練習試合の見学
「ああ、来てくれたんだ。ありがとう」
にこりとはにかんで笑うのは蒼弓 泉だ。
見学の件は私が死んでリセットされたかと思いきや、あのあとまた誘われて、今日は断り切れなかった練習試合の見学に来ている。
正直シナリオの強制力が怖くて、ばっくれることもかなり考えたが、相手は先輩だ。そんなことできない。
弓道着に身を包んだ蒼弓 泉は凛々しかった。
この立ち絵だけでスチル(一枚絵)が一つ作られていただろう、おそらく。
びいいんと張られた弓弦から、空気を切り裂くように放たれた一矢は音をたてて的の中央に吸い込まれた。
(すごい……!)
思わず見惚れてしまう。素晴らしい射形だった。
射る際の癖もなく、立ち姿すら美しい。
蒼弓 泉は、すべて射終ってこちらを向いたときふっと口元を緩めた。
おそらくこの微細な表情の変化だけで多くの女生徒を虜にしただろう。そんな笑みだった。
「退屈ではなかったか?」
「いえいえ! とてもためになりました」
とりあえず蒼弓 泉がかなりもてるだろうことはよく分かりました。
そのタオルで汗を拭いているなにげない仕草ですら色気が溢れ出ているのだ。
ふと、その髪にタオルの小さな糸くずがついてしまったのを見つけてしまった。
「あ、ついてますよ」
ひょいと髪に手をやって糸くずを摘まみ上げると、蒼弓 泉は耳を赤くして首にかけたタオルを口元に持っていった。
首筋からは一筋汗が流れる。
「ああ、すまない」
(んん!目に毒です!)
色気にあてられそうだ。




