断罪された悪役令嬢は天然半妖仙人と幸せになりたい

私の推し

　主人公の桃山（ももやま）　月（るな）には強制的に出会ってしまったが、今後は私が積極的にいじめに行きさえしなければほとんど関わりがない。そもそも学年も違うわけで、よくゲームの黒木（くろき）　闇（やみ）はそこまで二年生のイベントに足しげく通ったものである。

　黒木（くろき）　闇（やみ）は、メインヒーロー赤月（あかづき）　烈（れつ）ルート（彼を攻略するとき）でのみ頻繁に主人公に絡みいじめてくるようだが、意識をとりもどした今の私の好みは彼ではないのだ。

（私の好みは攻略対象外の月下白露（げっか　しらつゆ）様なのです！）

　月下白露（げっか　しらつゆ）様はラストにちょっとだけ出るちょい役で、ラストには断罪されている私がなぜ知っているかというと、さっき設定集を見せてもらっての一目惚れだ。その人間離れした麗しい立ち絵に思わず見惚れてしまったのだ。どうにか最後まで生き残って彼を一目見たいものである。

　月下白露（げっか　しらつゆ）様は白い長髪と金目をもつ狐の半妖で、狐の白い耳とふさふさの白い尻尾を持つ。半妖なので、半分は妖怪だが、もう半分は月と草露を司る仙人である。出番はほぼない。

　ラストで主人公が中秋の名月を攻略対象と一緒に見ているときにひょっこり出てくるのだ。

　中国では月の力を得た狐が仙術を獲得したと考えられているそうだから、それに関連させて登場させたのだろう。セリフも少ない。

　だけどそのクールな見た目と、天然な性格のギャップがもうストライクなのだ。

（狐なのに腹黒じゃなくて腹まで真っ白とか可愛すぎる！）

　白くてもふもふで、癒し系の姿を思い浮かべるだけで心が浄化されそうだ。

　シナリオでは「我の団子もあるのか？」の選択肢で月見団子を渡すとお礼に攻略対象との絆を高めてくれて、それによってハッピーエンドとトゥルーエンドに分かれるのだという。

　なので彼に会うときはお供え物が必須である。

（ああ、会いたいい！）