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異世界スローライフは難しい  作者: 安藤昌益


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私の騎士団(第一王女は語る)

「騎士団に入ると言っていた者達が、最近、姿をみせなくなったというか、私を、避けるようになったような気がするノだけど?」

「其れは…一つには最終学年になり、現実的なことにする目をむけなければならなくなったからでしょう。」

 私はムギの指摘に、不愉快になった。

「そもそも、カンティヨン王女殿下は、どうして騎士団を創設することを考えたのですか?要求することになった気持ちとはなんだったのですか?」

 彼は、真面目くさった表情を向けた。

「そ、それは…。お前は、…ダークとかシャドウとかの魔王の復活や自分がその後継者を自認する組織のこと、また、それとは逆の組織の…。また、勇者や魔王を抹殺、というより、その可能性を消滅させて、エルフなりの人間や魔族からの解放をうたう組織もあって…。」

と話を彼にした。

「その、最後の組織の一つの末端に、私が襲われたと言うわけね。」

 マイが、サンドイッチをほおばりながら応じた。それは、少し単純過ぎる発想ではないか、と思った。彼女達も、マイとムギ、勇者と魔王の末裔だから、由緒正しい。その私の疑問を察したように、彼女は感がいい、良すぎて困ることもあるが、

「彼らに誘拐されて使われていた少女達、ハーフエルフとハーフの獣人だったものね。ムギ、そうでしょう?彼女達を侍女、自分付きの侍女にしたのだから、分かっているでしょう?」

 マイは、ランビックに、スープを注いだ皿を渡しているムギに振った。

「誘拐して、虐待していたわりには、同士呼ばわりしていたようですからね。」

「ムギ、その侍女とは…変なことはしてないわよね?」

 ランビックは、彼の顔を窺うように、睨みつけた、スープを皿からスプーンで口に運びながら。あなた、最近、独占欲むき出しの乙女しすぎよ。

 私達は、学園から少し離れた庭園の池のそばで座って、私達の侍女やムギの作ってくれたサンドイッチなどをほおばり、スープをすすっていた。

「どこかの三文小説の様なことは、してませんよ。ランビックに、やましいことはないです、ねえ、姉上?」

 さあさあ、優しいお姉さん、しっかりフォローしてあげなさい。彼女は、少しの間言葉が出てこなかったが、

「弟には、ランビック様が、懸念するようなことはまったくありませんわ。」

 ま、彼女はうそは下手だから、大丈夫、納得なさいな。

「それならいいけど。付き合うのは私だけよね、それと姉上と?」

「もちろん、愛を与えるのはランビックだけですよ、それとカンティヨン、二人にだけ。」

 何よ、その、私を付け足しのように。一応付き合ってあげるだけだし、別にこだわらないけど、でも…。

「私の方も同じよ。何とか理由をつけて、逃げるようになった連中達が続発してるわ。」

「それは、あなたがムギとべったりしているからでしょう?」

 今も、彼にべったりしているじゃない。わたしは、ムギからスープ皿を受け取りながら、妹に言ってやった。

「それは、どちらにも、私が少しばかり関係してると思います。でも、カンティヨンの騎士団創設の有無の結論が出るのが、目の前に迫っていることが大きいと思いますよ。真剣にどうすべきか判断しなければならなくなる、そちらの様子も見たいとか…。」

 ムギの言葉は、あまり面白くなかった。

「では、騎士団の件はどうしたらいいのかしら?」

 試すような表情で、彼に顔を近づけてやった。さらに、息を吹きかけてやった。彼は、少し難しい顔をしてから、

「数人でも良いのではないですか?10人もいれば十分では?二人の騎士団を、一つということですが。」

「一寸、それで何が出来ると言うの?」

 一寸、ランビックなんで、あなたが割り込むのよ!

「それらのテロ組織に、たまたま乗り込む王女殿下達とその仲間と護衛達。また、襲われて…、迷惑な…、まあ、手間をかけさせないからいいが…お前達、護衛達が止められなかったのだ…、ということでもいいのでは、どうですか?」

 何を考えているのよ?それで何ができるのよ?でも…?彼は、私の疑問を察したように、

「その支部を潰すくらいは出来ますよ。」

 まあ、小さな支部くらいならばね…。でも、末端の支部を潰したくらいでは、トカゲの尻尾切りにちかいではないか?根本的解決にはならない。確かに、彼らの本拠地と言うべき所は他国だが、日本の拠点なりまで潰滅させなければ話しにならない。

 300年前に、後装ライフル銃・砲が実用化し、魔法学の発展もあり、魔王や勇者は存在意義を完全に失った。後装ライフル銃、それも高威力の狙撃銃、さらに強火薬、魔法金属弾頭の、1個小隊もあれば、魔王も勇者…。まして、色々な意味で、戦闘力の高い私、マイ、ランビックでは、その比ではない。ムギだってそうだ…彼の魔法力はいったいどの程度なのだろうか?

「私達4人とそれをサポートする者、計10人がいて、今ある最高の連発銃以上、いやはるかに超えた物を全員持ち、事前の情報収集、優れた戦術、戦略、そして準備があれば、ある程度のことは出来ますよ。ああ、必要なく銃は、私が作りますから心配しないで下さい。」

 連発銃は、双連銃くらいしか一般化はしていない。構造が複雑になり、高価で、かなり熟練の職人でないと作れないため、後装銃が実用化して300年たっても、一部分への装備にとどまっているのは、どこの国でも同様だった。それを…、なんたる自信なのだ、それはどこから来るのか?と思ってしまった。あなた、何様?まあ、どんなものを持参してくるか見てやろうじゃないの!

「頼むわよ。期待しているから、その期待に応えてね。このサンドイッチくらいには、ね?」

 あ~、彼の口にサンドイッチを入れて、なにイチャイチャしているのよ?は、恥じらいというのがないの?忘れてしまったの、わが妹?

「でも、たった10人じゃ、まるでお遊びじゃない、両王女殿下達の?」

「それでいいのでは?その位なら、お遊びて、仕方がないな、と軍幹部だって、大目に見てくれますよ。」

 いちいち頭にくることを言うな、この男は!

「それで、成果を上げられればいいじゃないですか?国のためになればいいじゃないですか、大将になりたいわけではないのでしょう?両殿下達なら、大丈夫ですよ。ランビック、カンティヨン?それに、それで少しづつ大きくしていくことも可能ですよ。」

 彼は、悪戯っぽい視線をむけた。む、む、反論出来ない

 う、確かにそうだ。う~ん。で、でも悔しい。なら、

「そうね。あなたもいるし…ふふ、期待しているわよ、私の恋人に。」

 手を握り、肩を擦りよせて、耳元に息を吹きかけてやった。どうよ?え?彼は、まるで当然だというように、躊躇なく、自然に、私の腰に腕をまわした。な、なにを~。

「あ~、姉上、そんなにうっとりして~。わ、私も!」

 ち、違うんだったら!


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