鬼は・・・キは皆殺し・・・最初から存在しないって?ムギどうしたの?(ランビック王女は戸惑う)
姉上は、時々ムギが捕虜にしたテロリスト、改造人間やホモンクルスだけれど、を拷問しているんじゃないかと心配する時がある。確かに、少し手荒いけど、軍隊や警察より手ぬるい、優しいと私には思えるので、大して心配はしていない。だけど、今回は違うわ。あの、スパークリングを取り逃がした基地で、潜んでいて、私達を奇襲しようとしたホモンクルス、後から分かったことだけれども、そいつを叩き伏せてとらえてみると、角が頭に1本または2本あった。それは悪魔を連想させるようなものではなく、私達の先祖の中の魔王の角のイメージとは異なる、上に直角に伸びているものだったわ。そして、戦っている時、
「我らキジン衆!」
とか叫んでいたわね、たしか。
ムギの目が、彼らの名乗りと姿で、変わってしまったと思ったわ。そして、本当に拷問を始めたわ。まあ、ホモンクルスだから人権などはない・・・けど・・・けど・・・。今まで、私達を守るためと思える行為とは違うと感じたわ。
「鬼は・・・キは存在しない・・・存在を無にして、キナシにする。」
ムギ、何を言っているの?
彼は説明はしてくれたが、理解できなかったわ、まるで。ただ、かれは崇拝する男女がいる、兄妹の男女。キナシという。誰?それ?前世の話?キがいれば、キ無しがなくなる、言霊、呪いだという。全ての世界にその言霊、呪いは現れる。この世界では、この時代、ホモンクルスのキが作られたのも、それなのだ。彼は、そう言いたいらしい。
私にとっては、重要なことが別にある。
「そのキナシ様達を、私や姉上より優先するわけ?あなたは?」
と腹立たしく、いらだって、怒ったように詰問しちゃったわ。彼は、ほんの一瞬、目を閉じたわ。目を開けると、ちょっと恥ずかしそうに、
「愛するランビック様を優先しなければ、あの方々に怒られてしまいますから。」
と、また訳の分からないことを言いだしたけど、私にとっては私を愛している、私を優先するという言葉が嬉しかったわ。単純すぎるかしら?
後で、姉上が、
「私はどうなの?も、って、まるでつけたしみたいじゃないの?」
姉上はすっかり、甘えん坊になってしまって・・・。
バーボン共和国は、スパークリングの秘密基地殲滅のための合同作戦を各国に大々的に提案して、自ら先頭になって艦隊の派遣、上陸する部隊の準備等を開始し、どうしても我が国をその前線基地にする必要があるからと、そのための負担を我が国だけで負わさないと言って、その費用の提供、全額ではないが申し出るなど積極に動き出した。
少なからぬ艦船の損害や国内各地でのテロ被害、スパークリングに同調してしまった大使の不手際もあるけど、我が国とを挟む大洋の海上覇権を握りたいという思惑もあるというのが、世間の一致した見方だわ。わが国としては、自国の安全が脅かされなければいい。条件付きで、それを認めて友好関係を図ってもいいというのが、我が国の立場。
さらに、ドラゴンの皮製飛行船の最大保有国であるマティーニ王国も参加を表明した。ドラゴンの皮の流出の可能性、実は後々で判明したのだが、スパークリングの関係者が入り込んで、暗躍していたことが判明してからでもあり、スパークリングの影響で我が国調査団に参加した王族女性がいて、救助された、我が国に経緯もある。
そうすると、多少とも覇権を意識する国々も我も我もと参加を要請してきて、大きな合同作戦となった。
ムギから提供された位置情報で、わが国の海軍が周辺海域への警戒を始めようとした時、連中の海賊行為が始まった。ムギからの情報がなければ、海賊行為が始まって、慌ててという形になってしまっただろう。うまくタイミングがあったというところではあるが、海賊の被害が広がらなかったわけではない。海空、動力鉄装甲艦とドラゴンの皮で作った硬式気球の両方からの攻撃だった。被害は次々に出ていた。特に、バーボン共和国の商船の被害がかなりあり、護衛に慌てて派遣されたバーボン共和国の軍艦までが大破するまでになった。マティーニ王国は、自慢の飛行船、しかも軍用が、撃墜、拿捕されてしまっていた。両国は、大国の威信からも提唱、参加表明をせざるを得なかったのである。
「総攻撃前の先行、索敵のための事前上陸隊を派遣した方が・・・。」
とムギが言い出した。それに自分を加わらせてくれと、強く求めてきた、彼らしくもなく。
まあ、悪い考えではないし・・・、妻として夫の希望に協力してあげないとね。私ってとても健気~。姉上にも協力してもらって、父上、国王陛下に提案した。かなり国王陛下は、かなり困った顔をしていたわ。でも、これはかなり必要な作戦であったから、軍の方でも検討を始めていたわ。それに乗る形で、話しを進めたわ、それでも国王陛下以下軍幹部まで、と~ても難色をしめしたけどね。ムギの参加ではなく、私達の参加をだけど。でもどうして、マイ義姉様まで、参加したいと言い出したのかしら?
そうこうしているうちに、各国からも自国からの参加者を要求してきたわ。




