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異世界スローライフは難しい  作者: 安藤昌益


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ドンピシャ!(第二王女は語る)

本当~、あっさりと餌食に食いついてきてくれたわ。私は、思わず対峙している連中に向かって苦笑しちゃったわ。後ろで少し震えているバーボン共和国在リコル王国大使館一等書記官殿に、

「大丈夫ですよ。私の身がどうなろうと、あなたをご無事に大使館にお連れします。」

「ランビック王女殿下…。」

 その前に、駆け付けた新聞記者他の前で一大弁舌をしてもらうんだけど。

「魔王と勇者の、しぼりかすの血を持ったランビック王女。先祖返りでもした積もりですか?そんな足手まといを連れて、多勢に無勢であることがわかりませんか?」

 先頭の女が、せせら笑うように言った。正面に、彼女を含めて3人、少し離れて両脇に4人、更に後方に6人。まだ、いるかも?でも、姉上、マイさん、そして、ムギがいる。そのことを指摘するのは面倒臭いから、黙って機関短銃の引き金を引き、風の衝撃波、というより空気の衝撃波も同時に放ってやった。何人かが仰け反り、倒れる。

「卑怯者!」

とかいきり立つ前に、後ろのムギに気がつきなさいよ!

 彼は大の親リコルで、私達の足繫く通っているクラブの常連メンバーで、そこで大々的にリコル王国支持の大弁舌と今回の一連の事件非難をしてもらった。別に強要したわけでも、こちらがお膳立てした台本を言ってもらったわけではないわ。頼んだというわけではないけど、いえ依頼はしたけど、彼自身の提案でもあって・・・大使への働きかけもしてもらった。それも大々的に報道してもらった。それに、乗ってきたわけね、これ以上、親リコル王国への言動、運動を阻止するために暗殺に。みんな見た顔よね。

「いい加減、つけあがらないことね。大海を知らない苦労知らず、世間知らずの王女様。」

「尻尾をつけたおばさんの弛んだお尻を叩いて、調教してあげないとね。」

 フン、我を忘れて怒らない、事実だもの。それはともかく、全員捕まってもらうわよ、そのためにわざわざおびき寄せるために、餌としてこのようなことをわざわざしたのだから。結構事前準備が必要だったんだから。

「おびき寄せた、罠にかかったと思うなよ。お前達をおびき寄せるために、わざと来てやったんだ。勇者の血をいただかせてもらうからな。」

 はいはい、それも想定内よ。両方考えたんでしょう?おじさんも?

 あ、ムギがあいつらの後ろに回ったわね。一気に行くわよ、私達夫婦の息の合った連係攻撃を見せてあげる!

 私は、短銃の引き金を引いた。ナンブ、あいかわらずのわからないムギのネーミングの連発短銃の名前。その弾丸の発射とともに、それが放つ振動、ムギが教えてくれた衝撃波を私の魔法で増幅してやった。

「そんな銃弾に当たるわけないわね。」

と弾道を予測して、実際はその予想以上に弾速が速く、二発目、三発目を発射しているんだけどね。

「な、なに?」

「うわ!」

 何人かが吹っ飛んだ、衝撃波で。あ、三人は銃弾が当たって倒れたのよね。

「何をした。卑怯者!」

 あと3人、ほぉ~、魔法を使える、それも自信がありそうなのが残ったわね。

「また、獣人の解放かしら?」

「我々は、あいつらとは違う!あんな、奴らと一緒に擦るな!我々は、勇者を復活させる者である。お前達、魔王の末裔共を抹殺するのが目的だ!」

“私は、勇者の末裔でもあるんだけど。”

「お前達のように、勇者を騙るものではない!」

 まるで、自分が勇者様のつもりね。あれ、いつの間に、勇者、人間系になったのかしら?最初は獣人、尻尾ある系のはずだったわね?雑多な集団…野合集団なのね、やはり。

 3人が一斉に、と思ったら一人が衝撃波で吹き飛ばされてしまったわ。ムギがやってくれたのね。2人じゃ、不足だけど、私を心配してくれる愛情は嬉しいわ、やっぱり。さあ、かかって来なさい。

「今までのようにはいかないぞ!」

「後悔しなさい。おばさん!」

 あれ、年下の子供もいたの?

「あら、お嬢ちゃんがいたの?ぶさいく過ぎて判らなかったわ。ごめんなさい。」

 怒った、怒った。でも、本当のことだもん、しかたがないでしょう?素早く魔法詠唱を始めたわね。それを待っては・・・あらあら雑魚の戦闘員がバラバラと来たわね。任務に忠実ね、身を挺してか、実はそうでもないようだけど。無視できないから、一気にこいつらを。

「有音の風の嘆き!」

 短銃、剣、槍、弓を構えた連中を一気になぎ倒した。風、気の振動波、打撃を与えるけど音が発生する。それを風の嘆き。中には、音量で倒していると思っている向きも多いけど、集約した波動をぶつける、そして倒すのよ。で、あとの二人はと。

「・・・最強の獣の力、我に降臨せよ。」

「・・・我が敵を我のはるか下にうごめく虫にせよ。」

は~?

「ライガー参上!」

「飛翔!」

 こいつらは亜人系テロリストか。よく一緒にやってるわね。もう一つ、奥の手がありそうだけど、さあ来なさい。

 空陸からの連係攻撃。 

「なんの!」

「これしき!」

 あらあら、真空切りが効かないわね、中々やるじゃない?おっと、虎獅子の口から火炎放射、空中から電撃、すかさず牙と爪の攻撃、剣の一撃。これが必殺の攻撃パターンかしら?そのようね。

 でも、この程度、ものの数ではないわよ。私は、軽く彼らの攻撃を受け止め、受け流しながら、避けながら、彼らに手傷を負わせてやった。それで、ますます怒り狂ってきたわ。そういう怒りに振り回される戦いぶりは、武術家としては失格よ。私は、ちょうどよい場所に彼らを誘導した。

「無音の風の嘆き!」

 風、空気の振動は音になるというより音は空気の振動、ある意味風。その音は、人間に聞こえない領域もある、その方がずっと広い。それを集約して放つ、ぶつける。これが、その魔法、どうかしら?物も砕く、大理石も砕くわよ!

「うわ!」

 二人の胸板を貫いたわ。すかさず止めに、剣で切り裂く。私のヤマトの切れ味は今日も最高。でも、こいつら獣化していたのに、この嘆きが聞こえなかっのかしら?

 虎獅子男は倒れ、鷹鷲女は地上に落ちて動かなくなった。とどめはささなかったわ。聞きたいことが、調べたいことがいっぱいあったから。周囲に粛清する者が潜んでいないか、見渡して、聞き耳をたてたわ。いないようだった。というより、ムギが倒したのよね。私は止めはを刺して、はせずに、あらためて動けないように叩きのめしてから、後方で待機していた私達の騎士団員に彼らを縛り上げさせたわ。これから、バーボン共和国大使館での記者会見での大切なお客さんですからね。丁重に、がっしりと縛り上げてちょうだい、ムギが作ってくれた拘束具でね。あ、とその前に尋問して白状させないとね。こいつらに恨みを持っている者もいるしね、ムギの使用人になっているけど。それに、ちょっと厳しく絞り上げるのも嫌いじゃないし・・・ムギは意外に厳しいのよね、大抵ははいちゃうわ。

 さあ、あいつ、どう言い訳するかしら?楽しみだわ。


 

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