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ネプチューン王国  作者: 橘みかん
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旅立ちの前の明るい騒動

「これなら今の時期なら目立たないし軽いからいいかな?」

なんとなくパリスがまた外にでなくてはいけない気がしてマントを収めてる木でできたクローゼットの中にナオはユンといる。

「うん、これならあったかいんしいいんじゃないかな。マリナさんの織るマントは上部だし。」

深緑に中にタイガーの毛が織り込まれたものはユンの仲良しマリナが織ったものだ。

「そんなに動いてだいじょうぶ?」

「動いてないと落ちつかなくて。だいじょうぶ暴れてないからたぶん寝てるんじゃない。アララ、ほつれてる。前回の旅はシトロンでたまたま異世界からの住人むかえたとかでボロボロだったんだっけ。」

マントのハジがほころんでいる。

「貸して、ほころびなら治せるし。すこし風の気も入れたいから。」

ユンが手にとりスーと片手をひく。

気織りをする人は舞う人もいるがユンはシッカリと目を閉じて細い糸を引く。

「ちょっとまってあったこれこれ。」

ツタで編まれたキャハンを自分のところからだす。

「だいぶ使いふるして履くにはもろいからもう編みなおしてもらわなきゃいけないの。このツタは『レッドマウンテン』のファルコンリーフなのこれ使えない?」

「火の加護はあんまり強くないけど。やってみる。」

ツタからスーと糸がつむがれる普段は姿をあまり見せない赤い体の鳥、ファルコンが火の大地から飛び立つのが見えた。

ファルコンリーフはファルコンが巣を作るときに使う特殊なツタだ。

まだ若い朱色のファルコン達が身を埋めている。

火の山が怒ってる?

「あつい、やる場所間違えた。」

ユンが汗をぬぐいながら笑う。

「アララ確かに水浴びする?ルーナちゃんはまだネンネしてるからだいじょうぶよ。」

ミーシャもうたた寝しているようだ。

「すこし浴びたいかも。」

手早く自分のクローゼットから自分の着物をだす。

「ハイ、これなら帯で腕も調整出来るから。」

ユンに渡す。

「ありがとう。これてナオの乗馬用でしょ。」

クスと笑ってクローゼットから出て湯あみばのほうに去っていく。

同時に剣を持ったヨモギとすれ違う。

「ヨモギたら、危ないじゃないその持ち方ほら柄が落ちちゃう。イヨさんたら慌ててたのね。」

柄の革紐をくくりなおす。

「ありがとうございます。ナオさまなんか落ちつかなくて。イヨも落ちつかないみたいです。大地が騒いでるんですって。」

やっぱり、ファルコンのマーズが動き出したんだわ。

「ここはだいじょうぶよ。ゆれるかもだけど。」

マントと剣を抱えて小走りで戻る。

マウの気配が頻繁だ大きなことがおこる。

「だいじょうぶ、ホセ様もウラヌス様もヒディーもいるんだから。」

自分にいいきかせる。

真ん中の広間でマウや『風の民』からの伝言を受け取り顔を険しくしているパリスがいた。

「敵さんが本格的に動きだしたな。」

風の丘から帰ってきたジュリがナオの肩に手を置く。

「これ以上犠牲が出ませんように。リィー様、どうか『リバー』をお守り下さい。」

天井に広がるネプチューンの空間に祈った。

水浴びから帰ってきたユンを見てパリスの邪魔をしては行けないと思いつつ笑ってしまった。

「お前なあどうしたらそうなるんだよ。ナオ、こいつにこういう結びの服着せちゃだめだって。ああはしたねえからナオの部屋で直してもらってこい。」

背中で紐を交差させて前にもってくるのをしっぱいしたらしくお腹がはだけてる状態だ。

「ジュリいたんだ。」

顔を赤くする。

「ああ、ナオいたのか。」

パリスが気づくこちらを見る前にジュリの上着をとってユンをくるむ。

「あっこら、俺が男だからってえんりょなくとるなよ。」

上をさらけだした状態になってジュリが怒る。

「ごめん、パリスまた来る。これマントと剣。」

ブッとパリスも吹きだす。

「渡したい物あるから俺の部屋に来てくれ。ジュリと話してるよ。準備ありがとう。」

手をあげて赤面のユンの肩を抱いて自分の部屋に行く通路を急ぎ足で行く。


ユンには大きめな服は紐を外すと足元まである。 それを上に上げるように紐を通してちょうどいい長さにして、ついでに下のズボンの紐も調整する。

「ハイできた。アラアラ、おきちゃったオッパイの時間?」

ルーナがぐずりはじめてミーシャがはっと起きる。

「すいません。寝てしまいました。」

ルーナを抱き上げユンに渡す。

「紐を少し下げればあげれるからね。私はこれをジュリに渡さないと。」

苦戦しそうなユンを置いてパリスの部屋に向かう。

「ああナオ様これをはおってください。体が冷えちゃいます。」

ミーシャが厚手のケープをナオにかける。

「あっお部屋までの階段あぶないです。フェニ見張り頼みます。」

ミーシャのあわってぷりにユンが吹きだす。

「キャーキャー尻尾はにぎらないで下さい。」

ルーナに尻尾をにぎられおおさわぎだ。

「もうミーシャ落ちついてちょうだいだいじょうぶよ。別に急な階段登るんじゃないんだから。」

ユンは大笑いだ。

「あのお、俺がついて行くからてはいってねえだからひっ掻くな。」

猫になったミーシャが声の主ジュリに飛びついたようだ。

「うるさくてごめんね。ルーナちゃんとくつろいでてね。 ミーシャ、ユンにミルキィリーフのお茶いれてあげて。」

まだ飛びついているミーシャをジュリから引き離す。

「ハイ、わかりました。」

イテテとミーシャに引っ掻かれた肩をジュリはさすっている。

「ちょっとまってて。アラ、フェニ、ラベンダーとくつろいでて良かったのに。」

隣にきたフェニに言って部屋の中に戻り引き出しからリラの葉を持ってくる。

慌てすぎてつまずいたしゅんかんミーシャがすかさず手をのばす。

「ミーシャお湯。」

というまえに思いっきりポットがひっくりかえる。

「キャー、大変。」

おおさわぎだ。

「騒がしいなあ、だいじょうぶか?てジュリどうしたその傷。」

パリスが降りてきたらしい。

慌ててユンの肩に上着をかける。

「ワッはでにこぼしたなあ。ごめんいきなりはいって。俺がふくもの持ってくるからお前はミーシャだいとけ。」

笑いながらパリスが手に持っていた帯を椅子にかけでていく。

「すいません。」

腕の中の猫姿のミーシャがしゅんとする。

「そそっかしいんだから。」

ミーシャの頭を軽くこずく。

「ちょうどいいから。」

床にこぼれた薬草茶にリラの葉をひたしてジュリの肩にバシとつける。

「イテェ、て俺の上着で巻くのかよ。」

ユンは笑いすぎてルーナがむずがって抱き直す。

「アラアラ、またはでにやりましたね。」

布とタライをもったヨモギがパリスと顔をだす。

「すいません。」

人型にもどったミーシャが布を片手にふく。

「お湯かけなおさなきゃ。」

ポットに隅の水汲み場から水をくみ小さな暖炉にうつす。

「パリス、姫の乱暴な治療法なんとかしてくれよ。俺、被害にあうの2回目。」

ジュリがパリスになげきパリスが笑い出す。

「私は優しく治療してあげたのに乱暴はひどいんじゃない。まああの時はガイアが遊んでた枝で悪かったけど。」

ジュリが岩場で足を骨折したときタイガーの子供が遊んでた枝を添え木にしたという話だ。

「なんで俺には乱暴なんだよ。スィーラが怪我した時は心配してたのに。」

頭をグリグリとなでられる。

「楽しそうだな、ユックリしたいがそうしてもられない。これをピースから預かったんだ。」

白い編み込みの布に毛皮がついた帯をパリスが椅子からとってナオに渡す。

「守りの帯ありがとう。きをつけてね。」

エリを直してそっと胸にふれる。

「ああ、ミモザから驚く話があったんだ。ジュリにきいてくれ。」

ファルコンのことを思い出す。

「ファルコンが飛びだったの。もしかしたら噴火がおこるかも、火の大地のそばはとくに注意してね。」

パリスがゴソゴソとポケットを探る。

「こいつが知らせは持ってきた。保護してやってくれ。ティトゥリーじゃ戦いづらいからムーンに乗っていくよ。なんかあったらすぐに伝言よこすんだぞ。」

軽くキスをしてパリスが足早に去っていった。

「外まで送るよ。」

ジュリがパリスの後に続いた。

ミーシャとヨモギが出て行く、お茶の葉をポットに入れなおしてティーカップをならべた。

何事もありませんように。

胸の石に両手をおいた。



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