クライマックス感すごい
「ん? なんだ黒木か、それと……誰だお前?」
赤月 烈は闇夜に溶けそうな漆黒の髪をしており、彼がかなり近くに来るまで二人とも気づけなかったのだ。
赤月 烈の赤い瞳と秋月 白の赤い瞳が交差した。
(んー、なんていうかクライマックス感すごい)
そんなはずは、ない。
私は悪役令嬢なのだ。
まるで二人が私を取り合ってるような構図になってしまっているのは気のせいだ。
赤月 烈の眉が顰められる。
「とにかく、夜は物騒だ。帰るぞ」
私の腕をぐいと引くものだから、もう一方の腕を掴んでいた秋月 白も自然と道連れだ。ここで秋月 白に抵抗されたら大惨事だった。私の体が真っ二つに裂けるところだった。
「それじゃあ、二人とも点呼が終わったら出たらだめだぞ」
無事に海の家の寮に送り届けたところで赤月 烈は踵をかえしていった。彼にはまだまだ見回りの仕事がのこっているのだろう。
私は大人しくついてきた秋月 白にうろんげな視線をおくる。
「先輩、二年の寮はここじゃないですよ」
二年の寮は、向こうだ。
「ねえ、俺の悩みきいてくれない?」
いくらなんでも唐突すぎる。だがしかし秋月 白の表情は真剣だ。
「ええと、いいアドバイスなんてできませんよ?」
もしかして先ほどの「君の悩みきくよ」うんぬんは彼の悩みを話したいがための前フリだったのだろうか。
「いいよ、アドバイスしたいのは俺の方だから」
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「俺が悩んでるのは、どうして君が、ちゃんと俺に攻略されてくれないかってことなんだから」
(は?)




