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過去の呪縛  作者: ミルクティー
6/10

転入生はいきなりに

 俺には一つ疑問がある。

なんか良くアニメとか漫画とか小説とか…とりあえずそう言うものに転入イベントって良く起きるけど実際リアルだとほとんど無いし、経験したことないって人も珍しく無いと思う。学校に転入生が来ても大体自分のクラスでは無いし、高校で転入とかほとんどない。しかし、ラブコメにはそう言ったイベントはさも当然の様に起きる。中には転入生がめっちゃ出てきたりもする。現実には起こりうるが現実的ではないんだよな。

じゃあここで質問だ。もし自分のクラスに転入生がやってきてそれがやばい奴だったらみんなはどうする?


学校のチャイムが鳴り、朝のホームルームが始まる時間となった。いや、ホームルームってなんだよ?絶対一度はみんな疑問に持ってるって。一応ホームルームとは自分達のクラスの教室を指してはいるらしいが、そういう意味で使えわれていない気がする。ていうかホームってことはここが俺のマイホームなのか!?嫌だ!学校が家とかどんな地獄だよ!そんなことを考えていたら担任の教師と一緒に入ってきたもう一人の存在に気づくのが遅くなった。そして何故か席が一つ増えている事に。周りの声に耳を傾ける。

「あの女の子なんだろう?もしかして転入生!?てかめっちゃ美人!」

「スタイルだけなら茜に張り合うぞあの子!」

「グフフ…新しい春がやってきた!」

「決めた。俺あいつを幸せにする。」

なんかめっちゃ変なこと言っていてツッコミが追いつかない。でも一つだけ言わせてくれ。茜の方が可愛いし。

茜グループにも耳を傾ける。

「転入生とか超上がる。」

なにそれ?何年前の女子高生?というか昨日一緒に買い物行ったのにも関わらず未だに名前がわからない。まあ若干茶髪のボブ・サッp…ボブカットの女の子とでも覚えておけばいいか。

「あの子と仲良くなれるかな?良い人だといいな〜」

そんなことを言っているのは堀北茜だ。やっぱり茜は茜だなって思えること言ってるな。俺の表情が少し緩む。

「ま、まあどうしても仲良くして欲しいって言ってきたら考えなくもないな。」

そんなことを言っている愚か者は高西隼人だ。いい加減少しは素直になれよ。俺の表情が少し強張る。

とは言っても確かに美人なのだろう。だが俺にはそんなことより気になったことがある。まさかな…

「えーっとホームルームを始めますが、みんな気になってるだろうけど一旦落ち着いてください。ちゃんと紹介しますから。」

担任の教師の割に非常に敬語が多いのは高西に少しビビっているからなのだろう。最近はそんなことないが、前までは怒らせたら何するかわからないやつだったからな。というか今はそんなことどうでもいい。高西はどうでもいい。

「では自己紹介をお願いします。」

そう言って担任は転校生に自己紹介を促す。転入生はそれに「はい。」とだけ返事をしこちらを向く。

「福岡県から来ました。古賀琴音です。まだ転入してきて初日ですが皆さんと仲良くなれる様頑張ります。よろしくお願いします!」

教室中に拍手の音が響き渡る。たまに思うけど拍手ってちょっとうるさいよね。

「それと、私の前で風紀を乱す様な人がいた場合は容赦はしません。」

…え?今コイツなんて言った?俺の聞き間違いかな?転入初日でまさかそんなこと言うわけないよね?そうだよね!?だが周りはさっきまであんなにはしゃいでたっていうのに今では静まり返っている。

うっそーん…マジで言ったのかよコイツ…

「で、では古賀さんはあの席に座ってください。」

そう言われて古賀は新しい席に着く。ていうかなんで席が俺の真後ろ!?いや確かに位置的にもそうなることは想像できるけど、何この王道ラブコメ展開!?俺今日からハーレム築いちゃう?だが油断は禁物だ。コイツはさっきとんでもないことを言っていた。まあ俺はクラスの風紀を乱すようなことはしてないし大丈夫だろう。いつも通り適当に時間が過ぎるのを待つだけ。

この後担任の連絡事項があったが一切頭に入らなかった。まあ…元から聞いてすらいないんだけどね。

一限目が始まるまで少し時間あるな。一限目は数学。朝から計算とかしたくねぇー。というか俺の後ろがやけに静かだ。だって転入生とか物珍しいからみんな普通飛びつく様に集まるじゃん?なのに一人も話しかけてない。いや、正確にはまだ一人もであって話しかけるやつは一人だけいる。

「初めまして古賀さん。色々分からないことがあると思うけどそういう時は聞いてね。」

そう話しかけたのは堀北茜だ。やはり茜は茜だなって思わされる。

「あ、私は堀北茜。できればでいいけど今日お昼一緒しない?色々とお話しが聞きたいな。」

「ありがとう。誰も話しかけてこないから少し心細かったよ。」

それは多分あなたのせい。てかコイツやっぱり普通の女の子か?さっきのはただの聞き間違いで本当は別の事を言ってたとか?

「やった!じゃあお昼一緒に食べようね!蒼輝君は今日は教室でお昼食べてね。」

「うん…ってあれ?」

聞き間違いかな?ていうか今日どんだけ聞き間違いしてんだよ俺。なぜか俺も一緒に食べる事になってる気がしたが聞き間違いなので気にしない事にした。



 お昼になりました。早いですね。まるでお昼までの出来事がなかったかの様に早いですね。

とりあえず弁当を持っていつも食べている場所に移動しようとする。

「ちょっと!どこに行こうとしてるの!?」

なんか茜が騒いでいるが俺にはどうせ関係のない事だろう。さっさと教室から出ようとした瞬間肩をものすごい力で抑えつけられた。あれ?デジャヴ?

「朝古賀さんと一緒にお昼食べるって約束したよね?」

あれって聞き間違いじゃなかったんだ…ていうか俺別に食べるとは言ってないしその約束は無効だろ!こうなったら言ってやる!俺は理不尽に抵抗する勇敢な人間だ!

「あk」

「なに?」

「なんでもありません。一緒にお昼を食べましょう。」

ま、まあこういう時もあるよね。

お昼を一緒にするって言っても俺話すこと何もないんだけど。まあ誘ってもらえるのは嬉しいけど…

「古賀さんは趣味とかあるの?」

「うーん私は趣味って言うより夢があってそれに打ち込んでいる時間が多いからあんまり自分の趣味がわからないんだよね。」

なんか話しが進んでいるが、俺は会話に混ざると言う魔王討伐クラスの難題を攻略できるはずもないのでご飯をモグモグする。美味い。

「わかる!私も夢があって結構本気で勉強してるんだよね!」

「堀北さんはなんかなんでもできる人って感じがするけどやっぱり相当な努力をしているんだね。その上友達付き合いも上手くやるなんて凄いな。」

それな。

「そんなことないよ。好きでやってることだし。古賀さんの夢ってなに?」

「私は空手をやってるんだけど世界大会で前回は2位だったから今は1位を目指しているの。」

え?めっちゃすごい人やん。エセ関西弁出てもうだがな。

「世界!?うわー雲の上の存在じゃん!すごいな〜。」

「うんうんそんなことないよ。それしか能がないし、他のことは苦手で…」

「でもこの学校に転入できたってことは頭そこそこにはいいって事だしそんな事ないと思うよ?」

一応市山高等学校は偏差値62と低くはない。むしろ少し高い方になる。おそらく空手が異常すぎて他が霞んでみえているだけだな。

「どうして転入してきたの?答えたくなかったら言わなくていいけど。」

「親の都合というのもあるけど、もう一つ。ここには空手でものすごい実力者がいるみたいだから会ってみたくて。」

「本当に空手が好きなんだね。私も部活やってみようかな?」

「堀北さんって運動できそうなのに部活入ってないの?」

「うん。これだって思えるものがなくて。せっかくやるなら本気で打ち込めるものをしたいし。」

「わかる!やっぱりやるならちゃんと目標を持てるものをやりたいよね!」

なんか俺抜きでめっちゃ盛り上がってるし、俺絶対いらなかっただろ。まあ茜にいい友達ができそうだし良かったのかもな…ん?高西がこちらへと近づいてくる。とりあえず一つだけわかることがある。これは絶対めんどくさい事になるやつじゃん。弁当も食い終わったし。俺は早々に立ち去る。茜にはトイレと言っておいたので止められることはなかった。



 どうもトイレの蒼輝さんです。懐かしいなぁ…昔はここで弁当を…おっといけない。ち、違うからね?別に便所飯なんてしてないんだからね?勘違いしないでよね!相変わらず気持ち悪いツンデレだな。

まあこのまま一回図書室にでも行って最近入った気になる本の続きでも見るか。

廊下に出るとやけに騒がしい。何があったんだ?

「おいなんか喧嘩したみたいだぞ!」

誰かが少し面白そうに叫んでいる。他人事と思って楽しそうにしやがって。

みんなが集まっているところは2-C組…まあなんとなく想像はつく。あいつまた面倒を。相手は女子だぞ。

そう思ってクラスの前に立ち中を見た時目を疑った。

高西がボコボコにのされていた。

「嘘だろ…あの高西が手も足も出ないなんて…」

驚愕するクラスメイト。高西は空手の全国2位。そうそう負けるはずもないし、ましてや相手は女子。だが確か古賀は世界2位とか言ってたっけ?そう考えればこの結果にも納得がいく。とは言っても流石の高西も女子には手を出さなかったって可能性もあるしなんとも言えないが…

「まさか高西の攻撃食らっても平然としてるなんて…」

コイツ普通に手を出したのかよ。それも攻撃大して効いてないし。

だが茜が少し怯えているし、流石に見て見ぬ振りはできないな。だが果たしてどっちが悪いのか…まあ十中八九高西が悪いんだろうけど。

「言っただろ?風紀を乱すやつには容赦しないと。」

「クッ…アガッ!」

悶絶している。何があったのかを自分の目で見てないためわかりにくいがおそらく高西の攻撃を食らってお返しでボコボコにしたんだろう。

古賀が高西に近づいていく。流石にまずいな…これ以上続けたら大怪我を負う可能性もある。だが…

周りには多くの人がいる。人が多い中自由には動けない。こうなったら。

「茜!」

茜の名前を呼ぶ。そして目で訴えかける。その意図が伝わったのか茜が動く。

「みんなここから一旦離れて。ここにいたら巻き添えを食らうかも。」

「で、でも気になるし…」

離れたがらない。だが茜は優秀だ。そして何より可愛い。

「みんなには怪我をして欲しくないんだよ…」

少し悲しそうな表情で訴えかける。これは流石に効いたのかみんなが教室から離れていく。

その間にも高西と古賀の距離は縮んでおり、もう高西の目の前に立っていた。

「お前みたいな奴は口で言っても分からないからな。」

そう言って拳を高西目掛けて放つ。だがその拳が高西に当たることはなかった。

「なに!?」

「まあそう興奮するなよ。落ち着け。」



蒼輝君にまた頼る事になるけど今はこれを止められるのは蒼輝君しかいない。お願い…この喧嘩を止めて。

「なに?アンタそいつの味方なの?」

「冗談でもよしてくれよ。俺と高西は別に友達じゃねぇーよ。」

「じゃあ邪魔しないでくれる?関係ないんだからさ。」

「関係は大ありだ。大体学校という共有の場で荒事起こしてんじゃねぇーよ。周りに迷惑かかってんだろ。」

「それは元々コイツが原因だろ!私に言うな。」

「あんたさ、もう少し穏便な解決策とか思い浮かばなかったの?殴ってきたからって殴り返すのは違うだろ?」

「何を言っている?最初に手を出したのは私だ。」

「え?」

「え?」

なんか今一瞬だけ不思議な雰囲気が漂ったな。

「まあとりあえずこれくらいにしておこう。な?」

「黙れ!私の邪魔をするならお前も!」

その瞬間蒼輝君の後ろにいる高西が笑う。

「ヘッ…生意気なクソアマ…じゃあそいつを倒してみろよ…できるものならな…」

「ちょっと高西!何焚きつける様な事言ってるの!?」

まずい…もしこのまま闘って蒼輝君が負けたら…

「蒼輝君逃げて!」

その瞬間古賀は蒼輝に強烈な蹴りを叩き込む。そしてすかさず顔面に向かって回して蹴り。蒼輝君はそれをまともに食らってしまっている。やばい…なんとかしないと。でもどうすれば…その時担任の教師と生徒指導の教師が駆け寄ってきた。だが普通の学生なら教師が止めてくれるけどこの二人の場合は違う。止められるわけがない。

古賀さんは駆け寄ってきた教師を目にも止まらぬ速さで一瞬で気絶させた。

「邪魔はさせないよ。さて、これで邪魔する奴はいなくなったね。」

「何…言ってんだ…?まだ…いるだろ…?」

高西は笑いながらそう言う。

「は?何言ってんの?もしかしておかしくなっちゃった?」

「おかしいのはお前だろ?」

この声…蒼輝君!

「は?お前まだ動けるのかよ?中々しぶといじゃん。」

「生憎昔から身体は丈夫でね。」

「それで?どうするつもりなの?あなた程度が何をできるの?」

「さあね?」

蒼輝君は笑って応える。身体はすでにボロボロ。もう彼に闘わせてくない。だったら…!

「いい加減にしないと本気で…!?」

古賀さんの前に立ち憚る。これ以上は彼を傷つけたくない。

「堀北さんはいい人だと思ってたのにあなたも邪魔をするのね…残念だよ…」

「私はあなたを変えたいと思ってるよ。そしてちゃんと仲良くなりたい。」

きっと何か理由があってこうなってるはず。私はそれを変えたい。助けたい。だって…困ってる人を助けることが…そうしていた人が私の憧れだから。

「せめて痛みを感じない様に一瞬で気絶させてあげるよ。」

その瞬間私に目にも止まらぬ速さで拳が飛んでくる。


『オイ…テメェーソイツにてェ出したらどォなるかわかってンだろうなァ?』


空気が変わった。今にもここから逃げ出したくなる様な空気の重さ。古賀の後ろにそれは立っていた。

「!?」

古賀さんは慌てて振り返る。彼女の表情はさっきまであった怒りの表情とは違い、命の危機に陥ったかの様な表情へと変わっている。

「今ならまだ許す。もォやめろ。」

猛獣の様な獰猛な目で睨みつける。いつもの彼からは想像ができないほどの豹変。

「お…お前は一体…」

「そンなこたァどォだッていいだろォ?」

「クッ…わかった今日のところはやめておくよ。」

その言葉を受け取った彼は、

「あ、じゃあ俺はここらへんでお暇させてもらいます。それでは。」

いつもの彼に戻った。

だけどもうこの蒼輝君は本当の蒼輝君なのか…分からない。

「堀北さん…さっきはごめん。」

古賀さんが謝ってきた。確かに怖かったし蒼輝君を傷つけたことは許せないけど、でも…助けるって決めたから。

「うんうん大丈夫だよ。古賀さんも大丈夫?」

「私は全然平気。心配してくれてありがとう。」

ちゃんと話せば伝わるのかもしれない。時間をかけてゆっくり打ち解けていこう。そして最後には必ず…

「さっきの人一体何者なの?」

古賀さんはやはりさっきの蒼輝君について聞いてきた。だがそれは私も知りたいことだ。

「蒼輝君は私にも分からないことが沢山あって説明は出来ないけど、悪い人ではないよ。」

「そっか…でも確かに悪い人ではなさそうだったね。それに堀北さんのことを随分大切にしてるみたいだったし…もしかして付き合ってんの?」

「へぇ!?ち、ちがうよ!別に蒼輝君とはなにも!」

や、やばい…やっぱりそう見える?私に手を出そうとした時にマジギレしたってことはやっぱりそう言うことなのかな?やばー!超嬉しい!

「顔あっか!もしかしてあの人のこと好きなの?」

「!!!!」

蒸発してしまいそうなくらい熱い。や、やばいそんな簡単にバレるなんて…

「わかりやすい…?」

「うん。」

やっぱりそっかぁ。でも蒼輝君自体も結果いい感じに思ってくれてるみたいだし!私のために怒ってくれたし!これはあるのかな〜

「あ、そろそろお昼終わっちゃうね。」

「そうだね。ごめんね明日はもう少しまともなお昼が過ごせるように精進します。」

「もう大丈夫だよって!そんな気にしないで!さ、行こ?」

次は体育なので古賀さんと一緒に更衣室に向かう。でも何か大切なことを忘れている気がする。なんだっけ?まあ思い出せないってことは別に大切なことでもなんでもないのかな?多分どうでもいいことかも!さっさと次の授業の準備しよ。

「…なんか俺忘れられてね?」

「あ。」

今回初登場のやばい転入生

古賀琴音。

身長は174cm。体重を女の子に聞くなんて最低!

見た目は茶髪ポニテの茜に負けず劣らずの美少女。

空手の腕は物凄く高く、日本では負け知らず。

空手一筋の女の子です。

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