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ネプチューン王国  作者: 橘みかん
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オークの目覚めと到着

空が赤い、大地が火を噴いた。

ズーンとお腹に響く音がする。

「ついに時が来てしまった。ラズ、ここで私はお別れします。地の民の狩り人だけが知る秘密の道をマリアに教えておきました。あの道ならだいじょうぶ、敵は入れません。オーク達が悪い者は焼き尽くしてしまうでしょう。リィー様の加護があらんことを……ああ織り師達が動き出しましたね。ラズ、あまり無茶をしてはいけませんよ。ではまたお会いしましょう。カモミールさん、ラズの護衛お願いしますね。」

カモミールが剣を抜いて横にもつ。彼の国で守護の誓いなのだそうだ。

「アダムさん、ティセに道案内させましょう。ここからの道はだいじょうぶそうですが他のところでは崩れているかもしれません。」

カモミールが耳をすまして、顔をしかめる。「ありがとうございます。」

アダムがアレキサンダーの尾を揺らし駆け上がっていった。



見張らしのいい山頂でマリアの足を止める、反対側はモウモウと湯気がたっている。

大地が怒りに満ちている。

火の山から全身を輝かせた赤い大きなワシのようなものが飛び出した、その後ろに少し小さめな者が続く。

オークが目覚めた。

めったに姿を見せない火の聖獣だ。

ラズも大きく輝き金色のトサカをなびかすオークを見るのは初めてだ。

マリアが落ちつか投げに頭をふる。

「いそぎましょう、ここも危ない。」

気の谷のほうを見てラズは息をのんだ、それは神秘的な光景だった。

美しい尾をなびかせるティアとみなれないティティがいきかいその尾から無数の糸のようなものが出ている。

それは見る見るうちに金色の布のようになり『気の谷』をおおった。

『風を紡ぎましょう 光を紡ぎましょう

ユラユラなびけ光よ風よ美しい気と溶けあって美しい地を守りたまえ。』

ラズの耳に美しい言葉が響いてきた一本の糸がこちらにきてラズの髪に巻きついた。

『水の乙女、貴方に加護があらんことを。』

ティアの声がした。

うずいていた水の印がすっとらくになる、ラズは感じた大地の下を通る水達をそこに巨大な白い布のがかけられているのが一瞬、目にうつった。

ズーン、大地が響いてゆれたマリアが一気にかけだした。

「岩がくずれます、急ぎましょう。」

カモミールもはしりだした。

険しい岩の隙間を通り抜けやがて緑の大地が見えてきた。

「ラズ様、お待ちしておりました。」

栗毛の馬にのったカルの妻、モナが待っていた。

「でむかいありがとう。郷は無事ですか?」

「敵が攻め込んで来ましたが、三目龍の方が助けてくださいました。男衆は戦いにでて残った者はスノーサンズのほら穴に避難しております。」

緑の草原に点々と見える黒いかたまりは戦いの後のようだ。

後ろから知らない気を感じ、ラズは剣を抜いた、モナも振り向く。

「私達は敵ではありません。我々は地龍の地で育った者です。捕虜の身ではありますが同じ大地の者を守護せんと参りました。私の名前はジュニパー、ネオスの民です。」

茶色の髪を一つにしばった少年が馬から降りて一礼する。

「貴方がカズラからきいた捕虜の方達ですね。ありがとうございます。郷までご案内します。」

剣をおさめ馬首をまわす。

「いそいだほうが良さそうです。火の怒りがすざまじい。大地に亀裂が入っているのを目撃しました。」

ジュニパーの言葉に馬足を早める。


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