#4 幼なじみ
「お待たせ」
「俊ちゃん」
本屋で色んな雑誌を立ち読みしてたら、あっという間に時間が過ぎちゃった。
「お茶飲むか。公園でもワックでもどこでも良いけど」
「あー紅、ケーキ食べたいなぁ。スタパ入ろうよ」
紅茶ケーキが食べたいのだ☆
「紅、昔から甘いの好きだったもんな」
「そう!今も健在なの」
「わかった。じゃぁ、行こう」
ふっ、と笑って俊ちゃんが本屋を出る。
背中、すごく大きくなったなぁ…。
§
「ねぇ俊ちゃんー今日夕飯食べに家おいでよ」
もっともっと、たくさん一緒にいたいっ。
「いやいや、まだカナダから帰ってきたことも知らせてないから…。ちゃんと親と挨拶に行くからさ」
うぅ…。
なんでそんな、しっかりしちゃってるの。
「そんなこと気にしなくて良いよ!今更じゃん!」
「んー俺も、みぃん家は行きたいけど…」
「よしっ決まり!!私、お母さんに電話するから、俊ちゃんも家に電話して?」
善は急げ!!って言うよね。
「もしもしママ、紅だけど。紅だよ!今俊ちゃんといて、今日ご飯食べに来て良いでしょ?」
いつもより早口で伝える。
慣れないことはしちゃダメだね…。
何言ってるのか自分でもわかんなくなっちゃった。
俊ちゃんはそれ見て笑ってるし…。
紅なりに精一杯やってるのにっ。
「紅、俊ちゃんって昔お隣さんだった中山さんの?」
「そぅだよ、先週に帰って来たんだって。ショップでバイトしてたの」
「……あら!!それは大変、電話替わってよ」
「良いよ」
ママも俊ちゃんはいい子だって、言ってたっけ。
家族ぐるみで仲良しだったもんね。
「俊ちゃん、ママが替わってって。はい」
携帯を渡す。
「ん、ありがと」
すぐに受取り、
「おばさんお久しぶりです、俊です」
「あらぁ〜随分素敵な声になっちゃって。俊ちゃん、今日家にいらっしゃいよ。俊ちゃんのお母さんともお話したいわ」
「じゃぁ…お言葉に甘えます。まだちゃんと挨拶もせずにすみません」
「そんな水臭いこと言わないの。じゃぁ今からおいでね。あ、お母さんにお電話したいから番号教えてちょうだい」
「あ、はい…」
ガサゴソと鞄の中をあさり、メモを取り出す俊ちゃん。
「えーと、5490-0000です」
「はいありがとう。じゃぁまた後でね」
ピッ
「今から紅の家に向かってってさ」
「うわぁーい!嬉しいっ」
美味しいケーキ食べれたし、俊ちゃんと会えたし。今日は最高の日だなぁ…☆