木の根とメト
空洞を駆け抜け、開けた赤茶けた空間でラズとカモミールは立ち止まった。
すざまじいゆれだ。
「ラズさん動かないで。」
カモミールがマリアの首を軽くおさえる。
足元に水がきたそして先ほど通ってきた通路から一気に細い木々たちが高く舞い上がりこちらに伸びてきた。
カモミールがなにか呪文を唱えている。
「すざまじすぎる動いたら絡められてしまうかも。」
カモミールの力のおかげか降り注ぐ鉱石はラズ達にはあたらない。
マリアもたたずんでいる。
何がおきたの?
先ほどシャラがまだ効いているのだろうか?
足元の水とおもったものは銀色の粒の集まりだった。
木々が黒々とした空気をはねのけるようにどこかにのでている。
やがて動きが止まったとき木でラズ達がいるあたりは覆われていた。
「おむかえがきます。」
白い体に銀色の斑点、地の長に使えるタイガー、メトだ。
『大地が守ろうとして力を爆発させています。道が塞がってしまっているのでご案内いたします。』
マリアから降りておでこを合わせてタイガーの挨拶をする。
「ありがとうメト。『地の郷』の人々は無事かしら?」
『大丈夫です太古の守りが強くなっただけです。敵はよほどの力がないかぎり近寄れないでしょう。』
メトがカモミールの側にいき匂いをかぐ。
「メトさん、私はネオスの聖獣使い、カモミールです。闇にあやつられていたといえど酷いことをしてしまいました。申し訳ありませんでした。」
ヒザをついて目をふせる。
『あの闇の者に私達も太刀打ちできませんでした。カモミール、あなたの力は後々必要になるでしょう。今は火の怒りが収まるまで私達の所へおいでなさい。』
メトの落ちついた声にカモミールは一礼する。
再びマリアにのりメトの後に二人は続いた。




