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?????


 なんかもうどんどん攻略対象と出会っている気がする。

 これだけ気を付けて避けているというのにどういうことなのだろうか。


 だんだん不安になってくる。

 前回の人生もぼんやりとしか覚えていないからなおさらだ。




「やあ」


 ふいにひとけのない廊下で見知らぬ男子生徒に声を掛けられる。


 見たことない顔だ。


 月下白露げっか しらつゆ様のような白い髪はショートヘアでアルビノのように赤い目をしている。たれ目で、なんだか儚げな美しさがある青年だ。


(まるで赤月あかづき れつの対になるような色使いね)


 赤月あかづき れつが黒髪赤目で闇夜の赤い月ならば、こちらは白髪赤目で昼間に現れた赤い月といったところか。


 いかにも「AKIの名月」に出てきそうな麗しい見た目だが、公式設定集には彼の姿はなかったしモブだろう。


 そしてなぜか私が話しかけられている。


「ええと、どこかで会いましたか」


 会っていない自信はある。こう見えて結構記憶力はいいのだ。


 目の前の少年は特に気分を害したそぶりもなく、とらえどころのない調子で言った。


「会ったことなかったらいけないかい?」


「いいえ、そんな……」


 ちらりとネクタイの色を見ると青色で二年生だ。先輩だ。


 もしかしてこのまえ弓道部にいた人の誰かかも知れない。


「どういったご用件でしょう」


 (まさか弓道部に入れなんていわれないよね……?)


 彼はその穏やかな口元をゆるりともち上げる。


「ううん、用事はなくて。ただ、一回会っといたほうがいいかなって」


 なんとまあ不思議なことを言う。彼は冗談を言っているような表情でもない。


「はい……」


 つづきの言葉が出ない。どういうことだろう。


 しんとした廊下で二人きり、きまずいにもほどがある。


「用事は済んだから、もういいよ。またね」


 私があっけにとられていると彼は手をひらっとして去って行った。


 その横顔は意味ありげに私を見つめていた。

 きらりと彼の赤い目の奥が光る。


 私は遠ざかっていく後ろ姿を見つめていた。



 なんだろう、もやもやする。


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