35.はしって、きりふせて、しっせきして、さらにおくのげんきょうのもとに。
けぇー! けぇー! けぇー!
けぇー! けぇー! けぇー!
けぇー! けぇー! けぇー!
けぇー! けぇー! けぇー!
「だぁー、もうっ!
うるせぇ! 際限がねぇ!」
ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。
「通路を塞ぐくらいに満ちあふれているじゃねーか、こいつら!
あー、もう!
面倒くせぇ!」
ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ……。
「などと文句をいいつつ、速度を緩めることなくすれ違いざまに、的確にのどか目か足の腱を斬りつけている。
こうして仕事ぶりを実際にみてみると、お前さんもたいがいに規格外だな、抱き枕」
「今はちょっと、数が多すぎて一羽一羽にとどめをさしている余裕はねーからな!」
ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ……。
けぇー! けぇー! けぇー!
けぇー! けぇー! けぇー!
けぇー! けぇー! けぇー!
けぇー! けぇー! けぇー!
「とどめは誰か、後から来るやつに任せておいて、こっちは一刻も早くこいつらが沸いてくる場所にいって、これ以上沸いてでないように手を打つのが先決だ!」
「判断としては間違ってはいないと思うが……この方向で、あっているのか?」
「こいつらが際限なく出てくる方向に走っていれば、いつかは源流にたどり着くだろうさ!」
ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。
けぇー! けぇー! けぇー!
けぇー! けぇー! けぇー!
「おそらく、おばさんたちがみつけたとかいう階段とやらから沸いてくるんだろうが……まあ、実際にいってみりゃあ、真相は否が応でもはっきりらぁ!」
ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。
けぇー! けぇー! けぇー!
けぇー! けぇー! けぇー!
「これほど光源にとぼしい暗闇の中で、ほぼ全力疾走のまま無数の獲物にダメージを与え続けているお前さんも……器用とかいうのを通り越して十分変態の域にはいっているな……」
「変態いうなあ!」
「誰にでもできる芸当ではないのは、確かであろう」
「もともと、夜目は効く方なんだよっ!
いつものように書き物をしないのなら、とくに相手がこんな、絶え間なく鳴き声をあげて自分の居場所を知らせくれるやかましいやつなら、多少暗くても別段支障はねーよ!」
ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。
けぇー! けぇー! けぇー!
けぇー! けぇー! けぇー!
「……っと、明かりがみえた……。
取り残されたやつら、か?
……おーい! 無事かぁー!
もうちょっと、辛抱しとけ!
今ささっと、周辺にいるニワトリトカゲもどきを片づけるから!」
ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。ずしゃ。
けぇー! けぇー! けぇー!
けぇー! けぇー! けぇー!
けぇー! けぇー! けぇー!
けぇー! けぇー! けぇー!
けぇー! けぇー! けぇー!
けぇー! けぇー! けぇー!
「……うわぁ……」
「……血塗れのメイドさんが……」
「……あっという間に、何十というモンスターを一掃してくれただよ……」
「おめーらも、いつまでもぼさっとしているんじゃねー!
壁際にづたいにこっちきて、これ以上、ニワトリトカゲもどきがこっちに来れないよう、バリケードを設置しろっ! 手が空いているやつが蹴とばすなり資材でブン殴るなりしてくたばりそこないのモンスターにとどめをさしておけ! 迷宮の入り口からここまでのニワトリトカゲもどきは、だいたいおれが手負いにしておいたから、放置しておけばそのまま出血多量で勝手にくたばるはずだ!」
「その声……」
「ひょ……ひょっとして、ぼっち王の旦那……なんですかい? その格好……」
「いろいろと事情が……子細をつまびらかにはできない大人の事情というやつがあってな。
不本意きわまるが、致し方がなく、今このような格好をしている。理由については、どうか聞かないでくれ。聞かれてもおれは答えたくはない」
「そ、そりゃあ……」
「そもそも今は……そんな詮索をしている場合ではねーだよ」
「そだそだ。
これ以上、モンスターが出て来れないようにする方が先だで」
「旦那がいったとおり、作業の邪魔になるモンスターだけをブン殴って近寄らないようにして、バリケードを作るだよ」
「幸い、資材は余分にあるし……これ以上モンスターが増えないのなら、バリケードを構築するのとモンスターを遠ざけるの、二手に分かれれば、なんとかなりそうだよ」
「それじゃあ、ここにバリケードを築き終えたら、お前らはそのまま迷宮から撤退しろ。ここから出口までは手負いのモンスターしかいないはずだし、順次手が空いた冒険者たちもこちらに向かっているってはなしだから、お前らだけでもなんとかなるはずだ。
おれはこのまま、ここからさらに奥の様子を確認してくる」
ひゅん。
「ありゃ……消えた」
「なんともまあ、忙しない方だなや」
「旦那には旦那の、おらたちはおらたちの仕事があるでよ」
「んだ。
おらたちはおらたちの仕事をしっかとこなすべ……」
……ぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉぉんんん……。
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん……。
「なんだ? 今のは?」
「犬……野犬?
いや、狼の遠吠え……か?」
「迷宮の出口方面から聞こえてきたでよ」
「なら……まず、心配はいらねえ。
さっき、ぼっちの旦那は外にいる冒険者が迷宮に集まってきているとか、いっておったで。
今、迷宮の外には一騎当千の腕利きたちが集まっている案配だで」