いったい誰がこんなことを!
(赤月 烈!)
やめて、あなたは私の死神なの!?
赤月 烈はその赤い瞳を不審げにすがめている。
「なにやってるこんなところで」
「誰か!! 助けて!!!」
桃山先輩がシャウトする。
ああ、タイミング、最悪。
まるで私がカギを閉めようとしている人のようではないか!
「この声は。桃山 月か!?」
そうですね! あなたの愛する桃山 月です!
赤月 烈の顔色が変わる。
「どけっ」
ぐいと追いやられて、先ほど開けたばかりのカギのついたままのドアが乱暴に開けられる。
中には両手両足に手錠で拘束された桃山 月が床にいもむしのような格好で転がっていた。
「桃山!」
赤月 烈が桃山 月に駆け寄りそっとその半身を抱き起こす。
「いったい誰がこんなことを!」
くっといった感じで眉を寄せ目をつむり赤月 烈が絞り出すような声で言った。
キッとこちらを振り向いた赤月 烈の顔は、断罪前のあの冷たい顔と同じだ。
「お前がやったのか、黒木 闇。いくら異母兄弟の本家の俺が憎いからと言って、関係ない桃山まで巻き込むのはやめてくれ」
地獄の底のような低音ボイスで告げられる言葉に二の句が継げない。
(ええ! 私たちの関係どろどろなの!?)
うちはごくごく普通の一般家庭だ。悪役令嬢にしては家が普通すぎると思っていたが、主人公と赤月 烈の仲が深まった暁には、悪役をするために本当に令嬢にでもなるのかもしれない。
黒木 闇には犯行動機があるらしい。もう駄目だ。
絶体絶命だ!
「あれあれ、カギあいてるじゃん」
こののんびりとしたざらざらの低い声は美術の山本先生だ。
ぬっと開け放たれたままのドアから顔を出す。
ぞろぞろとうしろから美術部員たちが顔を出す。
(駄目だ、このあと断罪が始まる!)




