『気の谷』に向かう
『ラズ、地下水路が敵にばれたようです。私達はこの星を守るために力を暴発させます。』
水路がばれた。
流れが早く水かさが増している泳ぎが得意なラズでもさすがにきつい。
水路から出なくてわ、精霊達が怒っている。
流れに逆らえず流れて行く、光が見えた水路と地上が重なる所に出たのだ。
「イリ、人が流されているぞ。」
声がするのと同時に力強い腕で引き上げられた。
「ラズじゃないか。ベリーは一緒じゃないのかい?」
セキこんで顔をあげると『風の民』、ジュリの心配そうな顔があった。
「ベリーは姫のとこだから。ここには敵はいないの?」
頭がクラクラして気読みが出来ない。
「ああ、『タイガーの丘』あたりは敵さんだらけだけどこの辺はいないなあ。ラズお前が溺れるなんてどうしたんだ?」
自分のマントを被せてくれる、リラの臭いがして気を静めてくれる。
「敵が地下水路に気づいて水になにかした。川の精が怒ってる。助けていただいてありがとうございまイリ様。」
イリにお礼を言う。
何かを探しているらしくしきりに気の風を飛ばしている。
「ラズだったのか。綺麗な乙女だから誰かと思ったよ。」
『風の民』の一部の長てきな存在、ツィリーの最高の右腕の術師、スィーラが髪をなびかせながらしきりに通信をしている。
『風の民』は気の風を操り通信をする。
「奴らが水に何かしたとなれば『気の谷』も危ない。イリ、どうする?俺はお前らみたいに魂集めとかより戦闘が得意だからそっち行こうか?」
「お前はおいしい役を独り占めにて仕方ねえか。確かに戦闘型のお前は守護のほうが向いてるかもな。とにかく今は指示待ちだ。」
ベリーは無事かしら?
「私も気の谷に行くわ。ベリーがこないから何事もないと思うけど。」
地下水路がばれたら密偵達も敵を見逃すかもしれない。
「とにかく濡れたものは着替えたほうがいいあとさ、ユンも連れてってくれないか?危ないから来るなっていったのにきかなくて。連れてくる。」
イノが走っていく。
ジュリが日の魔法でラズを温めてくれる。
「まったく、赤ん坊いるのにむちゃなやつ。」
ジュリが苦笑する。
「乗れる馬はいるかしら。ここはノームの近くなら秘密の通路使えば早くつけるわ。」
イリが赤ん坊背負った女性と馬を2頭連れてくる。
ジュリの愛馬、赤毛のレッドとイノの馬、ペガサスとの混血マリアだ。
「俺はゲンゾウに乗るからマリアに乗って行け。ジュリ、ユンを頼んだぞ。」
めんどくせえと言いながらユンを蔵に座らせその後ろに乗る。
「臭いていうなよ。まったく頭にバレたら俺が怒られるだろうが。」
小柄なユンのあたまをクシャとなでる。
「ありがとう。」
マリアの背に飛び乗る。
「ジュリ、私が先にいくからついてきて。」
風に髪をなびかせ走る姿をイリとスィーラが見守る。
「ラズがいるなら安心だな。ツィリー様が奴らが死体を捨てた場所を見つけた俺たちも行こう。」
スィーラが口笛を吹くと白いペガサスがかけてくる。
イノも気の風で黒いタイガーのゲンゾウを呼んだ。
敵の数が多すぎる、後から後から敵が来る途中で数人の密偵が手を貸してくれた。
「よしとにかく走るぞ。」
馬に飛び乗り走りだす。
洞穴を隠す滝は目の前だ、マリアは険しいがけを臆せず飛んだ。
「ユンしっかりつかまれよ。それレッド風に乗ってマリアに続けあーしつけえなあこれでもくらえ。」
背後でドーンという音と同時に巨大な岩が火柱とともに砕ける。
「フン、俺は戦闘型なんだ。」
ほんとは戦いたいとこだが子連れのユンを一人でレッドに乗せとくわけにもいかないので戻るはめになる。
「あぶねえなあ、ジュリ、よく見てから雷おとせよ。」
赤い髪をなびかせる、ヒディーだ。
「ふいうちくらったから落ちちまったいて〜。」
龍が転落とはぶざまなと、今はかまってられないレッドを導き滝の裏の洞穴に飛び込んだ。
地下からの水を吹き上がらせ入り口をふせいだ。これで谷に通じる水路に敵が進入するのは少しは防げる。
「奥の広い所で少し休みましょう。」
ユンを気づかいラズがいう。
ここなら安心だ、敵に見つかるにしても時間はかかるだろう。
ここが見つかれば谷も危ない。
「ああそうだな。それにしてもいい子だなこんなに揺れてるのに泣きもしないで。」
ユンの背におぶわれている赤ん坊は戦いの中、泣きもせずに大人しくしている。
「風の守りはかけてるからだと思います。ジュリさん、ラズさん迷惑かけてごめんなさい。」
ずっと黙っていたユンが小声でいう。
「ユンは意思を飛ばす術は使えないもんな。 姫が心配なのはわかるけどな。パリスのやつはたぶん外出たたかうのでせえいっぱいだろうしな。」
ジュリがポンポンとユンの頭をたたいた。
ラズは無言で気を探っていた。
マリアは空気を嗅いでいたがやがて下の苔を食みはじめた。
「こらマリア、道草食ってんじゃねえよ。」
マリアが落ちついているということは危険はないということだ。
今まで青白くボーと輝いていた洞窟が赤と紫のの鉱石がかがやく開けた場所にでた。
「きれい。」
ユンが馬から降り子供を抱き上げる。
「ここは、地の力と水の力がまぢりあう場所なんだ。久々に俺もきたな。アレ、パリス様だ。」
白い小柄なペガサスと馬の手綱を引いてこのリバーを収めるパリスが歩いてきた。
「ジュリ、ユン、ありがとう。風の民が来てくれて助かった。ラズ、ベリーは水の精霊の怒りを調べると水路に入っていった。」
ジュリの顔がくもる。
「まずいな、何事もなければいいけどなあ。」
ベリーに何かあれば必ずわかる、だいじょうぶ。
不安を抑える。
「うちの姫様が心配なのはわかるけどムチャはだめだぞユン。俺がいなかったら飛び出していったようちの姫様。」
パリスに言われて首をすくめ頭をさげる。
「ティトゥリー影になってやれ。」
お乳をあたえるユンを気づかう。
「お前達はこっちのほうがいいだろ。リラの実を付けた果実酒の小瓶を渡す。
「ありがとうございます。」
受け取り口に含むと甘酸っぱい香りがスーと体をかける。
「ユンにはこれだ置いとくぞ。ウチの姫様が作った珍しいリラの実とオレンジフラワーのお茶だよ。」
オレンジの綺麗な色だ。
「ありがとうございます。ナオ様はお元気ですか?」
ティトゥリーの影から出てくる。
「元気、元気すぎて逃走しそうで目が離せない。俺はまだ岩間の見回りしたいから、先に帰るぞ。ここまでくれば安全だゆっくり来るといい。ユン、ティトゥリーに乗っておいで、生意気だが安全は保障する。」
生意気と言われティトゥリーがフンと鼻をならす。
愛馬、ムーンにまたがりパリスが去って行く。
「谷にいたんだな。なにかあったなあの様子だと大事じゃねうな。おお、いい子だユン、俺が抱いてやるから休め。」
ジュリの慣れた手つきのあやし方が不似合いすぎて気をはっていたラズはクスリと笑ってしまった。
「俺が赤ん坊あやすなんて似合わねーてか。みんな集まればいつも子守役だぜ俺、こないだなんて赤ん坊背負って開拓の手伝いまいったぜ。」
ついにラズは笑いだしてしまった。
赤ん坊背負い気づかいながら力仕事するジュリを想像するとおかしかった。
ユンも吹きだした。
「あれは大変そうでしたね。マリナさんのとこのアースくんは暴れん坊だから。」
緊張感がなくなり暖かな気が流れる。
この暖かな気がまた『リバー』に満ちるためにも敵を追い払わなくてわ。
ラズは髪を結いなおした。




