#15 深い友情
相葉櫻ちゃん――中学生時代はバトントワリング部に入部していて、小悪魔的な魅力があり男子から人気があったらしい。後輩の女子を呼び出して脅したり(
「アンタでしゃばってんじゃないわよ!」
みたいな)、クラスの大人しい子をいじめる首謀者だったりしたらしい…。
「有名な話なの?」
その話を教えてくれたあっちゃんに尋ねる。
「うーん、一部ではね。私達には関係無いと思ってたけど…そうか、皆瀬に来たか」
来たよぉ…。
あたしに、そんな強い子と闘えるのかな。
イジメなんて全く関わったことない、対極にいるあたしに…。
「今は帰宅部で大人しく可愛い子やってるみたいだから、強固な態度には出られないと思うよ。取り敢えず、本当に今日、二人が一緒に帰るのか見てみなきゃ」
「そうだね…」
あっちゃんは、ふっと笑って、
「そんな心配しない。皆瀬が言った言葉忘れたの?それに、櫻って子は本質的に中学生のときのままだろうけど、紅には強い味方がいるでしょ?」
味方…。
ぱっと目を上げる。自信に満ちたあっちゃんの笑顔。
ほんとにほんとに、力強い!あっちゃんがいなかったら、きっと不安で押し潰されてたと思う。
友達って本当に良いもんだね…。
「一人でも、信じ合える友達がいるということは、それだけで強い精神的支えになるんです。それは皆さんも身を持って感じている筈。友達じゃなくたって、なんでも話すことの出来る人がいればそれが心の拠となるのです。もし、今、そんな人に出会っていなかったとしたら、私どもに電話したり、クリニックに来てみてください。どんな些細なことでも、朧な不安でも、思ったことを話すだけで良いんです。最近は――…」
心理カウンセラーの林 梨佳さんは、こんなこと言ってた。
あたし、この人の占い本をたくさん持ってるの。
最近また懲り出したんだ。占いとか心理テストとか大好き。
翔にもこんな話をしたことがあったけど、くだらないって笑われちゃったっけなぁ…。