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ヒトリミサキ  作者: ⻆谷春那
第1章 日常は泡沫
3/45

お嬢さん、御冗談は良くありませんな。

「お嬢さん...?」


純白の陽炎少女は陽炎の如く消えた。


「・・・海斗君。」

「・・・ちよ、先程のお嬢さん、何方に消えてしまわれたんだ?」

ヒトリミサキ

岬は小池になりました


第3話

お嬢さん、御冗談は良くありませんな。


思ったより闇が深く、静まり返る一同。


「おきになさるな。

なに、ただのじょうだんさ。」

「・・・びっくりしましたよ。

流石に笑えない冗談でしたよ、お嬢さん。」


自分が連れてきた少女がとんでもない事を言い出し、焦る岬。


「だいじょうぶさみさきさま。

れいこがしつげんしないかどうかしんぱいなさられていたのだろう?

あんしんなされ。

しつげんしたとて、ようちなはつげんをくりかえしたとて、

いくらでもばんかいできますぞ。

あんしんしておはなしできますぞ。」

「いや、挽回できない場合のほうが多いから失言はアウトなんですよ…」

「あんしんなされよ、みさきさま。

おつぎはもっとうまくおはなしできるようにいたしますぞ。」


非常識なれいこ嬢に半ば振り回されている岬。


「・・・で、れいこ嬢はどうしてお前についてきているんだ、岬?!

やっぱりあれか?!

誘拐か?!」


斎藤の感性がもはや

「びっくりするほどユートピア!」


「いや!

た ゛ か ら と ゛ う し て そ う な る ん た ゛ !」

「たしかに、れいこちゃんは何故岬みたいな面倒くさい男(・・・・・・)

同行しているのか、気になりますね。」

「おいそこ。

僕のことを「面倒くさい」とか言うな。

確かに事実だが...

・・・こちらのお嬢さん、いつの間にかついて来ていた...」

「なに、かんたんなことさ。

れいこはみさきさまのよめだからさ。」


おっと、修羅場の予感。

誰か、誰かパパラッチを呼んで来て差し上げて。

文〇砲くらい威力がありそうなところの記者でお願いします。

・・・あれ…?

皆々様は文〇砲の世界の方々で合っています…?

・・・あ、良かった。

合っていますね。


「・・・おい岬ぃぃぃ!!!」

「・・・岬、残念だ…」

「いや、違う!

お嬢さんが勝手に!」

「・・・みさきさまはおぼえておらぬのか…

あのあついひびを…

・・・それでもいいさ。

れいこはそれでもみさきさまをおしたいしているから…」


極めつけのれいこ嬢による意味深発言。


「岬…?」


もはやホラー映画ばりの斎藤の表情。


「いや、だから違うっ!」

「・・・あら、木村君と斎藤君もいるの?」


謎に高級感を漂わせた日傘ガールのご登場。


「あ!ちよさん!

た、たたたたた、大変です!」


修羅場の予感で口がもはや機能しなくなる斎藤。


「大変って言われても何が大変なのかしら…?

・・・あら?」


ちよ嬢はれいこ嬢に気づいた模様。


「こんにちは。

可愛い御着物ね。

貴女、お名前は?」

「・・・おのれはかいとさまにとって、だれか?」

「え?私?ふふふ。

私はね、海斗君のお嫁さんなの!」


ここに来てまさかの伏線回収。

そして更なる修羅場。

「嫁を名乗る女と嫁」

とかいう、極上の修羅場だ。

これはやはり文〇砲を撃たなければ。

・・・まぁ、その「嫁を名乗る女」は幼女なのだがな…


「・・・おのれがあばんちゅーるのみすいはんか…」

「え?何て?」

「なんでもない。

いやらしいおんなにはつたわらないこうしょうなことばさ。」

「・・・何を言っているのかしら?」

「あ、ちよさん。

この子誰ですかね?

岬が連れてきたんですけど、

「自分が岬の嫁だ」

とか言ってて…

親戚の子ですか?」

「ちよさん!

浮気ですよ!

粛清の手伝いならいくらでもします!」

「・・・斎藤は

「浮気だー」

って騒いでますけど、多分幼稚園児とかの

「私大きくなったら先生と結婚するー」

「お父さんと結婚するー」

とかのやつだと思うんですがね…」


もはや、ちよ嬢は斎藤や木村の言葉なぞ聞いてはいなかった。

鬼女のような恐ろしい、爛爛とした光を内面に湛えた目でれいこ嬢を見ている。


「・・・成程。

お前が」

「れいこだ。

「くたばれどろぼうねこ。」

ということばをしょかいはのこしておわるとしようぞ。」

「・・・勝手に終わらせないでくれない?」

「だってそうだろう?

おのれはかいとさまとれいこがせっしょくしようものなら、

そくざにやりなおすだろう?」

「・・・泥棒猫はそっちじゃないの?

海斗君は私と一緒にいたほうが幸せになれるわ。」

「かんちがいもはなはだしいな。」

「・・・お嬢さん方、2人で何の話をしているのですか…?

・・・おい、木村?

斎藤?

なんで急に沈黙を貫きだしたんだ…?


何ともいえない恐ろしい雰囲気が広がり、


「嫌な冗談はやめろ」


と両名の肩を揺さぶるが何も答えず、いや、何も動かなくなり、

岬の恐怖が高まっていく。


「・・・おい。

返事しろよ…

応答してくれ!

せめて反応してくれ!」


勢いよく肩を叩く。

ドサ・バタンと、何の反応もなく倒れる。


いきなり人形のようになった(木村・斎藤)に恐怖を覚える水害の精霊()


「・・・木村?斎藤…?」

「ほら、やはりやりなおしておるではないか?」

「・・・るさい。」

「は?」

「うるさいうるさいうるさい!

やり直したっていいじゃない!

私は!海斗君と完璧な生活を作りたいのよ!

なのに貴女が邪魔をしてくるから!」

「ふん。みさきさまがごたいまんぞくでなられずとも

「かんぺき」とは!

かたはらいたいぞ!」

「・・・お嬢さん方…?

これは何が…?」


岬の存在を思い出したかのように駆け寄るちよ嬢。

そして岬の顔に手を当て、ぐいと顔を持ち上げ、

自分のやたらと白く、赤い、化粧の濃い顔に近づけた。


「大丈夫。海斗君は知らなくてもいい事よ。

私に任せておけばいいの。」

「・・・ちよ、何が…?」

「あぁ海斗君!

海斗君が私の名前を呼んでるわ!

海斗君!大丈夫よ海斗君!

私に任せて!

2人で完璧な新婚生活を築きましょう!」


そんなちよ嬢をれいこ嬢は蹴り飛ばす。


「ぐゃ!」


醜い声だった。

先程まで岬に語り掛けていた時の猫なで声とのギャップが激しい。


「何するのよ!」

「きゃーきゃーかんだかいみにくいこえをはっするな。

かいとさまのおみみにいれるな、けがらわしい。

さるのほうがかしこそうなのにさるよりもみにくいこえをはっするとはな。

・・・そのみにくいけしょうのこいかおを

かいとさまのたんせいなおかおにちかづけるな。」


「何ですって?!」

と再びヒステリックに叫びだしたちよ嬢をよそ目に、れいこ嬢は岬の顔に手を当て、

へたりこんでしまった岬と目を合わせられるよう、

純白の着物を地面に付けることも厭わずにしゃがみこんだ。

そして耳元でこう囁いた。


「あとはんこくほどのしんぼうですので、たえてくだされ。

・・・はらのきずはいちおうはふさいでおきました。

それと…また、しけんべんきょうにつきあってくだされ。

わたし、かいとさまとおなじがっこうにかよえるように、

せいしんせいい、しょうじんいたしますので。」


言葉を飲み込んだ間があった。

本当に伝えたいことは試験勉強ではないだろう。


「・・・お嬢さん…?」

「ちょっと?!

私の海斗君に何吹き込んでるのよ!?」

「おのれのかいとさまではない。

かいとさまはだれのものでもない。

かいとさまはかいとさまのものだとわからぬほどちのうがひくいとは、

ぎゃくにあわれになってくるな。」

「何ですって?!」

「・・・おしだされている…

・・・かいとさま、れいこはもうじかんぎれのようです。

またじかいにおあいしましょう。」


「ちゃぽん」と音が、水の音がした。

—————————————————————————————————————

「バシャバシャバシャ」と、何か大きなものが水に落ちたような音がした。

—————————————————————————————————————

鳴り響く目覚ましの音。

始業式の朝。

自力で起きた妖の少年。


「海斗君おはよう!」

「あぁ。おはよう、ちよ。」

「よく寝れた?」

「変な夢を見た気がするが、概ねよく眠れたよ。」

「そう、良かった!

朝ごはん出来てるよ!

今日は始業式よ!

今日は一緒に行かない?」

「あぁ、もちろんさ。」

皆々様、初めまして、またはこんにちは。

⻆谷春那です。


ちよ嬢、ちよ嬢か...




ちよ嬢は


「ヒステリック」

「面倒くさい」

「自分勝手」

「メンヘラ」

「微妙に顔が良い」


などなど、まぁ読者に嫌われそうな属性を詰め込みましたのでね、

ちよ嬢は嫌いになられる方が続出されても仕方がな、い...?




海斗君...

れいこちゃん...




・・・次回もお楽しみに...

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― 新着の感想 ―
ちよ嬢…かわいいけど…ヒス持ち…でもそんなちよ嬢も可愛い!! ちよ嬢が先に岬と結婚している様ですが、既婚者にここまでアピールするれいこちゃんは何者なんだ…?この3人の中には何か裏がありそう…!どちらが…
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