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ネプチューン王国  作者: 橘みかん
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大地の怒り~パリスー二


>

> ここもか、パリスは大地のひび割れた割れ目にぶつかった。

> 大きく裂けた大地の下に赤いマグマが流れていたり水が流れていたりする。

> 脚力があるムーンでも跳ぶのにはつらい、パリスも多少魔術は使えるが風にムーンごと舞うのは無理だ。

> 「パリス様、いったん渓谷まで出ましょう。道は案内します。」

> 追いついたスィーラが言うのと同時にガラガラとすざまじい音とともに大地が砕けた。

> 「ウワッ、落ちつけムーン。」

> 驚いたムーンをおさえて首をまわしなおす。

> フワと風のクッションが押してくれるスィーラが守りをひいてくれたようだ。

> 『困った時にはこれをお使いください。』

> バードに渡された尾羽を思い出してとりだす。

> どうやって使えばいいんだ。

> 「投げてください。私が少し術で保護します。」

> スィーラの言葉に従い投げると一本の長い道ができた。

> その瞬間、さっきまでいた場所が砕けて蒸気が吹き上がった。

> 危なかったあ。

> 「いそぎましょう長くはもちません。」

> 落ち着きを戻したムーンを早足でかけさせる、キラキラ光る道をかけていく、

> 先を行くジュピターも輝きをましている。

> 途中で炎をまとった鳥と目があった。

> 胸元の石が暖かく輝いている。

> いっしゅん炎が穏やかになった。

> 『我が子達を【気の谷】の一部に避難させてください。この星は分裂しようとしています。

> 悪の心もつものはわらわの炎で焼かれ闇に返されるでしょう。』

> 低く響く声、オークの声だ。

> 「どうぞ、ただ我が谷が焼けるのはごかんべん。」

> パリスが答えるとオークはいっしゅんほほえんだ。

> 『穏やかな気に守られていれば我が子達もだいじょうぶ。ありがとう。』

> 一筋の銀色の光が落ちて雫となって胸元に吸い込まれていった。

> 「もうすぐ渓谷に着きます。パリスはそこで少しお待ちください。」

> スィーラが待つ先に穏やかに流れる水が見える、地の郷と水の郷の境の険しい渓谷についたようだ。

> サクッとムーンの足が細かい砂を踏むのと同時に道は消え川に溶けこんでいった。

> 道があった場所場所一枚の岩がそびえていた。

> 「道の偵察に行ってまいります。少し休んでいてください。」

> スィーラがジュピターに何か囁くとジュピターは低く川上に登り始めた。

> 「ムーンも疲れたな少し休もう。」

> 自分に言い聞かせるようにパリスはつぶやきクラを外して川の浅瀬にムーンをつれていく。

> ふと不思議なことに気づく、川の表面に薄い布のようなものがかかっているのだ。

> パリスとムーンが川の中に入るとするすると舞あがり包みこんだ。

> ヒヒィーンとムーンが嬉しい時にあげる声をだし首をふった。

> 守りの術?

> こんな術はじめてみた

> マントと上着を脱ぐと優しいしっとりしたくまくがまとわりつく。

> いっしゅん空をかける、ティムを見た気がした。

> 一枚の白に先が青に縁取られた羽だけが濡れたパリスの肩に乗った。


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