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「狡いぞ。2人で馬に乗りに行くなんて」

 昨夜、食堂に残ったエリックは腹一杯夕食を摂った後、俺達が先に部屋に帰っているかと1人で部屋に戻ったようだ。

 俺達が部屋に帰った時には、俺達を待ちくたびれて先にベッドでぐっすりと眠っていた。

 目覚めて横に寝る俺を揺り起こしてから、今朝はずっと付き纏い文句を言っている。

「だから、ごめんて。今日から一緒に旅する馬の調子を確認する必要があったんだって。エリックは食事してただろ?」

「そんなの、呼びに来てくれれば良かったんだ」

「お前はそんなに私と馬に乗りたかったのか」

 王様も、エリックを揶揄って煽るのはやめて欲しい。

「違うに決まってんだろ。俺はコーヤと乗るんだ」

「コーヤが馬に乗れるとは知らなかった。それともエリックが乗れるのか?」

「ぐぬぬ……」

 エリックが声にならない声を出し、決着がついた。

 まだ宿泊客の少ないうちに食堂で朝食を摂り、出発をする。

 馬には王様が乗り、少ない荷物も括り付けたおかげで、俺とエリックの足取りも軽い。

 休憩を挟みながらも、夜になる予定が夕方には地方都市ムンダに入ることができた。

「領主様の屋敷の場所はご存知ですか?」

「来たのは初めてだからな。領主はだいたい開けた街中に近い、小高い見晴らしの良い場所に屋敷を構えることが多いが、ムンダは湖が一大観光地となっているから、その近くだろう」

「へぇムンダは湖があるんだ。俺、湖見るの初めてだ」

 エリックは観光気分丸出しで、王様も苦笑している。

 王様に対しても(へりくだ)ることのないエリックにハラハラすることも多いが、呑気なエリックの言動には、張り詰めた空気を和ませる力があった。

 人間、ずっと気を張っていると疲弊してしまう。王様の側にいるのがエリックで良かった。

「あそこに店がありますね。休憩がてら尋ねてみましょう」

 パドウのいない今、俺がしっかり王様のサポートをするつもりで、チラホラ見える店構えから休憩場所を見繕う。

 店先にも店内にも座席のある、オープンスタイルの食堂兼カフェといった感じの店だった。

 目の届く近くの木に馬を繋ぎ、王様とエリックには先に席に着いていてもらう。

 注文を済ませて席に戻ろうとした時、他の客同士の会話が耳に入った。

「どうなっちまうんだろうね、この国は」

「国王が行方不明の隙に、近親の王族であるミダリル様が王宮を取り仕切っているんだろう。このまま、王様になっちまうのかもしれないね」

「えっ? す、すみません。今の話は本当ですか?」

 客達は、突然会話に入ってきた闖入者に驚いていたが、確認しなくては。

「ああ。俺たちゃ、王都から来たんだけどよ。辺境伯だったミダリル様が、昨日、大層な兵を引き連れて王宮入りしたんだよ」

「王都はその話で持ちきりだ」

「そんな……」

 俺はフラフラする足で、その場を離れた。どうやって王様の席まで戻ったか覚えていなかった。

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