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異世界スローライフは難しい  作者: 安藤昌益


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告白と受け取っていいのかしら?(第二王女は語る)⑤

 それは、彼の試合の条件を言い出したことからだった。

「勝負はついてしまったわ、私の…私達の負け…。」

 姉上が、力なく、しかし、如何にも悔しそうに言った。が、奴は、

「あんなの勝ち負けになりませんよ。後から、あれは油断していたから、でも、負けは負けだから…と言われても嬉しくはないし、本当は納得してはいないでしょう?目一杯に身体強化魔法をかけ、魔力を最大にして、3人同時に、連携して攻撃して下さい。僕は、身体強化なしで、他の攻防どちらの魔法も一切使いませんから。剣は、私のお渡ししたのを使ってください。皆さんの力に耐え、100%の力を、引き出してくれますよ。皆さんの実力で、連携を完璧にできれば、身体強化、魔法なしの僕に対して、勝機はそこそこありますよ、多分。僕は、この練習用の剣で、ああ、皆さんの攻撃や僕の動きには耐えるように僕が作った物です。これだけは、許して下さいね。では、僕を殺そうと思って、試合して下さい。ご心配なく、僕が皆さんを挑発して、自分を殺させようとしたと告白している手紙を用意しておきましたから。では、試合開始といきましょうか?」

 マイ先輩がまず、飛び出した、無言で。最早、私達には彼への殺意で一杯だった。私にしても、姉上を超えているかのような言葉が許せなかった。私と姉上は、まずはマイ先輩の支援にまわった。それぞれの得意な魔法を纏った3本の剣が、互いの威力を干渉することないように、矢継ぎ早に振るわれた。同時に他の攻撃魔法も放ち、蹴り、当て身、拳も繰り出した。攻撃の主体は、彼の防御の動きに合わせて、刻々と変化、入れ替わった。彼は防戦一方になった。でも、それは最初のうちだけだった。

「流石に、初めてというのに、素晴らしい連携ぶりだ。それに、バトルロイヤルや襲撃の時より、はるかに凄いですよ。こんなに本気でやれるのは久しぶり…この世界では初めてですよ。」

 彼は、実に楽しそうに笑った。その後、あっという間に、防戦一方になるのは私達3人の方だった。彼は、巧みに3本の剣を次々に受け止め、受け流し、かわした。魔法攻撃も、剣や拳、蹴りで防ぎ、かわした。私達の当て身、拳、蹴りは空を切るか、受け流された。

「流石ですよ。ここまで本気になれるなんて…嬉しいですよ。」

 何とか彼の攻勢を凌いだ私達を、少し息が荒くなりながら、褒めた?私達は、それ以上に息が上がっていた。彼は、私達の呼吸が整うのを待っているようだった。“何よ、その余裕ぶった態度は!”私は、心の中で叫んでいた。

 彼は、魔法を一切、身体強化すら、使っていない。だから、見た目は彼の方が一方的にやられている、ダメージを受けているように見えるはずだと思った。完全に魔法攻撃を無効にはできていない。見た目ほどではないが、ダメージを受けているはずだ。こちらは、疲れだけだ。勝機はある、と確信していた。

「マイ。ラン。行くわよ!悪いけど、彼を殺してしまうかもしれないわ。」

「カノン。分かっているわよ。」

「私も同様です、姉上。」

 私達は、連携をとりながら、再度攻勢に出た。しかし、彼を防戦に追い詰められなかった。攻防せめぎ合う状態だった。長い時間、これが何時まで続くのよ?と心の中で悲鳴をあげていた、私は。これを制した方が勝つ、耐えた方が勝者になると考えていた、確信していた。身体強化なしの一人に、目一杯に身体強化した3人が勝ったからどうだと言うのか、とは少しも考えなかった。

「その殺意のこもった顔。ぞくぞくするほど可愛いくて美しいよ、ランビック王女殿下。」

 ムギが耳元で囁いた。“何を馬鹿に!”私の剣は空を斬った。次の瞬間、マイ先輩の動きが止まった。彼の剣が、彼女の首のところを、軽く叩いたのだ。余裕で、首を斬られたと感じたのだ。負けを認めるしかないのだ。そして、私の動きも止まった。彼の拳が私のみぞおちに叩き込まれたからだ。吐き気がした。体を二つに折って動けなくなった。すかさず、彼は屈んで、私の頬にキスをした。瞬間、彼は私を抱きしめた。そして、我にかえった、その私の目に、姉上が膝をおり、大地に座り込む姿が、その姉上の頭の上に剣が触っているのが見えた。

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