蛙の言い分
掲載日:2019/09/11
ある夜のことでした。
コオロギやスズムシが草むらの影で宴をしている頃、一匹の蛙が玄関前に座っていました。
おや、と思って立ち止まったのは近所に住む三毛猫のもずくです。
「やあ、きみ、こんな時間に、玄関前になんか座って何をしているんだい?」
蛙は、億劫そうに顔をもずくへと向けると、これまた怠そうに口を開きました。
「こんばんは、もずくさん。いえね、ここ最近、コオロギのヤツらの声がうるさいのなんのって。おかげで寝不足ですよ。」
「きみ、そんなことを気にしてちゃあ、やっていられないよ。なんたって、きみたち蛙の大合唱がやっと終わったと思えば、やれ次はセミのお方の声の大きいこと。それもやっと終わったかと思えば、次はコオロギたちの宴の騒がしいこと。きりがないだろう?」
「わたしらと、ヤツらを一緒にしないで頂きたいな。わたしらは、きれいなうたを歌っていただろう。こんな、近所迷惑な騒がしいのと同じ扱いはごめんだね。」




