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異世界スローライフは難しい  作者: 安藤昌益


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まるで結婚式じゃない?(第一王女は語る)

 地元の総教会での、ムギとランビックの再洗礼式は、教会内の豪華さでは私とマイの王都での、それとは見劣りがした。でも、集まった人数では遜色はないくらいだった。一番と二番で再洗礼を司教から受けたランビックとムギだったけど、その後に続く人、人の列。近隣からあらゆる階層の人間達が集まったという感じ。貴族の跡継ぎの顔見世の大きな王都のそれとは異なって、純粋に二人とともに再洗礼を上げたいという純粋な熱情ストレートに来たという感じだった。自分の再洗礼が終わって、腕を組んで教会を出た、こら―!、二人を待っていた群衆の歓呼と祝福を得ようと駆け寄る列は、壮観だった。再洗礼式を終えて腕を組んで出てくる男女も多く、慌てて二人に祝福を求めてくるわ、くるらで、

「私達も、近く結婚するんです。」

等と、聞かないことまで言ってくる。

 ちょっと待ってよ、まるで、ランビックとムギが結婚式をあげているように見えない?

 それは、あの事件から数日たった、マイとムギの実家に滞在する期間の後半に入ったころだった。

 私達を襲撃したグループは、獣人達の、特に狼形を主体としたグループらしかったが、警察で調査中だった。またぞろ、王族へのテロを防げなかったということで責任問題がでたが、非公式の行動であるということで、何とか説得して、不問にさせた。

「あいつらはわが国の者達ではないようですし、これが総力戦のようですから、彼ら自体は終わりでしょうが、他の組織に吸収されるようですから、かえって…何をしているんですか?」

 どこから情報を入手したか分からないが、その時、全てが終わったような気がしてきて、一気に気が緩んだら、体の奥底から沸き起こる欲望が抑えきれなくなっていた。ランビックと私は、ようやく、あの戦いの反動がきていたのだ。私達にあてがわれていた部屋の入り口で、そこまで引きずるように連れてきた彼に抱きついていた。

「抱いて…。」

 私たち2人は、そんな恥ずかしい言葉を、つい口にしてしまった。長い口づけを交互にして、私とランビックの唾液が混じりあった。もう急いで、下半身だけを脱ぎ、私達姉妹は、彼に立ったまま抱かれることになった。何度も喘がされ、ぐったりしている私達をベットに寝かせて、彼は私の両脚をあげて、上になって動いた。ベッドの上でも、何度も仰け反った私達2人は、気がついたら、私とランビックは別々のベットに寝ていた。その上、体もきれいに拭いてもらっていたようだった。

 ところで、私達が目の下に隈がでているのはいいのだけど、マイ、何でも、あなたまで隈ができて、すがすがしそうな顔をしているのよ?

 子爵としての彼のものとなるのはずの屋敷には、手入れがされずにいた魔樹や聖樹の手入れと契約が新たにされ、新たな聖樹、魔樹が植えられ始めていた。彼の父上の指示である。貴族の屋敷には、出来るだけ聖樹の類いを植え、手入れを十分にすることが、わが国では、地域により多少異なるものの、半ば義務、半ばステータスとなっている。

 ムギは、この作業でも、色々と忙しそうに多立ち回っていた。彼には、こだわりというか、何か私達には分からない理想というか、思想があるらしい。時々耳にする、魔法詠唱らしきに出てくる、“転真敬会”とかが関係するのかもしれない。何時か、白状させてやるわ。

 それから、また、マイによるとだけど、私達を襲った組織の中の、半ば拉致されて、下っ端で使われていた少年少女、彼らは直接関与してはいないとして釈放されたのだが、を使用人としてくれ引き取ったらしい。新しく起こす子爵家の人材は、喉から欲しいところではあるのはわかるが…。

 その組織の内実、情報が欲しいから?しかし、彼らはそのような情報すら持っていないから釈放されたはずなのだけど…。あるいは、彼女らの今後を心配して?そんなに彼が人がいいとも人格者とも思えないんだけど…、え?褒めているのよ、もちろん。まあ、前例もあるけど…。

 大した情報と言える内容でもないのに、彼は彼らの話しを私達も同席させて聞いていた。時々、表情を大きく変えて、頷いていたわ。

 でも、まさか、少女達に…、あ、そんな心配しているのはランビックですよ。

「だって、恋人以上で、新しい屋敷で、彼女らの主になる、お二人も同席すべきでしょう?それに、私の心は、愛はお二人で定員いっぱいです。」

 う~ん、なんか先着順で決まったような気がして複雑、とランビックは思っているわよ。


 その後、警察から報告が来たわ。管轄が政府の特別警察に移ったこと、その間に分かったことを、何度も強く求めた結果だけど、報告してきたわ。

 獣人達を主体とした、正確には純潔の獣人と称する者達を主体とした、グループ。剣はドアーフが作ったもので、これもまた同様に純潔のドアーフと称する者達の手によると言うべきもの、だった。

 幸いと言うべきかどうかは分からないが、リコル国民はいなかった。最近、国籍を取った者もある程度いるにはいたが、我が国で生まれた者達はいなかった。

 彼らの目的は、魔王、勇者の抹殺、というか、その血統の抹殺とその力の取り込みだった。私達を殺し、体の体液などから、錬金術により魔王或いは勇者の力を発現させる薬をつくるかホモンクルスを作ることだった。

 国際的にある程度の規模を持った組織アニマルコンバットなのだが、他の組織に吸収合併となり、反対する者や排除された者達が、リコル支部、元々は実質のあまりない、小さな地方支部でしかなかった、に集結、起死回生の作戦を実施したものらしかった。

 ムギが引き取ることにした連中は、生国に強制送還されても生活のしようもない者達だった。

 ところで、皆、獣人と言えば獣人?という程度の者達だった。それは、この組織の正規兵?以上でも同じだったが。

 しかし、獣人、正確には獣人と称する、者達の組織にドアーフ、こちらも多分ドアーフと称すると言うべきだろう、が聖剣を提供することは不思議なことである。ドアーフはエルフだけでなく、獣人も忌み嫌う、それの血を濃く引くという者達も同様な傾向があるのだが。とは言え、聖剣はどれも本物であり、しかもかなり格の高いものだった。どちらにしても、自ら調べていかなければならない。他人に頼ってばかりではだめだ。早く、私達の騎士団を、起ち上げないと…。ランビック、だから早く卒業して、私達の騎士団をつくるのよ!ムギと腕を組んではしゃいでいない!え、私?…確かに彼と腕を組んでいるわよ、でも、はしゃいでも、浮かれても、甘えてもいないわよ。

 それに戦うだけでは駄目なのよ。他国にも…。あ、マイ、お願いね。え?何がって、あなたの話もあなたも、人気があるのよ。どうして、嫌な顔するの?あ、ムギを殴ろうとしない。どうせ、当たらないから。

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