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異世界スローライフは難しい  作者: 安藤昌益


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遊びではありません!い、言っちゃったー!(第一王女は語る)

「なにをなさっているのかしら?」

 新学期が始まったばかりの学園の廊下で、人だかりができていた。私はというと、最近の習慣である行動、その日の授業が終わると、3年の教室に、ムギのいる教室に向かっていた。

「ちょっといいかしら?」

 私が声をかけて、その人混みを通り抜けようとすると、私の存在に気がついた男女が左右に道をあけ、それはすぐに全体に広がった。あまり気分の良いことではないが、まるで権力を利用しているようで…、でも仕方がないな。ふと気がつくと、皆が不安そうな、心配そうな、好奇心溢れた視線を私に集中していた。

 その理由は、しばらくして分かった。私のためにできた道の向こうに、何人かの男女に囲まれた二人の男女、腕をくんでいる、がムギとランビックであることがわかり、なに、その人目もはばからない態度は!は、恥ずかしくないの?と憤ってから、二人を囲む男女が、ある男の、彼は既に私の所に歩み寄ってきていた、部下であることに気がつき、その男が現ドオライ大公モールトだったことでも分かった、彼は私の婚約者だ。

「なにをなさっているのですか?私の妹と親友の弟殿に。ドオライ様?」

 私は、軽く会釈しながら、臨戦態勢に入っていた。それは、妹が既に完全に臨戦態勢に入っているのが見て取れたからでだった。ムギはというと、飄々としている、よく言えば、悪くみると途惑って、狼狽えているようにもみることもできたが、二度必死に、必死になったのは私だけだが、戦った私には分かる、自分の周囲の力量を見切って、彼らを倒すのに十分な程度の態勢を整え終わっているのがわかるような気がした、私には。彼らは、剣で武装している。主と部下の計二人は短銃も、小型の護身用だが、持っている。魔法を使える者もいる。私達は、丸腰だ。私達姉妹は、体術も自信があるが、人数分不利かもしれない。だが、ムギがいる。え、なにを、彼をあてにして…、私ったら。

「嫌だな、婚約者同士ではありませんか?お顔をみたくなっただけですよ。妹様には、ご挨拶をしていただけですよ。田舎の侯爵のご長男には、少し助言をと思っていただけですよ。」

「久方ぶりに、お顔を見れて嬉しく思いますわ、私も。でも、私達3人を相手にするお積もりのように、護衛の方々のご表情には見受けられますが?」

「殿下。3人ではなく、四人ですよ。」

 後ろから、聞き慣れた声が聞こえてきた

「私達、4人は丸腰でも簡単にいきませんよ。」

 いつの間にかマイが私の後ろに立っていた。彼女は、最近、私がムギの所に行くのに必ずついてきた。最近思うんだけど、あなた、本当はブラコンなんじゃない?まあ、数は多い方が、頼もしいけど。露骨に、“実戦経験のない小娘どもが。”“お遊びの大会で優勝したくらいで偉そうに。”という顔をした女達。男達は、可愛いものを見る目。言っときますけど、私達3人は相手を殺そうとして、真剣を使った戦いを経験したのよ、既に。一人は、その私達3人を相手にしたのよ!あなた方こそ、実戦経験がないでしょう?あ、そう言えば、マイとムギは、テロリストに襲撃されたのを返り討ちにしていたわね。それに、私と妹の護衛達が少し離れた所で様子を窺っているから、私達が出しゃばる必要はないでしょうけど、元々。

「私が、婚約者のカンティヨン王女殿下はもちろん、妹殿下や婚約者のご学友に危害を加えようとするわけがあるはずはないではありませんか?」

 ふ~ん、するとムギには危害を加えるわけね。制裁だから、危害を加えたりのではないとか言うのでしょうね?

「婚約者のカンティヨン王女殿下と久しぶりに、ゆっくりお話しをしたいと思い、食事にお誘いしようと参った次第です。ああ、ランビック王女殿下とご学友の方もご一緒に。もちろん、護衛の方々も。」

 彼は、オーバーな動きで頭を下げて言った。

「お断りする理由はありませんね。では、ランビック、マイ、それから私達の護衛でもあるムギ、それから…皆も。」

 彼の嫌~という顔を見て、ざまあみろと思っちゃったわ。

 その後は、彼の用意した馬車で、彼の王都の屋敷に連れていかれることとなった。

 夕食の席に招くことになった人数が、予定より多かったことから、混乱してしまったようだった。ムギにいたっては、仮にも侯爵令息に出すには…というものになっていた。

 とにかく、当たり障りのない儀礼的な会話をはじめながら、食事を始めた。

「ところで。」

 私は、デザートの果物が出てきたところで、本題を切り出させることにした。

「今日、私を招待した理由は何ですの?私と久しぶりに話しをしたい、というのではないでしょう?」

 彼は、私に微笑みかけて、それは好感が持てるものではなかった。

「正直に、率直に申し上げましょう。カンティヨン様は、今年が最終学年です。卒業後には、私との結婚が待っております。騎士団をお作りになるご希望のことは知っておりますよ。私は、すぐに家庭に入るよう望む古くさい者ではありません。騎士団を使ってご自分の可能性に挑戦する、好いことではありませんか、かえって応援いたしますよ。しかし、その前に、カンティヨン様は、私という婚約者がある身でありながら、侯爵家のご長男と交際なさっているという噂を耳にしました。学園生活のお遊びだとは思いますが、そろそろ止められる時期ではありませんか?」

 なかなかの好男子で、悪い噂もなく、軍歴もある。次期大公として、王族に次ぐ地位にある、5大公家の一つであるドオライ家の若き当主として、問題のない資質と実績を積み上げてきている。長子でも、長男ですらなく当主になったことで、とかく批判されているけど。

 正直、あまり彼のことは考えたことはない、彼との結婚は嫌ってはいなかったし、将来のこととして受け入れていたが、かと言ってそれを心待ちにしていたなどということはなかった。本当よ、本当ですからね、って誰に向かって言っているのよ、私!

 あまり彼のことは、知らない。だから、好きでも嫌いでもない。しかし、私の騎士団をまるで私のお遊びのような口ぶりで言われて、私の頭は、まさにぷっつんと音をたてて、何かが切れたように思えた。今までもそうだったが、私は単に怒っただけだった。相手はそれに恐縮し、謝り、全く考えを革める必要性も考えてはいないが、そして私はそれを知ってはいたが、それで終わりにしていた、今までは。だが、この時の私は違った。ムギのせいだった。彼は、私の騎士団、私の考えを理解して、目的達成のために考えてくれた。私はそれになれきってしまって、忍耐ができなくなっていた。そして、私達の騎士団が私のお遊びだと言われることが、ムギも侮辱さているように思われた。それにも、何故か怒りを感じた。だから、私は、少しばかりの沈黙の後、必死に頭を回転させて、言葉をまとめた。それには時間が、さほどではないがかかってしまった。そのため、

「シオチユウ侯爵家…ええと…ムギとか言ったかね…。君は、考え違いをしているようだが、君を、まさか、本気になって王女殿下方が、好意を向けているなどと思ってはいまいね。」

とムギに向かって、彼が窘めるのを許してしまった。私は慌てて、

「お待ち下さい。彼は、ムギ殿は、ムギは、私とランビックの騎士団のものであり、私とランビックは、彼のものです。」

「は?なにをお遊びで…。」

「いいえ!遊びではありませんわ!私達は真剣です。彼のそばに一生いる覚悟です!」

 私と妹は、期さずして同時に起ちあがり、テーブルを叩いていた。

「き、君はどういうつもりだ!ことによっては…。」

とムギに向かって、彼は怒鳴りつけていた。

 ムギはというと、それまで悠々とデザートを食べていたが、起ち上がり、頭を下げた。

「王女殿下方のお気持ちに従うだけです、私は。好意を向けられているのであれば、受け入れるだけです。」

 すかさず私達は左右から、競争のような、彼と腕を組んだ。

 彼は怒りがおさまらないようだったが、幾つかのやり取りの後、私達は席を立ち、礼を述べて出ていくことになった。馬車も用意され、ちゃんと帰ってくることができた。

「この田舎侯爵家の落ちこぼれの色惚け勇者と淫乱女魔王の末裔が。」

とムギに向かって毒づくのを忘れていなかったが。

 私は、なにか肩が軽くなったような気がしてならなかったし、満足感を感じた。

「どうしたの、ムギ?」

 帰りの馬車の中でずっと難しい顔をしていたムギに声をかけた。

「隣の部屋に3人、かなり強い魔力を持った奴らがいました。」


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