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異世界スローライフは難しい  作者: 安藤昌益


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秘密結社(第一王女は語る)

「だから、大雑把に言うと、魔王復活派、勇者復活派、魔王・勇者復活阻止派にテロリストは分類できるわ。魔王復活派は、ダークという魔王を文字通り復活させることをかんがえている錬金術師を中核とした組織、シャドウという自分達が新たなど魔王と主張する組織が二大陣営。どちらも魔族の解放、魔族による世界支配を目的にしているわ。勇者復活派は、同様な形で文字通りの復活を企むゲルダムと勇者を名乗るデストロンが大勢力、最終的な目的は、人間だけに純化された世界を作ること。魔王・勇者復活阻止派は、亜人の解放を目指す集団、だから、魔族・人間の支配を脱するため、魔王・勇者の復活を阻止するという考え方、こちらは群雄割拠と言ったところかしら?」

 私は、テロリストについて、ムギに解説していた。彼の顔に目いっぱい顔を近づけて、誰かに盗み聞きされるのを恐れるかのように、耳元で囁いた、ついでにどきどき息を吹きかけながら。それは、彼とともにが夏休みに彼の実家に帰省する船の中で、ほの暗い、彼の船室の中だった。

「それで、彼らの戦力は?それに我が国にどの程度入ってきているのですか?まあ、弱小魔王・勇者復活阻止派の末端が、田舎の私と姉を襲撃しましたがね。」

 彼は仕返しのように、私の耳の中に息を吹きかけてきた。ぶる、と思わず震えてしまった、不覚にも。くそー!何とかやり返す手段を考えながら私の知っている情報を彼に伝えようとしていた時だった。ドアが音もなく開き、人の気配を感じた。

「姉上!ムギに近付きすぎよ!」

 妹だった。振り返った私の目に入ったのは、ほの暗い光の中でもはっきり分かった、露骨に扇情的な、慎みというものが全くない、売春婦か愛人が着るような扇情的な夜着を着た妹の姿だった。

「あ、姉上!なんて、服を着ているのですか?そんな淫らな、夜の女達でも着ないようなものを着て、しかも夜遅くに。」

 ひ、人のことが言えるかー!

「あ、あれだけ、私に小言を言っておいて、ご自分が買っていたんですね!」

 な、何よ、さ、先にあなたが買ったのでしょう?今、着ている、男を誘惑するような服を。で、でも、妹ながら、羨ましいくらいスタイルがいいわね。

 私達は、彼が帰省すると言ってから、慌てて、自分達もついて行くということで準備をしたのである、今、私達が着ている服を買ったのもその中でのことだ。旅の手続きなどは、ムギが私達の侍女や執事達と調整して準備してくれたのだが。

 あの日、ドウライ大公との会食、の後私達は王宮に呼び出され、両親、すなわち国王陛下と王妃陛下、侍従長、宰相達から質問攻めと説教を延々とされることになった。ムギはというと、国王の側近、私とランビックの婚約者の家から呼び出され、押しかけられた。彼の場合は恫喝された、に近かった。どう喝どころか、校内で襲われた程だった。返り討ちにするのは容易だろうが、ムギにとっては、ケンカ両成敗どころかムギの方の暴行だとされて、彼が退学させられかねなかった。そうなったら、彼の実家が黙ってないだろうが、多分其処まで考えることなくやりかねない。ムギは、抵抗しない風を装って、上手く相手を転ばせて、逃げおおせたらしい。

「私から、王女殿下を振るわけにはいかないですから…。」

 それが彼が常套文句で、侍従長、父の側近、学校幹部の追及に対して言いのけた。私達のせいにされているようで面白くないのだが、私達は彼のための恋人になると約束したのだし、いつでも恋人を止めることができる、私達が望む限り恋人でいるという約束なのだから、彼はきわめて当然のことを言っているのだ。

 ランビックはともかく、私も、何故か彼との交際を止めることを拒否した、強く。私は、いつの間にか、彼のそばにいることが、彼と話しをしていることが、愛おしくなっていることに気がついた。愕然としたが、其れを改めようとは思わなかった。しかし、どうしてだろう?

 よく分からない。彼は、私の悩みを真剣に解決することに協力しようとした。そういう相手は、初めてだった。この私との、他に二人が一緒だったが、戦いに喜んでくれた。彼は、私になにかを提供しても、なにかを求めようとはしなかった。いや、求めているものがある、いや、差し出せば断れないものがあった、実は欲しいから。それは、私自身だった。それだけだ。妹のランビックに対しても同じなのが、面白くないが…べ、別に妹に嫉妬などはしていないわよ!私そのものだけを求めたのは、彼だけだった。私を助けたい、その上美人だから愛する…変な理屈のようにも感じるが、私のことを思ってのことに思われた。

 私と妹は、どうあっても彼との交際は止めない、交際は真剣だ、一生そばにいることを前提の関係だと強く主張して、忠告に聞く耳を持とうとしなかった。さすがにあまりにも強く言うと逆効果だと思ったのだろう、ある段階からあまり強く言われなくなった。父国王は、私達を甘やかさない教育はさせたが、自らは私達に甘かった。母王妃は、どちらかというと長男に関心を向けがちで、私達のことは自由に委せる方だった。まあ、無関心でも、心配しない、自由放任というわけでもなかったが、決して。

 半ばあきらめたように、私達には、あまり無軌道なことはしないようにくらいしか言わなくなった。

 しかし、ムギには違ったらしい。ムギは、姉のマイに危害、被害、迷惑がいかないか心配して、私に何かあったら庇って欲しいと言ったが、彼…本当はシスコンの気がない?心配だわ、マイは私よりも美人だし…え、なに考えているのよ、私。幸いなことに、マイにはムギへの説得の要請などがうるさくきたが、危害が、と言うことはなかった。マイは、強かったし、女子からも人気があって、周囲に友人から崇拝者まで、常に何人かいて、変な奴はかえって近っきたがらなかったのだろう。その分、ムギには、あまり手段が選ばれなかった。彼にも友人がいたが、彼らのために、彼が危なくなる場面も度々あったらしい。もちろん、彼の身が危ないのではなく、対応を誤ったら、彼の学校での立場が危うくなる、退学の理由にされかねないという意味ではあったが。そして、彼の実家への圧力もあったらしい。脅迫的なことまであったが、王家の側から、さすがに有力な侯爵家にそのようなことが…ということで介入があり、かなり収まったらしいが。

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