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ネプチューン王国  作者: 橘みかん
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水の里

ラズの里はこの惑星をグルーとまわっている川と真ん中を流れる川の合流点にある。

水族と川の民、ほとんどが女性だ。

一族に男の子が産まれる確実はなぜか少ない。

水族は闇との関わりもあり、川の合流点の下にポッカリ空いた穴は闇の入り口だ。

里の者達はこの洞窟の入り口近くに逃げこんでいた。

上を流れる激しい川のおかげで敵も気づかなかったようだ。

「ワッなんて格好してんだい。」

かえってきたラズをみた見張りに出ていた少年が驚く。

「この子を抱えてきたのよ。テト、婆やは今だいじょうぶ?」

毛皮で体をおおっただけなので胸がはだけかけている。

「おまえこれきとけ。ババ様は奥にいるよ。」

マントを借り、タイガーの子を抱えて首にかけた黒い石を滝になっている流れの一部の岩にはめる。

水が分かれて穴が開く。

「ラズおかえり。まずは体を温めなさい。」

母のクランがラズを引き止めた。

水の里がある『リバー』では髪の毛にも自分の気が宿ると信じられていて髪をみんな大事にする。

薬草をいれたお湯で母と姉のラピが髪をとかしてくれる。

男達は見張りに出ているので中に避難しているのは女性ばかりだ。

「タイガーの子供じゃないか。元気ないねえかわいそうに悪い気にあてられたんだね。」

そばにきたクコがそういって子供の体を優しくなでる。

クコの父親は『気の谷』の住民だ、クコもその血を引いていて悪い気の浄化が出来る。

「悪い闇の力だ。しかも恐ろしく強い。聖獣達が気配を隠しているのはこの力を持つ者のせいだね。」

ラズの耳元でクコが囁く。

水族は他の部族と違い闇を恐れない、生命は闇から産まれでることを知っているからだ。

「ラズ、あんたは密偵から手を引きなさい。女は闇に弱いのよ危険だわ。」

ラピが言う。

「だいじょうぶ。姉様、母様ありがとう。ババ様のとこにいかなきゃ至急お知らせしなければ行けないことがあるの。」

姉の心配もわかるが密偵はやめられない。ベリーを使えるのも水を読めるのにたけているのも自分だけだ。

ババ様も出来るがもう年だ。

水の精の婚約を受けた時からラズは水を読み『リバー』を守るのは自分だと決意していた。

「子のこはクコに任せるわ。私は水の加護がついているからだいじょうぶよ。」

体を温かなお湯でふくと気持ちかった。

ラズのまだ未熟な胸の上にあるさざなみ波の紋章は水の精の婚約の証だ。

それを見てクランはため息ついた。

「はいこれを着て後これはお守りね。」

女の物が来ると付ける水蛇の帯を姉がラズの下腹部に巻いてくれた。

女の物がきて子を宿せるようになるとみなこれを巻く。 この帯に触れる男性は結婚する人だけだ。

水の精の婚約を受けているラズには入らない物なのだが姉が作ってくれた思いを無駄にはしたくない。

「ありがとう。」

自分ももう少女ではないのだなとラズは思った。

母がぬってくれていた衣服をまとい腰帯を巻く。

「ラズ、無理はするんじゃないよ。女は戦士じゃないんだからね。いいかい女は子を宿し育てるのが使命なんだよ。」

もうなんどもきいている母のセリフだ。

髪を結って巻きあげ止めてから立ち上がる。

奥に消えていく娘をクランは複雑な気持ちで見送った。


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