まないでください!

そして、食事前の閲覧はぜひご遠慮ください!

・・・ご飯がのどを通らないって泣きついても知りませんよっ!

  第二部・その一、変な美少女


 それは最悪な一日の始まりでした。

昨夜何か変な悪寒がするなー、と一抹の不安は感じていたのですが、それは次の日、ひどい熱と鼻づまりに変わり

「こいつは流行り病だな…」

と僕はすっかり落ち込むことに。

ですが、魔法学校の卒業式は年に一回、例えどんな理由があろうとも欠席すれば卒業を認めてもらえません。

仕方ないので僕は耳まで真っ赤になりながら、鼻をズルズル言わせつつ魔法学校へとのろのろ向かいます。

何とか式もこなし、魔法修習生のマントをもらった僕は早く屋敷に戻って寝なければと家路を急いでいたのですが…

「あれれ?」

いきなり近づくなり、僕の顔をまじまじと覗き込む美少女が一人。流行り病を感染うつしてはと僕はそっぽを向いたのですが、少女ははさらに僕の顔を覗き込み…

「な、何でしょうか?」

苦しいので肩で呼吸しながら彼女に何とか聞き返します。もともとはきちんとした黒いドレスだったのでしょうけど、ボロボロに破れて貧乏ったらしい短い服と化した着衣の少女。細身なのはともかくとしてその隙間から貧相な手足とおへそをさらけ出し、いかにもお涙頂戴の哀れな恰好をしています。

歳の頃は…僕より下の十四歳くらいかな? と見えたのですが、僕と同じ魔法修習生のマントを着けているところを見ると、実際は僕より一つか二つ年上なのでしょう。

それにしてもつくづくボロボロの身なり、たぶん彼女は浮浪者で、一家離散した元貧乏貴族なのかも知れません。そういう僕のうちもひどい貧乏貴族なので、こういう現実を目の当たりにすると他人事ではないとしみじみ不安になってしまいますが。

「あなた、死人使ネクロマンサーいの素質あるわね」

少女は僕にそう問いかけます。これは新手の物乞いなのでしょうか?

「ええっ?」

何かいかにも話に乗って欲しそうな哀れな表情をしているので、僕はわざと信じられないといった表情で驚いて見せます。すると少女は元は美しかったであろう長い栗色の髪、もう長い間洗うことさえできないのかべとべと、ぎとぎとのそれををうっとおしそうに手櫛で梳き、さらに哀れみを誘います。

「今なら無料で教えてあげるわよ♪」

浅ましいまでの媚びを売りながら僕にそっと囁きかけてくる彼女、ひどい熱でボーッとしている僕は既に何も考える余裕などなく、屋敷を出るときに父に強く念押しされた言葉の

「魔法学校卒業したからって満足して手ぶらで帰ってきたらうちの敷居は跨がせないからなっ!」

だけが僕のずきずきする頭にしがみついているので仕方なく彼女の言葉に乗ることに。

「ついて来てね♪」

よほど栄養状態が悪いのか、よたよたしながら前を歩く彼女。ふらふらしながらついていく僕の前を、彼女は危なっかしい足取りで地下墓地へと降りて行きます。やばい、ひどい熱のまま歩き回っていたせいか、今度はひどい悪寒が僕を襲ってきています。

でもここで手ぶらで帰るわけには行かない、と僕は無理を押して何とか這いずるように地下墓地へと降りていきます。

「それじゃ、いくわよ。腐乱死体ゾンビよ、我が友よ、我と客人を歓待せよ!」

いきなり断りもなく呪文を唱え始める彼女。僕たちの足には無数の骸骨スケルトンの腕、そして横穴から続々と這い出してくる数え切れないほどの腐乱死体ゾンビたち。

彼女は元は若い男であったらしい、大量の寄生虫に身体を食い破られ、猛烈な速度で腐敗を始めているゾンビを呼び寄せて僕に見せつけます。

「紹介するね、これが私の彼氏です♪ 先月死んだばかりのこの熟し加減、ちょうど食べ時でしょ?」

そのまま彼女は僕の前で、そのゾンビと熱烈な抱擁をすると、互いの唇を啜り合います。

「はうっ…!」

ひどい熱で意識はもうろう、ゾンビが僕の身体のあちこちをまさぐっているようですが、僕は抗うこともできずにそのまま気を失ってしまいます。

「でも、これで大丈夫・・・」

彼女は先ほどのゾンビとなにやらおぞましいことをしているようですが、僕はそんなものには頓着せず、しっかりと彼女の唱えた呪文を脳に焼き付けながら、崩れるように倒れていきました。

少なくともこれで父の卑猥な折檻せっかんを受けずに済むと・・・

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