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はじまる犯人探し


 このイベントではプレイヤー同士の会話が非常に重要となる。無実な人物の集団の中に犯人が紛れておりそれを会話を通じてダウトするというものだ。


(つまり多数決で疑わしき人物を決定し、罰するという……人権のじの字もない!)


 黒木くろき やみはダウトされる側だった。


 ……いままでは。




 私は意を決して勝負を仕掛ける。黙っていたら犯人にされてしまう!


「私が三時四十五分にここを通りかかったときには、すでに桃山先輩の声がきこえてました。そこから急いで職員室にカギを借りに行ってここについたのが四時、桃山先輩、美術室の時計見えましたよね。とらえられたのは三時四十五分より前ではありませんか?」


 私が尋ねると桃山先輩は目を白黒させた。


「うん、私授業終わってすぐ来たから、自主練しようと思って。六限終わってすぐだから、ええと三時四十分くらいには着いてたよ」


「私は三時四十分までは教室で友達とおしゃべりしてました。赤月先輩、気になるなら証人つれてきましょうか?」


 おそらくまだ教室でおしゃべりしているだろう友達に思いをはせる。


「あ、いや。すまない君を疑ったわけでは」


 赤月あかづき れつはあっさり頭を下げた。


 疑ってましたよね! 思いっきり!


「ではだれが犯人なのだ……?」


 赤月先輩、切り替え早いですね!


 美術部員たちがざわざわしている。そうよね、嫌よね……こんな空気。


「あの、私、今日部室開けようと思って」


 美術の部長らしき女生徒が声を上げた。オレンジのショートヘアにシトリンのぱっちりとした目をしている。


「カギがなかったから、おかしいなって思って、帳簿見たら今日借りたのは三時五十二分だけだった」


 それは、私ですね!


 美術室から職員室までダッシュで片道七分でしたよ。


「その時間にカギが戻されたのかも」


 いいえ! その時間に借りたんですよ!


「その前まではカギどこにあったんでしょうね……」


 私が遠い目になる。


「ああ、俺がポケットに入れていたよ」


 山本先生がなんでもないように言った。


「会議がある時間、カギ使う人がいるといけないから職員室にひっさげておいたんだ」


 てことは犯行時間は桃山先輩の到着した三時四十分から私の気づいた三時四十五分の間ってこと?

 山本先生は会議でここには来れないし、だれかが職員室でカギをとってここに来たとしても時間が短すぎる!

 


 職員室から鍵借りてダッシュで来ても七分だよ、間に合わなくない!?


 ん?


 間に合わない……よね。


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