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ジジイ、異世界で魔女の師になる  作者: 秀文
第1部:ジジイ、異世界で魔女の師になる
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植物と魔法

 今日のティータイムは、いつもと趣が異なっていた。それと言うのも、場所が裏手の菜園だからである。


 屋敷の玄関である正面は、花が咲き乱れるハーブ園。しかし、裏手側は野菜を中心とした農場となっているのだ。


 野菜畑の手前で私とリリィは向かい合う。そして、アスクは私の足元でとぐろを巻いていた。今日の私は菜園でリリィに話を聞かせて貰っている。


『この土地は凄く特別なの。霊脈って言うのが下に存在して、オマケに太陽神の加護まであるの。魔法を使った植物育成には打ってつけの土地って訳ね』


「魔法を使った植物育成?」


『うん、そうよ。見て貰った方が早いかしら?』


 そう言うとリリィは足元の畑に視線を向ける。そこはまだ何も植物が生えておらず、これから手を入れる所なのだろう。


 そう思っていたら、ボコボコと土が盛り上がる。まるでモグラが穴を掘る様に、地面が勝手に耕されて行く。


『ケンジは確か、ワイルドベリーを栽培したいのよね? それじゃあ、種を蒔きましょうか』


 そうリリィが告げると、小さな袋が独りでに転がって来る。それを拾い上げたリリィは、中から小さな種を取り出し、畑にパラパラと蒔き始めた。


 前にもそうやって野菜を運んでいたけど、魔法とは本当に便利なものだ。わざわざ自分の足で、種を取りに行く必要が無いのだから。


『種を蒔いたら次は水やり。けれど、それも魔法でパパっと済ませるわ』


 リリィがさっと手を掲げると、種を蒔いた畑の色が黒っぽく変わる。どうやら、土に水分が含まれた事で変色したみたいだ。


「凄いね、リリィ。魔法で水を生み出したのかい?」


『違うわ、ケンジ。地下から水を吸い上げたの。何も無い所から水を生み出すのって、私には出来ないもの』


「うん、アルラウネが得意なのは土の魔法。水の魔法は得意では無いね。それが得意なのは、また別のニンフなんかになって来るだろうね」


 リリィの説明にアスクも補足を付け加える。確か以前にもそんな話を聞いた気がするな。


 そして、ニンフとは精霊の様な存在らしい。恐らくは水の精霊みたいなニンフも存在するのだろう。


「そういえば、魔法って何なんだろうね。やろうと思えば、何も無い所から水を生み出す事も出来るんだろう?」


『う~ん、出来るとは思うけど……。改めて魔法が何かって聞かれると……。そこの所、どうなのアスク?』


 どうやら、リリィも詳しくはわからないらしい。アッサリと考えるのを諦め、足元のアスクへと話を振った。


「ははは、任せておいてくれ。魔法が何かという話だが、それは神で無い者が扱う奇跡さ。神の神秘を劣化させ、人間やニンフでも扱える様にしたものって所だね」


「神の神秘を劣化?」


「その通りさ、ケンジ。神は様々な奇跡を起こす事が出来る。神々の中でも、得意とする分野は違っているけどね。ただ、人間やニンフでは不可能な事も、神ならば出来るって事は沢山あるんだ」


 これまでも会話の中で、神の存在は感じていた。けれど、やはりと言うべきか、この世界には神が実在するらしい。それも、多くの神々が存在するみたいだ。


 そして、魔法は神の起こす奇跡の劣化版らしい。ぼんやりとだけど、魔法の輪郭が見えて来た。そう思った私に、アスクは更に説明を続ける。


「そして、アルラウネが土の魔法を得意とするのは、生まれながらに大地の母神ガイアを信仰しているからさ。凄く簡単な魔法を除けば、基本的に使える魔法は信仰している神によって決まるからね」


『その通りよ、ケンジ! 余りにも当たり前過ぎて、説明が必要とすら思ってなかったわ!』


「なるほど、そんな感じか……」


 つかり、魔法とは神の奇跡の劣化版であると同時に、信仰する神の加護でもあるらしい。そうなるとこの世界では、神々への信仰がかなり根強い物だと予想される。


 もし、外の世界に出る時が来れば、この辺りは確実に知っておく必要があるな。どんな神々が存在して、どんな宗教が存在しているのか。


「……そういえば、この土地は太陽神の加護があるって言ってたよね? 私も太陽神を信仰した方が良いのかな?」


「あ~、いや……。ケンジ、急いで信仰対象を決める必要は無いよ? 太陽神は広く信仰されているけど、確実に加護を与えてくれる訳じゃないしね……」


『それに魔法使いなら、ヘカテー様の信仰者が多くなかった? あれって魔女だけだったかしら?』


 どうやら、神様によって加護の有無もマチマチらしい。魔法使いに信仰されている神様なんかも居るみたいだしね。


 アスクも急いで信仰対象を決める必要は無いと言っている。ならば、それは一旦保留にして、まずはどんな神々が存在するかを教えて貰うべきだろう。


「それじゃあ、アスク。時間を見つけて、神についての授業をお願い出来るかな?」


「勿論さ、ケンジ。時間ならいくらでもある。たっぷりと時間を使って説明してあげるよ」


 アスクの快諾が得られたので、神々の話はこんな所で良いだろう。それよりも今は、せっかくリリィの菜園にお邪魔しているのだ。植物と魔法の関係をもっと教えて貰うべきだ。


「それじゃあ、リリィ。他にもどんな魔法があるか見せて貰えるかな?」


『任せて、ケンジ! とって置きの魔法を見せてあげるわね!』


 そして、はりきったリリィは、私に様々な魔法を披露しくれる。土に関する魔法以外に、植物の育成を早める魔法、虫除けや病気への耐性を付ける魔法等々……。


 空が赤く染まるまで、私はたっぷりと魔法を目にする。それと同時に、私はリリィとの仲をより深めるのであった。

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