#7 不安な風
「どぉしたら良いの…っ」
教室で、あっちゃんの机に両腕を置き、その上に右頬を乗せる。
昨日…翔があたしによくわからないキツいことを言った日、放課後に翔のクラスに行ったらもう姿がなくて。
授業終了の鐘が鳴ったと同時に教室から出て行った、って友達から聞いた。
「紅、なんかしちゃったのかなぁ…?」
わけがわかんないよ!
意味が不明だよ!
「紅……理由がわかんないなら訊いてみるしかないんじゃない」
「うん…そぉなんだけどね、紅は自分で気付けないのが悔しいんだ。大好きな翔のことなのに…」
じゎ……
うわっ、泣きそう。
ごしごし
さりげなく腕で拭く。泣いてるトコなんか、誰にも見られたくないよ…。
「そっか…。それもわかるけどね。紅がこんなに落ちるなんて初めてじゃない?皆瀬、何考えてんだろ」
私ではなく翔に少し苛ついているようなあっちゃんは、そう言いながらあたしの頭をぽんぽん叩いてくれる。
「あっちゃん、大好き」
ぽつりと呟く。
「ありがと。紅は充分いい子なんだから、我慢しない方が良いよ。私で良かったらなんでも聞くから」
「うん…ありがとぅ」
嬉しい。
すごく嬉しい。
あっちゃんはやっぱり、すごく大切な友達。
あっちゃんがいて良かった。
「とにかく今日も家でしっかり考えてくるね。また相談するよ」
「うん。でもあんま考え込まない方が良いよ。じゃ……また明日ね」
「うんっ」
笑顔を作ってみる。
自分でも、顔が怖張ってるのがわかるよ。
あっちゃんはとても心配そうに、ゆっくりと帰って行った。
ふぅ……
「私も、帰らなきゃ」
「あっ、俊ちゃんっ」
丁度私の家に来る途中だったらしく、歩道を歩いている俊ちゃん。
「紅。俺、男子校に行くことになっちゃったんだけど」
家の前に着いたところで俊ちゃんがあたしに言う。
「男子校にしたのっ??紅の学校にすれば良かったのに…」
なぁんだ。
一緒に学校行けると思ったのにな。
「色々編入試験受けたんだけど、一番良いトコに運良く入れたからさ」
ははっ、と軽く笑う俊ちゃん。
「……もぅ。紅は俊ちゃんと一緒が良かったのに」
頬を膨らましてみる。
ダダこねてる子供みたいだけど…。
「紅んとこも良かったけど、みぃとは学校じゃなくても会えるし。学校で“俊ちゃん”とか言われたら恥ずかしいしさ」
「俊ちゃんって言うくらい良いじゃん…。分からず屋」
イライラする。
なんで俊ちゃんは紅のトコに来ないの?
楽しみにしてたのに。
「みぃ?どした、今日ちょっといつもと違う」
「なんともないよ。紅は元気ー」
言いながら目を反らして、うつ向いちゃう。
「みぃ……俺に話せるなら、話してみ?ラクになれるかもしんないんだから」
なっ…、
「なんでわかるの…?紅これでも隠してるんだよ」
隠し事も出来ない程わかりやすい?透けてる?…カッコ悪いじゃない。
「隠さなくて良い。俺、紅のこと昔から知ってるから…お節介かもしんないけど、心配になるんだ」
そっと俊ちゃんの目を見る。
……優しい目。
昔と変わってない目。
「ありがとう…」
更新、遅れました。待ってくださる読者様、いらっしゃいましたらごめんなさぃ。学生の身なので定期テスト中なんです…。なんて言い訳しちゃ駄目ですね。良かったらこれからも応援してください☆ここまで読んでくださって有り難うございました。