闇の秘密とベガ
カズラのもとから出たラズは森にでた。
いつもは明るい鳥の鳴き声や動物達の足音に満ちているのにシーンとしている。
ガサと藪が動いた。
はっと身構えるとそこには見慣れないりっぱなペガサスがいた。
『ユニコーン達がいませんね。あなたはラズですね、ベリーがお名前きいております。私の名前はベガ、ネオスの人々が王と呼ぶ一族のものです。秘密の話をできる場所はありますか?』
ペガサスの王女、名前はきいたことあるが見るのははじめてだ。光の具合で色が変わる美しい体毛に光の粒をまとった背、どうどうとした体が美しい。
闇がある場所はまずいだろう。
「少し待っていただけますか?」
強い風が吹いて影がさした。
『やつらがきました。あの者が乗っていなければ良いのですが。』
上空を見上げると銀色に光る戦闘機だった。
また敵が来たんだ。
唇を噛み締め通り過ぎるのをまった。
裏の水路からカズラの元にいった。
「おババ様、ネオスのペガサスの高貴なるお方がきております。あと先ほど敵の艦隊が通りました。」
カズラは無言で頷く。
「川の洞窟にご案内しよう。」
ラズに支えられることなく老婆は歩きはじめる。
「カズラ様」
藪から小声がした。
赤い小鳥が飛んできてカズラの肩に止まった。
鳥を操る翔が伝言をよこしてきたらしい。
「あの者が戦いを勝ち抜くためには、勇気がいることだがあとは心しだいだ。それにしても何て情けない連中だろう。」
小鳥からの伝言は聞こえなかったが。カズラの口調からして、ノクターンからの知らせだろう。
ラズは周囲の気配に気を張り巡らせながら歩く。
ひっそりと見張る見張り達の気配以外は何もない。
ふと何か大きな気を遠くに感じた。
悪い気ではないがアラアラしい気だ。
指笛を高く吹くとベリーがかけてきた。
「何かわからないけどアラアラしい気が谷に近づいてるわ。ベリー、岩の間にいって。」
首を振りベリーが飛んでいった。
カズラも顔をしかめていたがベリーが飛ぶのをみてまずはこちらが先とベガのところに向かった。