説明してくれないの?(カンティヨン王女は不満)
「一体何処に行っていたの?如何して、ボロボロになってしまったの?なぜなら、私…私達に何も言わずに行ったの?なんで、私を…私達を連れて行ってくれなかったのよ?」
私は彼の胸を拳で叩きながら責めた。だって、心配だったのよ。ふらっと出ていって、何処に行くとも言わずに、そして、私、私達は、彼が如何して、何処で、何をしているのか分からない、なんて今までなかったんだから。赤の他人だった、単なる後輩だった、ただの妹の同級生だった、妹の友人だった時は、平気だったろうが、今は違うのよ。それに、あなたは私と、私達と一緒に暮らすことになってから、こんなことはなかったわよ。他の女との密会じゃないかと疑いたくなったわ。あ、ランビックとマイがそれを心配してオロオロしていたということよ、私はそんなことは思ってもいなかったけど。
「心配かけてすみませんでした。」
とだけ言って、抱きしめるだなんて、そんなことでは誤魔化されないわよ。
「あの…存在してはならない連中は、崇高なお二人の存在を呪い、害する言霊として生まれた者達は、もう、生み出されませんし、やってくることができません。全部潰しました、皆殺しにしました、その来る穴もなくなりました。時空、次元を越えてそれができたらよかったんですが、それは無理ですから…残念ながら…。もう、このようなことはしませんよ、ありませんから。」
としか言ってくれなかった。存在感してはならない連中…あの有角怪人達を彼は呼んでいた…彼らはキと自称していたらしいけど。それも、全てが何者かによって、灰になっていたわ、あの日の戦いで捕虜になった連中は。
もうもう、それしか言わずに優しく抱きしめられたら、泣いて唇を重ねるしかないじゃない。ランビック、邪魔しないでよ、もっと横にずらしてよ。マイ、何で姉のあなたが乙女顔して、ムギの背中に顔を押し当てているのよ。全く、2人とも・・・。
数日後、大きなニュースが飛び込んできたわ。
遠い西方の国々に、異形の集団が来襲、何処からともなく、都市のひとつ、二つが消えてしまったが、その彼らが一日にして、壊滅してしまったというものと、別の場所で大爆発があり、調査隊が派遣、到着して確認してみると、地下に巨大な、何か研究所と何かは分からない巨大な設備の残骸があり、詳細は調査中というものだった。その解明に各国への協力要請があり、我が国も協力を声明したわ。私達は、このことに口は挟まないことにしたし、ムギに関係を問うことはなかったわ、怖くなって。
続報が少しづつ来たわ。まず異形の集団は金属の飛行船?に乗って、まるで異世界の門を通ってやってきたかのように突然現れて、西方のマオタイ帝国の帝都を炎上させたという。さらに、それに呼応するように、各地から異形の集団が帝国内を蹂躙し始めたという。彼らは自分達を産んだ人間を、全ての時空で殺戮していくと言ったと言う。訳が分からないわ。それが、数日間、帝国は壊滅状態。まあ、極端な専制政治でかなり、国内情勢は悪化していたけれどね、この国は。それが一日で、彼らが壊滅したというのよね。
目撃者が、証言者がいたわけではないので、詳細はわからない。ただ、突然彼らの攻撃がなく、その日が終わった。その次の日もなかった。残った避難していた国民、僅かに残っていた国軍、行政官達が、流石に不思議に思った。偵察隊が送られた。とにかく周囲には、異形の軍はいないことがわかった。範囲を拡大しても、進撃してくる異形の者達の軍は見つけられなかった。それでも、どこかで、秘かに、何か準備なりしているのかもしれない、補給上の問題でも発生して、一時的に撤収したのかもしれない。もしかしたら、何かの原因で動けなくなった、攻撃、反撃する機会かもしれないとも思われた。到着し始めた周辺国からの援軍とともに、捜索範囲をさらに広げ、何とかある程度まとまった軍を編成して、進撃を開始した。結局は、何者とも遭遇しなかった。見たのは、まるで伝説の象の墓場のように、彼らの装備、兵器が、ほとんど半壊以上だったが、山となっている所をところどころに見つけたこと、何かの製造施設のような建物などを発見したことだった。
現在次々に到着する各国からの支援部隊とともに、調査中というところだった。それと既に彼らが残した飛行兵器等、全て半壊以上の状態だったが、の各国への、あくまで研究用としてだが、その提供数、配分数に関する交渉が開始されていた。




