お誘い
ああ、桃山先輩のシャーペンやっかいだ。
授業の隙間時間だと心もとないので、結局昼休みを使うことになってしまった。
二年のBクラスにひょっこり顔を出す。
「あれ、君」
ふいに後ろから声をかけられてどきりとした。
振り返ると蒼弓 泉だ。
(なんでBクラスに! て、主人公がBクラスだからか!)
主人公と同じクラスあるあるですね。
「あの、桃山先輩のシャーペンを拾ったのです。桃山先輩いらっしゃいませんか?」
取り繕うあまり見れば分かりそうなことを訊いてしまった。
声も若干上ずっていたかもしれない。
「ああ、ありがとう。渡しておこう」
(やさしい!)
ほう、としていたら蒼弓 泉はじっとこちらを見つめている。その端正な顔つきにどきどきしてしまう。彼のアメジストの瞳がこちらを射るかのようだ。長い睫毛の一本一本が見える。その虹彩は銀の星のように光を受けてきらきらとしている。
「……あの、なにか?」
「いや……すまなかった」
そんなに見つめられると照れます。
「ああ、そういえば弓道部なのだが、もうすぐ練習試合があってね、秋月学園で行うからよかったら見に来てくれ」
慣れた手つきでさらさらとメモに走り書きをして渡してくれる。
「ありがとうございます……」
どうやら彼は私が弓道に興味があると思っているようだ。




