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これからも

「見て、キレイ……っ」

「紅の方がキレイだよ」

「だっ……」

 夜空に華やかに、そして儚く散る花を見るバカップル。

 ありきたりな場所でありきたりな台詞を吐き、ありきたりに顔を赤らめキスをする。

 何年も付き合って来て、こんなにラブラブなのは初めてのこと。

だから余計――タチが悪かったりもする。

 二人の世界に浸りきり、周りが見えなくなっているんだから。


 浴衣でカラコロ夜道を歩き、手をきゅっと握る。

二人共幸せが嬉しくて、ちょっと怖くて想いを繋いだ手に込めるんだ。

「今日……楽しかったね」

 心地良い静寂を破る必要はなかったのだけれど、ふと相手の声を聞きたくなって話しかける。

「何、まだ今日は終わらないけど?」

 にやりとイタズラっ子のように笑い、相手の表情を見る。

「なんで? 後三時間で今日は終わるよ」

 携帯電話の時計を見て確認する。

「まだ三時間ある。今日は両親ともいないからウチにおいで」

 語尾に小さくハートマークを付けてじっと相手の目を見つめる。

「え? こんな遅くに……」

「いいじゃん、変なことはしない。多分」

「たぶん……」

 最後のさりげなくも重要な言葉を頭の中で繰り返し、

「帰るよ」

 と申し訳なさそうに伝える。

「だろうな、分かってる。いつかは……な?」

 少し真剣に瞳に語りかける。真っ直ぐな視線には敵わない。

「……いつかは、だよ?」

 高校生にはまだ早いと考えている彼女は、その部分だけは難くなだ。

「はい、気長に待ちますよ」

 またきゅっと手を握りなおし、再びゆっくり歩き出す。

 カラコロ、カラコロ、のんびりと。


 大丈夫。二人の気持ちは繋がっているんだから――。




終わりです。エピローグのようなつもりで仲の良い紅と翔を書きました。最後は敢えて、あまりお互いに名前を呼ばせないようにしてみました。

紅も翔も俊も櫻も、皆大切な子たちです。応援してくださった皆様には感謝しまくりです。この作品を読んでくださって本当に、本当に有り難うございました!

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