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ネプチューン王国  作者: 橘みかん
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『フジ』のいただきから

郷に行く途中何度か激しい揺れがきた。

「だめですパリス様、ムーンでは郷まで行けません。」

先を行っていたスィーラがもどってきた。

揺れと同時にバリバリと激しい音がする。

「仕方ない引きかえそう。」

ムーンの首をまわした瞬間バリバリとヒビが入る、かけさせるとパリスがいた場所から激しく水が吹きあげた。

「ウワッだめだパリス様、私は少し時間がかかるかも知れませんが。『風の丘』のほうへ行ってください。」

天に吸い込まれるほど激しい水にスィーラとはぐれてしまった。

困ったな、気が複雑すぎて地までよめない。

『フジ』のほうに向かいムーンをかけさせる。

白い影が突然出てきた。

タイガーの子供だ、ムーンの前に立ち振り向く。

「落ちつけムーン。案内してくれるのかい?」

いちかばちか子供について行くことにした。

岩のスキマの道を走る子供は振り返りながら前を歩く。

途中、寒くなりマントを締めなおした。

遠くで大地のすざまじい音とオークの泣きごえがする。

途中の開けた場所で立ちどまるとこかった霧がはれ『火の郷』のあたりが見えた。

緑が焼けて黒と赤の大地が広がりオーク達が待っている。

ツィリー達は無事だろうか?

巨大な岩の上に牙竜の姿は見えない。

かすかに風の気を感じる、ここから見えない所で戦っているようだ。火の郷の先に森が見え、遠く『雲の郷』に続く山のいただきが白く光っているのが見えるふとパリスは不思議な細い糸がそちらから何本も流れていることに気づいた。

何だあれは?

糸はこちらに何本か、『気の谷』にも伸びている。

谷はここからは見えない、タイガーの丘の上でアマデウスが放つ光とヒディーの姿が見えた。

ガウ、タイガーの子供が早くというように吠えた。

「進もう、今は異変の確認をしなければ。」

手綱を引いた。


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