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異世界スローライフは難しい  作者: 安藤昌益


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魔王と勇者②(姉は語る)

「まだ、あるんでしょ?いくつもの勇者と魔王の家柄と、聞いてますわ。」

 何を興味津々と言う顔よ…、困ったな…。カンティヨン殿下、なに我関せずと言う顔は?助けてよお!何で、顔をそむけるのよお~。

 勇者ダノは、

「見ない顔だな。」

とニヤニヤして近付いてきて、金を巻き上げようとした一団を、叩きのめした。もちろん、大いに手加減したので、彼らは気絶しただけだった。すると、それを見た中年の、いかにもこの町のボスといった風の男が現れ、

「いや~、あんた凄腕じゃないか。こいつらは、この町の鼻つまみ者達だったんだが、困っていたんだ。」

と言って、彼を酒場に連れ込んで、酒や食事をおごり、そのうち、依頼を切り出した。昨日、旅の女戦士が町に来て、町の連中、特に彼の手下達ともめ事を起こした。その女戦士を懲らしめてほしい、いうのだ。どうも、こっぴどく、彼の手下達はやられたらしい。成功報酬は弾むと言った。少しばかり、前金を渡してくれた。その夜、彼らに連れられて、その女戦士の泊まる宿に行くと、

「あいつだ。」

 彼女は1人テーブルに座って、食事をしていた。頷いた彼は、つかつかと彼女のテーブルの空いている椅子にすわった。そして、対面で彼女の顔を見て驚いた。相手も驚いた。小さな声で、

「魔王?」

「勇者?」

「どうしてここに?」

 最後はハーモニーしていた。

「お前のせいかもしれないな。」

「どうして、そうなる?」

「お前が、和平を受けたから、もう勇者はいらない、聖剣やら聖具全て返却して、遠くにでていけ、恩賞はやるから、と言われたんだ。その結果だ。でも、どうして突然、和平を?お前が、とは思えないが。」

「な、何だ、わしが好戦狂のように…。いつのまにか決まっておったのだ。それにはわしが邪魔だと言ってな。お前同様に、魔剣など全てを奪われて追放だ。全く、好戦派の奴らまで…。しかし、わしは平和には反対していなかったぞ、お前と違って。」

「俺だって、別に戦いを続けたかったわけじゃないし、和平をと提案されていたら、即賛成したぞ。俺には事前に何も言われていなかったんだ。いや、まあ、それはさておいてだな。」

と勇者は魔王に、状況を説明した。

「では、結着をつけるか?」

「う~ん。」

 彼は、初めて間近に見る魔王を、じっと見つめながら、

「その気は失せた。お前はどうだ?」

 その答えと質問に一瞬途惑った様子を見せた魔王だったが、

「わしもその気はなくなった。しかし、お前の立場が悪くならないか?」

「心配してくれてありがたいな、礼を言うよ。俺に考えがあるから、俺の言動に合わせてもくれないか?」

「は?…分かった。のってやろうではないか。勇者と魔王が結託するのも面白いからな。」

「ああ、初めての協同作戦だ。」

 そう言いながら、彼はすかさず彼女の手を握り立ち上がった。それに彼女も続いたが、2人の顔は上気し、“こいつ、赤くなっている?”と互の顔を見て思った。

 唖然としている彼の雇い主の座るテーブルの前に立った、彼女を連れて。

 そして、開口一番、

「すまん。こいつ、生き別れしていた女房なんだ。ここで再会して…驚いているんだ。悪いけど、そういうことで女房のことは忘れてくれ。今すぐ、連れて帰るから。」

とまくしたてた。

「は?」

 全員、あまり関係のない周囲のテーブルの面々も含めて、目が点になった。魔王も、目が点になりかけたが、

「そ、そうだな。…旦那様、早く帰ろう。皆、昨日は悪かったな、赦してくれ。まあ、そっちから仕掛けてきたんだが、我…私も短気だった。」

と頭を下げた。

“おい、これは何だ?驚いたぞ!”“さすが、魔王。やるな。”と目で会話する2人。

「わ、な、何をする。恥ずかしいではないか?」

 いきなり、勇者にお姫様抱っこをされた魔王が慌てた、さすがに。

「いいじゃないか?昔は毎日、ベッドに運んだじゃないか、しかも、お前からおねだりしてさ?」

「な、なにを…。」

 真っ赤になった魔王、未だ目が点の面々。勇者は小声で、

「ずらかるぞ。荷物は?」

 魔王はか細い声で、

「ああ、収納魔法で…大丈夫だ。」

「では行くぞ!」

 そして、雇い主?の方を向いた勇者は、

「じゃあ、二度目の新婚旅行に出発するので、失礼します。」

と叫ぶように言うと、脱兎以上の速さで飛び出してしまった。

 雇い主が、やっと我にかえって、前渡金を取られっぱなしになっていると気が付いた時には、彼は魔王をお姫様抱っこしたまま、町の城壁を飛び越え、かなり遠くにいってしまっていた。

「いや~、魔王様をお姫様抱っこして、逃げ出すなんて思ってもいなかったよ。」

「その言葉、そっくり返してやるわ。」

「しかし、俺と違って、魔界の、魔族の頂点に経つ魔王様が、そんなに簡単に追放されるんだい?」

「我は、魔王としての力があると認められて、魔王になった。実権は、元老院、枢密院にあったのだが…。まあ、いろいろあるが、大雑把に言えば、そんなところだ。」

「そうか、魔界も大変なんだな。ところで、魔王?」

「何だ?」

 急に真面目な顔になった勇者に、魔王は少し慌てた。

「お前、意外に華奢で、柔らかくて、いい抱き心地の美人だったんだな。」

「何をいまさら…。は?早く降ろせ!恥ずかしいではないか!」

「気持いいから、もうしばらく…。」

「まあ、いいか…。いや、そうではなく、…。あ、お前のいつも隣りいたハイエルフの女はどうした?」

「あ、あれか?俺が追放されたら、どこかへ行ってしまったよ。そういう魔王様はどうなんだい?」

 魔王は答えなかった。それに、ある程度、感じるところがある彼は、敢えて追求しなかった。

「しかし、これからどうするつもりだ?」

と魔王が質問したのは、かなり遠くまで来て、野宿をすることにし、食事が終わった時だった。

「まあ、傭兵をやって…、金を貯めて…。兄妹…、恋人…そうだ、夫婦戦士ということで、コンビを組めば…。どうだ?」

「一緒にチームを作るのはいいが…、ということで、とはどういうことだ!」

「は?本当の夫婦になってもいいが?強いし、賢いし、憎たらしいくらいに、それにすこぶるつきの美人だし、魅惑的な体だし…。」

「わ、私が妻でい、いいのか?」

「お前こそ、俺でいいのか?」

 小さく、真っ赤になった魔王が頷くと、どちらともなく、唇を重ね…。

「あ、あのエルフ女をいっぱい抱いていたのだな?」

 組んずほぐれつが終わり、汗と他の体液で濡れながら、確り抱き締め合っていた。嫉妬したような顔の魔王の問いに、

「これから、いっぱいいっぱいやるから、すぐに追い越すさ。」

“こんな素晴らしい女を捨てて、もったいないな。それで、それが俺のものになったんだから…俺は感謝すべきかな?”

 快感の余韻を楽しながら、2人はさらに強く抱き締め合っていた。。

 結局、2人は、最強のコンビだから、国を打ち立てることになったのよね。それまで、この2人のいちゃいちゃラブラブ話が続いたわけ。呆れているわよね。

「面白いわあ。それで、女勇者様は出てくる話はないのですの?」

 え?誰、いつの間にか、1人増えているじゃない?

「ありますわ。二つ。まずは、魔王も勇者も女のですが。」

 もうやけよ!あ、この人、ウオツカ連合帝国の皇女。そういえば、さっき、神樹の木炭を燃料にした超長距離機関車鉄道を走らせている、帝都の灯りではなく実用、民の利便、経済を充実しているって自慢して、睨みあっていたわよね。それで、何でここに来るのかしら?

「陛下~、いるんでしょう~、入るわよ~。」

 女勇者であるフドウは、チバサケ王国国王の私室に、周囲に誰もいないことをいいことに、昔の、幼馴染みののりで、入っていった。

「ねえん、陛下~。これからの…って、誰よ?そこにいるのは…?は、離れなさいよ、わ、私の陛下から!」

 若い国王の隣というより抱きついている女に向かって、叫んだ。が、直ぐにその女に2本の角があることに気が付いた。

「ま、魔族?何で魔族が?」

「だ、誰じゃ、お前こそ?」

「ま、まあ…2人とも、そこに座らないか?」

 国王、コウシの言葉に女2人は、黙って睨みながも大人しく従った。

“何、その淫らな服は?”と心の声は、完全にハーモニックしていた。

「こちらが、勇者様。フドウ。私とは、幼馴染みでもある。」

「そして、こちらがフクシュク殿。魔王様の1人で、やはり幼馴染みだ。」

「はーあ~?」

 女2人は、勇者、魔王といわなければ、絶対そう見えない、女性としては長身で筋肉もちゃんとついているものの、スマートで、それでいていて、膨らんでいるべきところは十分以上に膨らみ、腰もくびれている。可愛いが、知的さと大人の色気も匂い立っている美人だった。勇者フドウな赤髪、魔王フクシュクは茶髪だったが、どちらの髪もきれいだった。国王コウシと言うと、比較的長身で知的だが、穏やか過ぎるくらいの顔立ちの黒髪の青年だった。

「それで、魔王が誘惑していたわけ?」

「フン、誘惑しようてしていたのは、勇者の方であろう?」

“こいつ…なかなか美人じゃない?私ほどではないけど…。”勇者と魔王の心の声がハーモニーしている時、コウシ王は、“タイプは異なる…いや同じタイプ…だから、2人とも、こうして見ると、私の好きなタイプなんだな…、今着ている服の傾向も似ているし…いやいや、今はそんなことを考えている時ではないぞ!この馬鹿な私!”

「まず、私から説明しよう。魔王とは、和解と連合を話し合っていたんだ。」

「その通りだ。」

“その服で?”とフクシュクを疑るように上から下まで見たフドウだが、疑うことはしなかった。

「で、勇者様の訪問の理由は?」

 大きく深呼吸した女勇者は、深刻な表情になった。

「魔王軍、そこの魔王じゃないわよね、あの魔王?、に訳の分からない勇者が加わって、勝てるかどうか分からなくて…。」

「それで、最後に思いを告げて、今生の別れの前に、身を…という訳か?」

「悪い?」

「いや、気持は分かる。同じ立場なら私も…。お前が、彼を私同様に思っているのも分かった。」

「そう…。」

「何を死ぬ気になっているんだ?私も国をあげ支援するし、陣頭に立ってお前とともに戦う。魔王も、ともに戦ってくれ、頼む。」

「無論だ。奴の次の目標は、私と私の国、部族だからな。」

 王がホッとし、これからの国のことを考えを巡らせていると、女2人はうなずき合って、

「とりあえず!」

「今やることをだな?」

と2人がかりで、男を押し倒した。そして、組んずほぐれつに…。全裸の2人の女が左右から、やはり全裸の男に寄りそい、快感の余韻に浸っていた。

「魔王様と王様のなり染めは?」

「勇者様と王様のなり染めの話しが先だ!」

「分かったよ、私から話すよ。」

 2人に見上げられて、男はそう言わざるを得なかった。

「勇者の要素があると言われた彼女は、王宮に連れて来られて、私と彼女は対面したんだ。まだ、8歳の時だった。遊びたい盛りだったから、それに互いに初めてのタイプの、かつ同い年ということで、帝王教育と勇者の修行の合間によく遊んだんだ。」

 少し、言葉をきった。

「その後、私が幽閉されたろう?」

「あの頃の私は、どうして会えなくなったんだろう?っとしか思えなかったし、考えられなかったわ。そのまんま勇者の修行の旅にださせらたし…。謀反が起こって…なんか分からなかったの…。もっと後だったら、助けに行ったのに…。」

「仕方がないさ。それに、下手に助けようとしたら君が、悪い立場になっていたよ。幽閉されたのが辺境の砦だったんだけど、そこは、知られていなかったけど、魔族の側も辺境の砦と認識していたんだ、自分達のという意味で。彼女も、謀反で幽閉されたんだ、そこに。そして出会って、秘かに、まあ、遊んでた訳だな。え?ああ、荒れた、それなりに広い砦で、複雑で両者、自分達の領域しか分からなかった、そこでしか活動しなかったから、お互いの存在に気が付かなかった訳なんだ…そうだと思う。」

「そうなんだ。」

 あっさり二人が納得してくれて、安心した国王だった。

「我が国と彼女の国が永続的な同盟を構築する。その前に、協力してその魔族の軍をせん滅しよう。」

と言って、次々に構想を語り始めたが、ふと気が付くと女二人、勇者と魔王は何かしみじみと語り合い、頷きあっていた。

「二人とも何を?」

「うん。どちらも本妻、王妃でいいということで同意したの。」

「それから、私達二人以外の女、妃は認めないということにしたの。」

「そうならないように、私達で阻止しようと決めたの。」

「絶対に私達以外には認めないから。」

 3人は結局吹き出して笑って2回戦に入った。2つの国は、宿敵の魔族を壊滅し、他の人間の国の、あらたな魔族の国の侵攻を撃退しつつ、固い絆を結びつつ、一体の国として繁栄することになった。

「それで、魔王と女勇者の物語は?」

 私は、その物語を語り終えると、疲れ切った。

 しばらく後に、弟に話をすると

「物語を少し省略すればよかったのに。正直すぎますよ、まあ、そんな姉上は好きですよ。」

となどとほざきおった。殴ってやろうとしたが、また避けられてしまった。お仕置きは?え、そんなことを望んでいない、考えていないわよ!でも・・・。 

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