気の谷間 ☆秘密
冷たい水で顔を洗ってからメイドが待つ中心にある『青の広間』に向かった。
青い光の中に金色の光がゆれている。
浅い水の中にひざまずきメイドは何か祈っているようだった。
リィー様がお通りになられたのか。
ウニバルゾを創りあげたリィー.シャイナは、神のような存在である。
パリスも一礼してから中に入った。
「ラズは女の身なのに水の中に何時間もいたなんて。」
メイドがポツリとつぶやく。
「パリス様、リィー様がお通りになりました。 ラズから恐ろしい知らせが入りました。闇の魔術師が聖獣達の気を集めているというのです。ただ救いなのは彼らが聖獣達の全てに気の力が宿っていることを知らないことです。 彼らが打ち捨てた場所からこっそり遺体を持ち出せれば彼らが強い気を吸収することは出来ないでしょう。」
メイドの知らせにパリスは頭を抱えてしまった。
「なんて残酷な。聖獣達は何もしないどころか我々に恵みを与えてくれるのにその聖獣を殺してどうするんだ。」
床を叩いた拳にジンと痛みがはしった。
「なんとしてもこの星から闇の者を追い出しましょう。」
そっと自分のスカーフでメイドが手を包んでくれた。
「パリス様、奥様のとこにお寄りになってくださいね。黙ってお出になられたからご機嫌悪くて大変とミーシャが嘆いておりましたよ。」
深刻な顔から笑顔になる。
どうしましょ、どうしましょ、お腹のお子に悪いです。
ここのとこミーシャの口癖になってしまっているセリフとあわてすぎてシッポをだしてクルクルまわる姿を思い浮かべパリスは吹きだしてしまった。
「わかった。 また知らせがあったらマウをよこしてくれ。」
メイドも笑いながら会釈して水の民にはだけが使う秘密の通路からでていった。




