苦手な具材
「ねえ、ヤミィったら」
呼びかけられて、はっと気が付くと宿泊する海の家でみんなで晩御飯を食べているところだった。
いつのまにやら黄晴 星の隣に座っている?!って出席番号順か!
「ごめん、ぼーとしてたみたい」
この三か月近くで黄晴 星ともだいぶ打ち解けた気がする。
というかあちらのコミュニケーション能力が突出しているからなのだが。
ぱくり、煮物のしいたけを口に入れると、黄晴 星が食いいるように見ている。
(な、なんだろう)
おもむろに彼は自分の煮物からしいたけを取り出した。
「あーん」
これは……! 自分の苦手な具材を押し付けようとしている?!
「……食べませんよ」
「え-、ざんねん~」
全然残念じゃなさそうに言う。えっと、君、ツンデレでしたよね?!
バグが仕事している。これは完全にツンが抜けた後の姿だ。
「じゃ、逆にヤミィが苦手な具材ってなに?」
すごいな、全然動じてない。
くりくりと上目遣いで訊いてくる。くう、可愛いな!
「うーん、この中だとレバーかな」
ほんと、何ではいってるんだろうレバー。和食定食の中にレバニラ。
「ほー」
ひょいとレバーを華麗にさらっていく黄晴 星。
そのまま私の方を見ながらこれ見よがしに口に入れる。
お願いだから貰っていいかどうか先に訊いてください。
いいけれども!
もぐもぐと咀嚼しながらそのいたずらっ子のような瞳を向けて言う。
「意外~好き嫌いなさそーなのに」
「あはは」
私からしたら君の百八十度変わってしまった性格の方が意外ですよ。




