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過去の呪縛  作者: ミルクティー
4/10

近づきたい。

私が最初に彼にあったのは中学2年生の頃。

不良に絡まれている気弱そうな男の子が財布から金を抜き出し不良に渡そうとしたときに私は彼を見た。

「複数人で一人を囲って金むしり取ろうなんてダサすぎだろ。」

彼はそういいながら男の子が金を差し出そうとしている手を制した。

「あ!?テメェーなんのつもりだ!?」

怒鳴る不良達。

私はその迫力に怖くなって動けなくなっていた。

当時私はビビりで、助けに入ってもなにもできないと勝手に決めつけて、関わらないようにしていた。

だから当時の私は彼をバカだと思ってしまっていた。

「まぁいいぜ!こいつからも金貰えれば一石二鳥だ。」

良い獲物を見つけた。そんな顔をしている。

その顔が怖くて私は立っているのもやっとな状態まで怯えていた。

「暴力でなんでも解決できると思うなよ。」

彼は一切怖がっていない。

すごいな。私にはできない。

きっとすごい喧嘩が強いとかなのかな?

そんな風に思っていたその時だった。

不良達は彼に殴りかかり彼はなす統べなくただ殴られていた。

え、弱い?

「こいつ強気で出てきたくせにめっちゃ弱いぞ!」

だが不良達はあることに気づくのが遅れた。

絡まれていた男の子がいないのだ。

そして彼はニヤリと笑う。

最初からこれが狙いだったのだ。

「テメェー!よくも邪魔してくれやがったな!」

不良達はヒートアップし、殴る拳が勢いを増す。

不良達は満足いくまで殴り続け、金を財布から抜き取り何処かえ消えていった。

「痛ッ!たく殴り過ぎたろ全く。」

そう言いながら彼は起き上がり何処かへ行こうとするのだがその方向に病院は無い。

あれだけ怪我しているのにそのまま帰るつもりなの?

声がでない。

病院に連れていくべきなのに、あの現場を見ていたのに、怖くて声をかけれない。

でも、彼は喧嘩は強くないのにそれでも不良達に立ち塞がった。

こんな自分じゃ駄目だ。

変わらなくちゃ!

声をかけるんだ!

「あの!」

それが彼との出会いだった。




あれから私は努力した。

誰にも負けないくらい。

髪を整え、おしゃれを勉強した。

運動も頑張った。

毎日朝早くにランニング10kmを課題にした。

彼みたいないい人は傷つきやすい。それがわかった今、彼のような人を助けたいと思った。だから医療関係の道に進むことを決めた。

そのために勉強も人一倍した。

彼に近づきたいから。




今日も地獄の1日が始まる。

そう、我々を椅子に縛り付け、 何時間もの間拷問を受けさせる。

奴等は我々の苦しむ顔を見て楽しんでいやがる。

魔のような声が空間に響く。

強要により自由を奪われ、死に物狂いで奴等の拷問に耐える。

俺たちに救いはないのだろうか。

だれか!だれか!


キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン…


「はーい今日の授業はここまで。今日の内容を復習しておくように。」

終わったやっと解放された。

地獄の拷問が。

「なに変な顔してるの?」

そこいたのは堀北だ

「あー堀北さんか。まぁようやく地獄から解放されたから感動しているんだよ。」

「地獄ってただの授業じゃない!てかまだ一時間目だよ!?」

「なん…だと…」

まだこれがあと5回も続くのか…

「いや、なんで世界の終わりを見たみたいな顔してるの!?」

堀北が今日登校してきたときクラス内はうるさいくらいに賑やかっていた。

どんだけ人気なんだよ。こぇーよ。

そして一時間の休み時間になってもそれは変わらず…

「ねえ、体調大丈夫?」

「俺が保健室まで送ってあげるよ。」

「黙れ下心出過ぎやろう。」

「そんなことより今日の放課後暇?」

「俺の推しが帰ってきたー!」

うるせぇ。

ここ俺の席なんだけど。

つか誰も俺見えてないの?

そんなことがあって一時間目の休み時間は体力が逆に減ってしまった。

そのあと、堀北に近づくこともできないまま1日が終わってしまった。


「ただいまー…」

返事なんて帰ってくるわけないのに、なんとなく言ってしまう。

「さてと、今日はなに食べようかな?」

と、今日の夕食を考えていたときだった。

ピンポーン

誰だろう?なんか頼んだ覚えもないし、まさか宗教勧誘ってやつか!

こういうときはいろんな対処法がある。その一つは…


ピンポーン


ピンポーン


ピンポーン


「ハッ!居留守だぁ!」

これで帰るだろ。

「ちょっといるんでしょ?無視しないでよ!」

この声は堀北だ。

まさか堀北が宗教勧誘してきただと…

「なんか失礼な事考えてない?」

「いえ、別に。」

ドアを開ける。

「なんですぐに開けてくれなかったの?」

ちょっと不機嫌そうだ。ここはご機嫌を損ねないように完璧な嘘をつこう。

「ドアを開けると死んでしまう病気が…」

「嘘つくな。」

「はい…」



「で、なんの用なの?」

「えっとね。今日全然喋れなかったでしょ?」

「うん。それで?」

「それでって…まぁいいや。」

えっ?なんか俺やっちゃいました?

「あのね。なんか色々あったじゃん?」

色々とはなんぞや?

あれか?俺の机を堀北ファンに占拠された上に、机の上に座られたり、足を置かれたりしたことか?あれは嫌だったな~…

「蒼輝君には迷惑かけたね。」

「いや、まぁ慣れてるしいいよ。」

「えっそうなの?」

「あぁ昔からああいう事は良くあったし。」

「その度に頑張っていたの?」

「まぁな。慣れればどうと言うことはない。」

「すごいね!尊敬しちゃうよ!」

こいつ喧嘩売ってんのか?

これは上質な煽りですね~。

ただでさえ俺よりも友達や才能に恵まれてんのに。

くっ…堪えろ俺!

俺の知ってる友達ってのは友達の為に自分の財産を犠牲にしてジュースと焼きそばパンを買ってあげる存在だ。

いや別に買わされてるわけではないよ?買ってあげてるんだよ?勘違いしないでよね!

「この前も私を助けてくれたし、やっぱり優しいんだね!」

ん?助けた?

なんの話だ?

俺は寧ろ助けを必要としていた側なんだが…

「いったいなんの話をしているんだ?」

「え?蒼輝君がお父さんを説得して私を助けてくれたことだよ?」

あっそっちね。

「まぁ気にすんな。今堀北さんが気にしなきゃいけないのはこれからの事だよ。」

「その堀北さんっていうのやめてよ。」

は?何いってんだ?

じゃあなんて呼べばいいんだ?

「堀北様。」

「様をつけるな!」

「堀北殿下。」

「普通に呼べよ!」

「茜さん?」

「そうじゃなくて呼び捨てでってこと!」

あーね。

じゃあ…

「茜。」

「えっ!?」

なに動揺してるんだ?

「茜?」

「ぎゃふん!」

それ言う人いるんだ。

「どうしたんだ?」

「い、いやなんでもない。」

なんでもなくはないだろ。

「呼び方は別がいい?」

「…それでいい。」

「てか呼び捨てどうのこうの言うなら茜だって俺の事君づけじゃん。」

「え?」

「呼び捨てで呼んでね。」

「えーー!」

「ほら呼んでみて。」

「…」

「ほら。」

「…」

「呼んでみてよ。」

「あー!もうこんな時間だー!早く帰らなきゃー!じゃあまた学校でねー!」

逃げたな。まぁいいか。

「茜!」

「は、はい!」

「また明日。」

「う、うん…」

明日は楽しくなりそうだ。

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