表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/35

臨海学校


 ああ。ついにこのイベントが来てしまった。


 七月のまぶしい日差しを浴びながらも私の心は沈んでいた。


 秋月学園は山の上にあって周りは木々で覆われているものだから、水泳の授業はまとめて秋月ビーチで行うのだ。


 海の家で二泊三日集中的に水泳合宿を行う。


 ここで、黒木くろき やみは事故に見せかけて桃山ももやま るなを溺れさせ、離れ小島に漂流させる。


 そこの小島にたどり着くのが、現段階でもっとも好感度の高い人物だ。



(何度でも言いましょう、絶対もうしません!)



 溺れさせるとはおそろしい。もはや殺人の域だ。ちなみに前回の人生の黒木くろき やみはクラゲをつかって桃山ももやま るなを溺れさせている。


 秋月ビーチには神々を祀る祠があちこちの小島にあるため、離れ小島といってもそう遠いわけではないが、わざわざ行く人もいないだろう。もし見つからなかったら満潮時になって大惨事だ。


「あれ、ヤミィ元気ないね」


 黄晴きはる ほしが柔軟体操をしながら話しかけてくる。


 泳ぐ順番は手間を省いたのか出席番号順だ。


 出席番号順に泳いで設置された岩の周りをぐるりとUターンして帰ってくるものだ。ビーチは広いので、学年クラスごとに一斉にスタートできる。


「うん、海にはあんまりいい思い出がなくて……」


 黒木くろき やみは設定上もちろん泳げるが、自分の犯行現場というのはあまりいたくないものだ。何が起こるかわからないし。


「そっか、どんまい! 次、俺の番だから行ってくる!」


 黄晴きはる ほしは、おー!と気合を入れて海に飛び込んでいった。

 その姿はどんどん小さくなっていく。彼はスポーツ万能タイプだから水泳も得意なのだろう。


 そうぼんやりと思っていると不意に声をかけられた。


「やあ」


 もう振り返らなくてもわかるその声に、ゆっくりと振りかえった。


 秋月あきづき しろが穏やかに微笑んでいる。もはや攻略対象並みに会話している気がする。


「次だねー、泳ぐの頑張って」

 わざわざ応援に来てくれたようだ。


「ありがとうございます。先輩も頑張ってくださいね」


 私の返しに秋月あきづき しろは目をぱちくりさせた。


「あれ、もうそんなに可愛いこと言ってくれちゃうの?」


 

 水平線の向こうから折り返してこちらに向かって泳いでくる黄晴きはる ほしの姿が見える。さすが運動神経がいい。ぶっちぎりだ。


 泳いでいる黄晴きはる ほしの姿がだんだん近づいているのをぼんやりと見ていたら秋月あきづき しろは意味ありげな目で見つめてきた。


「次、やみちゃんの番だね! どきどきするね」





 私の名前、教えていただろうか……?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ