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春の遠足


 もうこれで攻略対象全員出た。オールスター感謝祭。


 もうあとは中秋の名月までひたすらイベントを回避していくのに全力注ぐのみだ。


(学年も違うのだから、出会いそうなイベントなんて、……ああ、もうすぐ春の遠足がありましたね!)


 秋月学園の敷地は広く、なんと学園の敷地内に私有の山と、その上に神社まである。


 毎年学年全体でその山に行くので、私営の小さな学園と言っても全校生徒合わさってかなりの人数での遠足だ。


 この遠足はもちろんゲームのイベントに組み込まれている。


 黒木くろき やみはこの遠足で桃山ももやま るなを迷子にさせ、それをメインヒーロー赤月あかづき れつが助けに来るのだ。


(うん、王道こそ至高。これは惚れちゃうやつですね!)


 ゲームでは黒木くろき やみ桃山ももやま るながトイレに行っているすきにこっそりと、彼女の友人に桃山ももやま るながみんなを探して先に進んでると伝え、彼女を一人にした上で順路の看板をひっくりかえすのだ。なかなかにえぐいことをやってのける。


(今度は絶対にそんなことしません!)


…………


 遠足当日、黒木くろき やみは予想外の展開に遭遇する。

(えええ、そんな、うそでしょう!)


 黒木くろき やみは、主人公、桃山ももやま るなに万が一にも出会わないようにスタートダッシュを決めた。桃山ももやま るなは今頃かなり後方を仲のいい友人とまったり登っているところだろう。


 山頂までたどり着いてこれでようやく安全かと思っていたのに、……まさかの。


 私が迷子……。


 周りを見渡すも木々しか見えない。ひとけなど、ない。

(私は方向音痴なのか……)


 そんな設定、いらない。


…………


 山の頂上には神を祀る神社がある。秋月学園は宗教法人で日本神道系列だ。


 なのでこの遠足は、神社に参拝して今年一年の学園の繁栄と生徒の学力向上・健康と安全を祈願して終わりだ。煩悩の塊である。


 ここは神社の一角で間違いない。だか神社の境内自体がとてつもなく広い上に、どこも似たような神社が建っていて見分けがつきにくい。神隠しとはこういうのをいうのだろう。こう入り組んでいては迷ってもいたしかたない。


(ゲームの桃山ももやま るなが迷った理由も理解できたわ)


 正直甘くみていた。迷うわけないだろうって。


 散々歩き回って、足はもう棒のようだ、体の節々が痛い。これはもう明日は筋肉痛に違いない。思わずその場に(うずくま)る。もう疲れた。


…… 


 ぱきり


 足元の細い木の枝を踏んだ音がして顔を上げた。



(まったく気配を感じなかった)



 顔を上げて心臓が止まるかと思った。






 目の前にいたのは私の輝く推し、月下白露げっか しらつゆ様だ!


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