#1 気まぐれ
恋愛っていうのは、
お互いの気持ちが釣り合って始めて成り立つものだと思ってた。
だってそうじゃないと、
重いとか
物足りないとか
色々不都合が生じるでしょ?
そう…生じるはずなんだ。
「よ、お待たせ」
「…私も、今来たとこだから」
「そっか」
満足げに笑う彼―皆瀬 翔が、私―斎藤 紅にゆっくりと歩み寄って来る。
……待ち合わせ時間がとうに過ぎた二時間後に。
「どこ行く?」
「ん?映画…だよね。チケットちゃんと取ったんだよ」
もしかして……。
「俺、映画って気分じゃないや。ボーリングだなっ」
やっぱりっ!
「ちょっと待って!私今日スカートだし…。ボーリングはやめない?」「何言ってんだよ。早く行くぞ」
私の手を握り、ぐいぐい引っ張る。
あぁもう……。
予定通りに行動することが、一回でもあった?
どうしてそうやって、私を困らすの。
…私があなたを、嫌いになるはずないって思ってる?
そんなわけじゃ…あるけど……。
自己中なあなたなのに、ダメ、嫌いになんかなれないよ。
いつまで経ってもきっとこの力関係は変わらない。
だって私はあなたに心ごと奪われたから。
昔、あなたにもらった言葉を今もずっと覚えているから。
それをずっとずっと、信じているから―。
この作品はとてつもなくスローペースで更新していこうと思っています。その分、愛情込めて書きますね。どうぞ、応援よろしくお願いします。