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#11 衝撃の味

「紅、おせーぞ。待たせんなよな」

放課後、授業の質問をし終った私が翔のクラスに行くと途端に翔が立ち上がり、

「行くぞ」

と私の頭を軽く叩きながら教室を出て行った。

「うん。ごめんね」

まだ翔の感触が残っている頭を触りながら、翔を追い掛ける。

言わなきゃ。

言わなきゃ…。

ちょっと、距離を置いてみたいの、って。

すぅ……はぁ〜

翔に追い付いてから、深呼吸。

「何、気合い入れてんの?」

横目で私を見て、軽く笑う翔。

この笑顔が、あたしの好きな笑顔で、翔がよくするイタズラな笑顔。

「気合い……。うんっ、そだね」

ぅおっし、ここは女らしく、ばちっと決めなきゃだよ…。

「気合い入ってる紅なんて見たこたねーな。体育祭の時の空回りなら何度もあるけど」

そんな楽しそうに笑わないでよ…。今からあたしは、一大決心を伝えるんだから。

「し…翔?」

「あ?」

私の雰囲気に気付かないのかな。結構ピシッとしてるつもりだよ。

「あのね、えっと…なんか、ね…」

しどろもどろになっちゃうよ!

でもここではっきり言わなきゃ何も変わらないし、良いことなんてない。

「少し…距離を置いてみたいの」

言ったよ…。

チラッと翔の様子を伺う。

表情のない顔……。

ほんとは何か考えてるのかもしれないけど、今の私じゃわかれないよ。

鈍い私が大嫌い。

もっと皆の気持ちをわかりたいのに、気付けなくて、人に助けてもらってばかりで…。

そう、自分のことがいやだから、これ以上翔と居られるのか不安なんだ。

だからまず、自分から離れてみたいの。

「……なぁ」

私から顔を反らし、呟くように喋る翔。

「お前、俺を嫌いになった?」

「そんなわけないじゃんっ。私はずっと…っ」

翔のことが好き。

でも…でも、上手くやってけるかわかんないの。

今まで二年間付き合って来たのに、相手の気持ちが読めないってどうなの?

有り余る程の“大好き”を持っているのに、どうして…。

「じゃあなんでだよ。俺が朝言ったことは気にすんなって言わなかったっけ?」

苛々した空気が伝わってくる。なんで怒るの。私は悪いことなんてしてないよ。

「朝のこと、最初は深く考えなかったけど、都合が良いとかっておかしいと思うし…結構ショックだった」

はあぁー

とても面倒臭そうに大きな溜め息をつく翔。

「わぁったよ、面倒なヤツ。距離置きたいって?好きなだけ置きゃぁ良いだろ」

……良かった、のかな?

「うん、じゃぁ……」

バイバイって言おうとした私を、突然遮る声が聞こえてきた。

「みーぃー?帰るのか?俺、今からそっち行くとこだった!」

明るい男の子の声。俊ちゃんだっ。

「俊ちゃん、ちょっと待ってて!」

思わず笑顔になった後で、翔の方を見る。

「何…アイツが“俊ちゃん”?」

「そうだよ……?」

どうしたの、翔。もっと苛ついてるように見えるけど。

「よっ。……あっ、ごめん!紅一人かと思った」

坂の上からゆっくり降りて来た俊ちゃんは、翔がいることにすごくびっくりしてる。

「どーも」

不敵な笑みを浮かべ、翔が挨拶する。

「ごめんね俊ちゃん、ちょっと待ってて。今翔と話してるから…」

翔の様子が明らかにおかしい。

俊ちゃんは別になんとも思ってないみたいだけど、邪魔をしたと思ったらしく慌てて、

「じゃぁ先行ってるわ。お邪魔してすみませんでした」

また明るく去って行こうとした。

「待てよ、“俊ちゃん”。紅の幼馴染みだって?」

口の歪みを治さず、俊ちゃんに話しかける翔。

私は…見たことのない翔の黒いオーラにぞっとしてる。

「あぁ、一応な。ごめん、俺行くから。邪魔して悪かったな」

俊ちゃんは友達に接するようにしてる。

「あぁ…またな」

にやっ

また変な笑い方をする翔。

私は…見たことのない翔の黒いオーラにぞっとしてる。

「あぁ、一応な。ごめん、俺行くから。邪魔して悪かったな」

俊ちゃんは友達に接するようにしてる。

「あぁ…またな」

にやっ

また変な笑い方をする翔。怖いな…どうしちゃったんだろ。

「ん、じゃな」

俊ちゃんは私の家に向かって行った。

「紅」

「っ、はいっ」

なんだか慌てちゃう。雰囲気が恐ろしい感じ…。

「俺、お前と別れない。あくまでも距離を置くだけだから。いつでも戻って来て良いぜ」

翔が居場所を残しておいてくれるのはすごく嬉しい。

まさかこんなこと、言ってくれるとは思わなかったよ。

「うんわかった。ありがとう」

ぎこちなく笑顔を作って、今度こそさよならを言おうとした。

ぐいっ

翔が物凄い力で、私の腕を掴み、そのまま自分の方に抱き寄せる。

強く、激しいキスをしてくる。

何?

なんなの…?

いきなりでよくわからなかった。わかるのは、今も唇を覆われているってことだけ。

ちょっと…待ってよっ。

こんな痛いキスなんてしたことない。というか、しようともしなかったのに。

体を引きはがそうとしても、力が強くてびくともしない。

何分経ったろう…。

ゆっくりと翔が口を離す。

「んっ…」

はぁ…はぁ…

息が乱れる。苦しかった。

「紅、忘れんなよ」

「…え?」

まだ整わない呼吸をしながら、翔を見る。

翔の顔が右の耳元に近付く。


「お前は、俺のモノだからな」

皆様、ここまで読んでくださって有り難うございます。評価やメッセージも頂けて喜びまくっています。よく頂くのは「少女漫画っぽい」ですねf^-^;確かにこのお話は、漫画のような雰囲気を持たせたいと思っているので、皆さんに伝わって良かったと思います。それと、主人公・紅の性格についてはまず、「鈍感」の一本につきます。(笑)色々考えているのに空回り、全く逆の結末を生んでしまうようなタイプ。天真爛漫でポジティブなので、周りに悪い人なんていないと思っているんですよ。受け入れられない人も、現実にいるのですがね。六割程、紅と作者の性格がかぶっていたりもします(残念ながら…)。世間知らずな作者ですが、今後とも宜しくお願い致します。評価のお返事、出来るものはしていきたいと思っています☆

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