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シーン3 ~???の視点~
島の上空を覆っていた黒い雲は、雨をよんだ。やがて雨足は強くなり、陰鬱な空気が降りてきた。
誰にも知られずに、一人木々が茂る中を歩く男の姿があった。何かに苦悩しているのか、思い詰めたような気配があった。
「魂を救済しなければならない、、、それが私の役目、、、」
悪しきものに取り憑かれたように、男はブツブツと繰り返していた。
「ーーそれは大いなる母の『死』から始まった。『三つの魂』を救済し、、、素晴らしき天国に導く、、、そのためには、今行うべきことは、、、」
一陣の風が、男が着ている服をばたばたと乱した。
キラリ、と胸に光るものがあった。
十字架のネックレスだ。
「神は、理解してくださるでしょう、、、。これしか、手段はないのですから、、、。たとえ、批判の声があったとしても、、、ワタシガ今、オコナウベキコトハ、、、」
男の顔、そして正体を、雨に濡れた木々達だけが知っていた。