私が強いだけでは解決しない(第一王女は、語る)
私は、楽観的すぎたかもしれない。私自身が強くなれば、皆私の言うことに耳を傾けてくれる、私が進めば進んでくれる、私の言葉、行動に耳をかし、見てくれれば分かってくれる、賛同してくれる、協力してくれると思っていたわ。でも、そうではないのよね。
わが国は、多少の差があるものの、神、聖、人、魔が共存しているというより、人の努力と神、聖、魔の意志で神樹、聖樹、魔樹などの森が広がり、互いに利益を与えているわ。その森の間に広がる水田、畑、牧場。そして、神樹~瘴気に至るまでを利用し、各種の低品位だけど至ところにある金属鉱山、農産物、海産物を利用した工場が建ち並んでいる。
砂糖、コーヒーまで栽培に成功して、庶民まで国産で楽しめるようになり、その品質の良さで輸出まで可能になった。
このように、全てが、ほとんど自給できている。だが、より手を加えた結果であり、コストがかかっている。
だが、世界には無尽蔵とも思える恩恵を与える神樹、聖樹があり、オリハルコンなどの大鉱山、金銀銅鉄石炭の大鉱山、しかも純度は高いし、良質な、さらには、肥沃な大地、肥沃すぎるほどの聖農地すら広がっているところすらある。安価で、大量に、わが国に輸出することを、要求している国々も多い。高関税などの制度で制限しているが、それを許したら、わが国は我が国ではなくなってしまう。神樹、聖樹、魔樹などに奉仕する人間はいなくなり、その恩恵はなくなるだろう。
それは確かに、我が国にとっての都合に過ぎない。だから、他国を一概に非難はできない。
そして、国益のため、かのテロリスト集団のどれかと結びついてさえいるらしい。
さらに、我国と異なり、魔王と勇者の子孫が幾らでもいて、皆ご先祖様となっているのは例外的で、実際は実体がないのだが、直系魔族、人間、エルフ、ドアーフ、オーガ、獣人のいずれかだと称する国々、国民向けにも、が多いのだ。国内にテロリスト集団を温存、形成する要素を作りだしているのである。
「制限貿易の巨魁ということで、カンティヨン様やランビック様の暗殺を、テロリストに依頼する国があっても、そこまではないか、そそのかすようなことをしてもおかしくはないですね。」
とムギは心配そうな顔で、考え込むように言った。
「自縛的に・・・魔王の直系の国ということで国民の統合を、王家の存在意味、権威に利用している国は、国民が魔族の支配の復活、魔王の復活を求める組織のシンパになることを促すことになるでしょう。それを、禁止するのも難しい・・・。」
「ちょっと恐ろしいわね。」
ランビック、割り込んでいい所だけ持って行かないで!私もなんか、言わないと…何、考えているのよ、馬鹿!
「殲滅も、侵入防止も難しいかもしれないわね?いっそのこと、私が餌になって、少しづつ潰す?でも、トカゲの尻尾切りになるわね…。」
と私は何とか難しい顔をして言えた。真剣に考えた結果です。
「そうも言えないかもしれませんよ。」
「やられ続ければ、そのうち、ということ?」
マイに先を越された。こら、私達を押しのけてムギに、顔を近づけない、このブラコン姉さん!
「面子とかがある、というわけ?それで、戦力をつぎ込んでくると言うわけね。こちらは、防御に徹して、消耗させる、最後にボスまで出てきてくれたら…、かしら?」
とランビック。まあ、そうね。でも、あら、
「ムギ?何か、さらに心配ごとが、さらにあるの?」
彼の表情を見て、私は尋ねた。よく気がついたでしょう?ムギは、何か、かなり心配そうな表情だった。
「逆に国家が利用される可能性もありますね。・・・それも、ターゲットを我が国に絞って・・・。」
彼は、深刻な顔で言った。
「どういうこと?具体的に、あなたの考えを言ってみて。」
彼は、
「私が知る話・・・前世の小説というか・・・一つの国の国民を抹殺しようとする組織が出てくる。」
と前置きして話し始めた。まあ、彼の前世云々のことは信じないけど、彼のいつもジョークだし、
「叩き潰してやればいいのよ、とにかく。」
マイ・・・、あなたって、そんなに、戦闘狂の単純頭だったの?
数日の船旅で、私達はこれからの、ある意味、世界を相手にすることについて話し合った。色々、脱線したり、関係するものの、かなり異なる方面のことの論議になったりしたけれど。そして、最後は、マイが不満な目をしている前で、私達二人は熱い口づけをするのが、いつの間にか、日課になっていた。
「な、何、この銃?」
私は、感嘆とも、恐怖ともつかない叫びを上げてしまった。ランビックもマイも、同じ気持ちだった、だったはず、はずだと思う。ランビックは、恍惚とした表情で言葉が出ず、マイは感嘆を隠そうと、
「弾がもったいないわよ!」
と悪態をついてしまった。あああ、本当に素直じゃないんだから…、それじゃ優しいお姉さん失格よ。まさか、後のお仕置き期待?え、ランビックがそう見ているわよ、ということよ。20発入りの弾倉、火薬と弾丸が一体になっていることも今までにないものだった。
その試し打ちは、ムギの子爵家独立のために、両親が買い取った屋敷の庭で行われた。古いね打ち捨てられてた屋敷で、手をかなりいれないと住めない状態だった。
「どういう銃なのだ?」
「まあ、突撃銃というところですね。まあ、自動小銃ということで・・・歩兵銃でいいのでは?それから、これを、そこにつけて・・・。擲弾発射器がついていた・・・。有効射程は40mというところです。」
銃の下に擲弾発射器がつけられるようになっている。
「威力も射程も精度もいいし、小型の大砲があるようなものね。一人で、一部隊並みになるかも。だけど、あなただけのお手製よね?」
「つまり、3人の特注品ということですよ。」
うれしいことをいってくれるじゃないの。




