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異世界スローライフは難しい  作者: 安藤昌益


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魔樹と神樹、聖樹の話…それよりどうよ、これは。(姉は語る))

 私は、甲板に駆け上がった。案の定、3人で並んで、というより、2人に目いっぱい挟まれるようになったムギが目に入った。三文小説のベタな展開中そのままに、3人は海を、そして、だいぶ大きく見えるようになった陸地を眺めていた。それはいいとして、良くないか全然、あなた方の護衛達が苦虫をかみつぶしたような顔をしているし、彼らの無言の圧力で近づけない他の乗客さん達が、遠くからこっそりと、チラチラと見て、何か囁きあっているわよ。

 それになんですか?その見事な両脚を、細すぎず、健康的で、かと言って太すぎない、均衡がとれたすらっとした、ピチピチの綺麗な見惚れてしまうくらいですけど、露わにして、弟に擦りつけるようにして…、恥ずかしくないのですか?

「森が続いて…神樹、聖樹がいっぱい…感じるわ。あなた方が、長年かけて魔樹から変えたのよね。」

「他国の使者は、王都周辺の森や聖樹を見てすら関心するけど…。長年かけて、このように…。」

 あー、頬まで擦りよせて!もう、こうなったら!

「魔樹を神樹、聖樹に変えたわけではないのですよ。他国のように聖女や大賢者、聖修道士が聖魔法なりで…ではないのですよ。」

 私は、話に割り込んだ、乱入しました、文句あります?

「ムギ。説明してあげて。大体のところは両殿下もおわかりだと思うけど、詳しい話を。」

 こういうことは、私は彼に全く歯がたたないから、彼に説明をまかせた。意外に、地元の者でも、詳しい話を知らないのだ。と、私は後ろから、体を押し付けて、彼の耳元で囁いた。どうよ、この気持ちいい感触は?どう、どうなのよ?困れ、困ってしまいなさい!

「マイ先輩。胸を押しつけすぎでは?そりゃ、女の私から見ても、見惚れてしまう胸ですけど。」

「そうよ、マイ。学生の慎みを持たないと…。昨晩も、弟さんの部屋だと言っても、あんな薄い夜着で…。」

 な、な、なによ、あなた方だけには、い、言われたくありませんけど!

「魔樹とは言っても、神樹、聖樹と同じ種類のものも多かったんですよ。魔界、魔族の支配地域にあったものをすべて一括して魔樹と言っていたわけなんです。」

 私達のやり取りを無視するような弟は、説明を始めた。

 元々リコル王国の国土は、魔族と人間の勢力せめぎ合いのような所でもあり、かつては魔界といわれた地域も多いから、当然、魔樹も、その森も多かった。だから、人間と魔族(主に人間型魔族)が和平、提携、共存し、両者を中心として構成されたリコル王国にとって魔樹の対策、利用は、不可欠な、国の大本に係わることだった。

 魔族も人間にも有用な魔樹をできるだけ増やすことにした。魔樹の性質や品種改良のため、接ぎ木や世話を工夫した。元々、神樹、聖樹といわれているものもできるだけだが、無理が生じない程度に移入もした。共存できるようにも、色々と工夫した。本当に高位な魔樹とは契約を改めたり、魔族ですら害を感じていた魔樹(これがまた多かった)も使い道を工夫して、利用できるようにした、もちろん性格を穏やかにするために、工夫した世話をした。どんなに、魔族ですら敬遠するような魔樹でも、その地に根付き、安定した環境を作り上げている以上、無理やり変える、伐採する、浄化するなどをしては、後々悪影響のしっぺ返しを受けるからだ。一千年以上かけて、この神樹、聖樹の森ができた。瘴気や毒素を出す魔樹(それも、今では聖樹と名付けているが)もかなり多く存在するが、その利用法、利用できるようにする加工法も開発して今にいたっている。魔樹=神樹、聖樹の命は長い。単純な品種改良で、神樹油、聖樹液などの採取できる量を増やすわけにはいかないし、数を単純に増やすことで解決できないし、無理なのだ。採取できる量がほんの少しづつしか伸びないことを前提にして、効率的に使用して、再利用、再生利用する、そして最後に元に還す、それをいかにうまくやるかで、リコル王国はなり立っている面が大きい。他の国々のような目先の成功を求めて、短い間栄華を求めることはしない、まあ、それは試行錯誤の、誤り、失敗の連続の上になり立っているのであるが。超巨大な神樹、聖樹が広がる地も、高位の神獣の群れも、オリハルコン、ミスリル、アルダマイト、エーテル等の魔法系希少鉱石、金銀銅鉄鉛などの一般鉱石の良質な大鉱脈のない、品質の劣った鉱山は結構あるが、リコル王国である。人間・魔族と手に手をとった神樹、聖樹、魔樹の関係は、両者を運命共同体として繁栄をもたらすことが、リコル王国の基本的政策である。それを、ムギは、長々と説明してくれた。国民の大多数が、人間であり、亜人てせあり、魔族であるリコル王国の象徴とも言える。元々の神樹、聖樹も魔族に害を与えるような種類は、同様に性質を穏やかにしたり、半ば改変を長い時間をかけて行ってきた。

「王都のように華やかなもののない、小さな都市や農村、町ばかりですが、王都ですら享受できないものもあるんですよ、神樹の地であるからこその。」

「あら?何かしら、愉しみだわ。」

「愉しみに待っているわよ。」

とますますぴったりと…、こうなったら私もどうだ、どうだ?

「そろそろ朝食に行きませんか?姉上、気持ちいいのですが、いや、良すぎるのですが、離れてもらえませんか?僕たち、姉弟なんですから。」

 わ、分かっているわよ! 

 船員が釣った海の幸が、いくつも朝食に登っていた。

「私達だけに、ということはありませんね。」

「はい。カンティヨン王女殿下。」

 料理長が、カンティヨンの質問に神妙に答える。それはいい。私達は、さして広くはないが、その中で一番大きい一般食堂の中央のテーブルで、二等、三等客のテーブルが周囲に配置され、かつ、その外側に四等客が立ったまま、こちらを凝視している中で朝食を取っていた。

 懇願された両王女殿下様達が、公開食事を了解したのだ。それが、どうして私達姉弟も一緒なのか?そ、その公開食事の最中に、2人とも弟と如何にも親しいを通りこした態度を取るのはやめてくれませんか?チラチラと見ると、観客は2人の食事風景ではなく、2人とムギの一挙一動を注視して、囁きあっているわよ。でも、慣れているからなのね、2人とも気にしないで食事をしているわ、流石に王族よね。私なんか、恥ずかしくて、大好きな鰯の塩焼きも味が判らないわ。え、ムギ、あんた、なんであなたは平気な顔でたべているのよ!こら、ランビック王女がおねだりしたからって、魚を切ってあげないの!あ~、何?あ~んなんかして?馬鹿ー、あんたも食べさせないの!周りを見て…カノン…何羨ましそうな顔を?だからって、馬鹿、ムギ、また~!

 そして、半日後港に着き、そのまま川船に乗り換え、しばらく川舟にゆられ、下船すると、その前俟っていた我が家の馬車に乗るという強行軍で実家に到着後した。屋敷に到着した早々、

「ムギ。公爵になるんだって!」

と駆けてきて抱きつこうとしたエルフの伯爵令嬢が、両王女殿下に睨まれて阻止された。

 この馬鹿女!でも、何よという顔が三つ、困ったという顔が一つ、面白そう!

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